知らないと損!運動すると頭が良くなる!
かつて、「人の脳は20歳をピークにあとは脳神経細胞は減り続けるだけ」といわれていました。しかし、1998年にスウェーデンのピーター・エリクソン博士により、高齢者の脳にも新たな脳細胞が生まれていることが発見され大きな話題となりました。
脳の能力は年をとってもアップする可能性があるということになるわけですが、さらに近年の研究から、運動をすると、脳の神経細胞(ニューロン)の形成を促す脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が、とくに脳内の海馬からさかんに分泌されることがわかってきました。
●突如テストで世界1位になった生徒達
アメリカのイリノイ州にあるネーパーヴィル学区で、ある運動の取り組みを行なった生徒達が、世界38か国23万人が参加する国際基準のテスト(TIMSS)を受けたところ、突如として理科で世界1位、数学で世界6位という大躍進をとげました。
もともとこの学区に優秀な生徒が集まっていたわけではありません。じつは、「ゼロ時限」といって、1時限目の授業の前に、生徒全員でトラックを走るという取り組みが教育実験として行なわれていたのです。
タイムや順位ではなく、心拍数を評価するという、努力次第で誰もが公平に認められるシステムで、走るのが遅い生徒達も意欲的に取り組むことができるものでした。
これにより、肥満の解消はもちろん生徒達は運動好きになり、何より学力が飛躍的にアップしたのです。
この結果に驚愕したイリノイ州知事は、州内の高校にランニングマシンを設置させたそうです。
●有酸素運動が頭を良くする
近年、心肺機能が学業成績と強い相関関係を示していることが多く報告されています。ハーバード大学医学部准教授ジョン・J・レイティ氏によれば、脳を育むためには一定時間にわたって心拍数を上げるタイプの運動が有効で、これには、速足でのウオーキングやランニング、エアロビクスやエアロバイクを使った運動などがあげられます。
週2日は最大心拍数(220-自分の年齢)の80%程度まで上がる運動を短めに行ない、残りの残り4日は70%程度までの運動をやや長めに行なうのが理想だとしています。
なお、ネーパーヴィル学区では心拍数185以上に上がるように走ること生徒達に呼びかけていました。
●運動はアルツハイマー予防にも
海馬や視床下部に多く存在するタンパク因子である脳由来神経栄養因子(BDNF)は、神経細胞の発生、成長、代謝調整を活性化します。運動はこうしたBDNFを脳内に増やしてくれます。脳内にBDNFが増えると、ニューロンとニューロンの接触部(=シナプス)の結合が促進されます。つまり、学習や記憶などの脳機能が向上するわけです。
かならずアルツハイマーになるように遺伝子を改変されたマウスを使った実験でも、運動によってBDNFが脳内に増えたと確認されています。
また、フィンランドで、約1,500人の中年男女を対象に21年に渡って行われた追跡調査からは、週に2回以上の運動を行っていると認知症の発症率が半減することがわかりました。
老若男女、頭を良くするためには、勉強や脳トレのみならず運動することがじつはとても重要だったのです。
健康のためにも、やはり体は大いに動かしたほうがよさそうです。
文・鈴木ゆかり
※参考
『脳を鍛えるには運動しかない!』(ジョン・j・レイティ著/NHK出版)
