皆さんは迷信を信じますか? 私たちが知っている迷信の多くは、江戸時代に生まれたもの。たとえば「夜中に爪を切ると親の死に目に会えない」なんて言いますが、これは、昔は夜は真っ暗だったので、そんな中で爪を切ると危ないという意味でこう伝えられました。迷信には教訓が隠れています。今回は、口笛にまつわる迷信のお話です。


「夜に口笛を吹いては、いけない」その迷信、ホント?



浮かれているときに、ついつい出てしまう「口笛」。
なんだか楽しげな雰囲気を演出するもののイメージですが、小さな頃、「夜に吹いてはダメ」と大人から注意されませんでしたか?
なぜ夜に吹いてはダメなのかを聞くと、「蛇が来るから」と言われた方もいるのではないでしょうか。

「夜に口笛を吹くと蛇が来る」。
皆が寝静まる時間に口笛を吹くと迷惑なので、子どもに言い聞かせるためのおどし文句。
もちろん、そう思いますよね。
この言葉は江戸時代から言われているものですが、この「蛇(へび)」とは何なのでしょうか。

いくつかの説があります。
ひとつは「夜鷹(よたか)説」。
夜鷹とは、夜中に道で待ち伏せしている流しの遊女のこと。
この遊女を呼ぶ合図が、「夜に吹く口笛」でした。
子どもがふざけて口笛を吹いて夜鷹が現れては困ります。
それで、「夜に口笛を吹いてはいけない」と言い聞かせたという説です。

もうひとつは「泥棒説」。
夜に行動する泥棒団が、お互いの位置を確認するために口笛を使ったのだそう。
やはり泥棒に見つかって何かあったら大変。
ということで「蛇」という子どもの嫌いそうなものに見立てて、こう言っていたという説です。

最後は「幽霊説」。
「蛇」は、「じゃ」とも読みますよね。これは「邪悪の邪」のことで、「邪のもの」を口笛で呼び寄せてしまうと本当に考えられていたから。
悪霊やお化け、悪い妖怪……。
「人ならざる者」を呼び寄せる合図、それが「夜の口笛」。
子どもたちにも、蛇というより真実を伝えたほうが効きそうな気もします。

昼と夜、違った意味を持つ江戸時代の口笛。
興味本位で試して何かが寄ってきてしまっても、自己責任でお願いしますよ。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「夜の口笛、なぜいけない?」として、7月6日に放送しました。

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