挑戦と切磋琢磨こそ人生! DISH//矢部昌暉「メンバーには負けてられない!」
撮影/川野結李歌 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.

ダンスも楽器も封印。朗読劇で見出す活路は…?
――普段、メインでやられている音楽やダンスとは異なる、朗読劇という新たなジャンルでのチャレンジですね。
朗読劇はもちろん、舞台もやったことがなかったんですが、やってみたいという気持ちは以前からあったので、決まったときは嬉しかったです。
――DISH//とは異なる表現をやってみたかった?
俳優としてちょこちょこドラマなどに出させていただいてきましたが、今回は出演者たった5人の内のひとり。しかも朗読という、これまで使ってきた武器を使えない中での自分の表現が試されます。緊張や不安はあるけど、新しい自分を見つけられるんじゃないかという思いもあります。

――“僕ヶ原”という通称で知られる『僕とあいつの関ヶ原』では、石田三成、徳川家康ら天下分け目の関ヶ原の合戦を彩った8人の戦国武将たちが入り乱れ、友情や忠誠、裏切りなどの人間ドラマが展開します。
僕自身、昔から歴史は大好きなので嬉しいし楽しみです!
――最初に脚本を読んだ段階で、心に残った登場人物は誰でしたか?
小早川秀秋ですね!
――歴史上では西軍を裏切って東軍に寝返り、勝敗の行方を大きく左右する人物ですね。
関ヶ原の陰の主役と言ってもいい男ですよね。西軍、東軍、いろんなひとに揺さぶられて…。史実では当時、20代前半ですけど、そういうところも歴史って面白い! 若くても家柄や生まれで一家の当主として祭り上げられて…僕なら逃げ出したくなっちゃいますね(苦笑)。

――先日、ついに配役が発表されました。奇しくも、矢部さんが演じるのは、東軍に寝返った小早川軍を一身に受け止めることになった西軍の武将で、三成の親友でもあった大谷吉継と徳川軍の先鋒で“美しい鬼”と呼ばれた井伊直政の二役です。
最初に聞いたときは、僕にこの武将を演じることなんてできるのか? と不安でした。でも、前回公演を見させてもらったとき、まさにこの役をやりたいと思っていたので、嬉しかったという気持ちもあります。
――そうなんですね!
井伊直政と大谷吉継自体に、たくさんのファンの方がいると思いますが、その方々の期待に応えつつ、良い意味で裏切りたいと思います! 矢部昌暉らしい井伊直政と大谷吉継を演じられたらと思います!


――改めて、今回の物語のどこに魅力を感じていますか?
個々に強いか弱いかとか、軍勢の数だけではなく、合戦の行方や歴史を動かすのは人間性そのものなんだなというのを感じられるところですね。立場によって、それぞれの人物をいろんな角度から見られるというのも面白いし、朗読劇ならではの楽しみ方ができると思います。
――舞台上で実際に、肉体を駆使して合戦を再現するわけではなく、あくまでも朗読劇ですからね。
そうなんですよ! 今回、セットはシンプルに長机が3つ並んでいるだけになる予定なんです。それで、合戦を含めたいろんなシーンを見せるって、相当難しいと思いますが、想像しただけでワクワクします。

――共演者は猪塚健太さんを筆頭に、尾関 陸さん、西川俊介さん、松田 岳さんと、DISH//同様にみなさん、年上ですね。
お兄ちゃんばかりなんですけど(笑)、猪塚さんが初対面のときからすごく積極的に話しかけてくださってありがたかったです。実はみなさん、子どもっぽいところもあったりして(笑)、ワイワイと楽しいです。
――DISH//内でのポジションと同じように年下キャラで相手の懐にもぐりこんでいく?
DISH//では、いきなりムチャぶりされて一発芸をやったり、どちらかというとイジられキャラですけど、今回もいい感じでお兄ちゃんたちに甘えつつ、イジってもらえたら嬉しいですね。実生活では長男ですけど、だからこそ、小さい頃からお兄ちゃんやお姉ちゃんが欲しかったので、根は甘えたがり屋なんですよ(笑)。

ケガの功名? この世界で生きていくと決めた瞬間
――“まだ”18歳の末っ子ですが、芸能界デビュー自体は2008年ですから、もう8年ほどになるんですね。
最初のキッカケは、お正月に家族で電車に乗ってたら、たまたま同じ電車に乗っていた事務所のスタッフにスカウトされたんです。そのスタッフも、正月の帰省中でオフだったらしいですけど(笑)。それで興味を持って「やってみようかな」と。
――当時は10〜11歳くらいですね? 以前から芸能界に興味はあったんですか?
小学校5年生かな? 小さい頃からサッカーに打ち込んでて「絶対にプロになる!」って思ってたんで、芸能界なんて全然、興味なかったんですよ。あ、でも幼稚園のお遊戯会とかみんなの前で歌ったり、小学校でも劇に出たりもしてたんで、そういうのをやりたい気持ちはどこかにあったのかもしれませんね。

――俳優、モデルとしての活動に加え、2010年からは『天才てれびくん』シリーズ(NHK)にてれび戦士としてレギュラー出演。2011年にはDISH//も結成され、ミュージシャンとしての活動も開始するなど、8年でさまざまなことがありました。
最初はTVに出るだけですごく緊張したし、自分がTVで見たことのある方と共演するときは汗が止まらなかったです(笑)。でも、楽しかったんですよね。「やめたい」と思ったこともなかったし、なかなかできない経験をさせてもらってるという意識もあった。
――10代前半で自分の置かれた状況を冷静に見てた?
そうかもしれません(笑)。
――周りを見れば、勉強や部活、恋愛といった学生生活を謳歌している同世代がいて、多くのひとがまだ将来のことなど、なかなか考えられない状況だったと思います。その頃から矢部さんの中では、芸能界で生きていくという覚悟があったんですか?
芸能界に入った当初はまだサッカーもやってたんですよ。ただ、中学に上がってダンスレッスンもある中でひざを壊してしまい、そのとき、先生に「ダンスかサッカー、どちらかにしなさい」と言われました。

――中学生にしてどちらかを選ばないといけない状況に!
結局、ダンスを選びました。でも、それがDISH//の結成に繋がり、いろんなことが動き始めて、そこで「よし、この世界でやっていこう」という決心が固まったんだと思います。
――まさに“ケガの功名”ですね。とはいえ、DISH//結成当時は中学2年生ですよね? そこで人生を左右する決断を?
小さいことでは優柔不断なんですけどね(苦笑)、「夕ご飯、どうしよう?」とか。でも、大きな決断は割とスパッとしちゃいますね、直感を信じて。あとからいろいろ考えたとしても、結局は一番最初に「これ!」と思ったことが、自分の中でやりたいことなんだろうと思ってるんですよ。
