球団史上17年ぶりの新人2桁勝利まであと1勝 広島・大瀬良はいかにして復活したのか
6戦連続白星なしの苦しい時期を乗り越え、9勝をマーク
ついに、大台が目前に迫ってきた。13日の阪神戦(甲子園)に先発した広島の大瀬良大地投手が、9勝目を挙げた。初回に連続四球などで2点を失うなど、計5失点したが、味方打線が爆発し、17点の大量援護をプレゼント。「内容は全然ダメ。野手に助けられました」との言葉の通りだったが、広島としては、97年の澤崎俊和(現2軍投手コーチ)以来となる新人での2桁勝利にあと1勝へと迫った。
この日の登板では、これまで140キロ台後半が中心だった真っすぐが、150キロ台を数多くマークした。3回2死でマートンを遊ゴロに打ち取った球は、プロ入り後最速となる153キロを計時。九州共立大時代の自己最速に並び「スピードが出ているのは、体がしっかり動いているということ。スピードが出るのは悪くはない」と語った。
ちょうどこの1週間前、6日のDeNA戦では、5安打無失点に抑え、プロ入り初の完封勝利も達成。新人の完封勝利も、前述と同じく、球団では澤崎以来、17年ぶりの快挙だという。6月から8月にかけて12試合に先発しながら、6戦連続、約2か月にわたって白星なしの期間があるなど苦しんでいた右腕が、ペナントレース終盤になって復活の兆しを見せてきた。
復活の要因はどこにあるのか。
不調時は勝てない期間が続いていたこともあり、勝ちたい、抑えたいあまりに、投球時に体が力み、バランスを崩した。体が必要以上に力むと、指先が走らなくなり、スピードやキレを欠く原因になる。そのため、体全体がリラックスした状態で投球動作に入り、リリースの瞬間にだけ力が入るフォームを模索、意識し、練習に取り組んできた。
動画のスロー再生と動作解析が出来るアプリがあると聞くと、8月上旬にiPadも購入。それを毎日、練習に持参し、日々のキャッチボールやブルペンでの投球を映像に収めては研究と修正を繰り返した。
元来は気落ちするタイプも「気持ちの部分で成長出来た」
初完封のあと、大瀬良自身が「ボールは今季で1番いいと思っていた。真っすぐで空振りが取れたし、とらえられなかった」と実感したように、この取り組みが実を結び始め、イメージした通りのフォームが定まってきている。
精神面の成長も本人は要因に挙げる。元来は気落ちするタイプで、試合中でもあれこれと気にし過ぎることもあった。勝てない時期には、周囲にアドバイスを求めるなど、メンタル面の強化も意識し「気持ちの面で迷わない、折れないように投げられた。気持ちの部分で成長出来た」のだという。
時期的なものもあるのかもしれない。おおむね大学のリーグ戦は春が4〜5月、秋は9〜10月に行われ、7、8月はリーグ戦がない時期にあたる。大瀬良は大卒1年目。昨年までのバイオリズムが体に残っており、試合のなかった7、8月に調子が落ち、リーグ戦が始まる9月に向けて、調子が上向くということも十分に考えられる。
なにはともあれ、ここにきてのドラフト1位右腕の復調は、シーズン佳境の戦いはもちろん、クライマックスシリーズを考えても心強い。広島の残り試合は17試合。大瀬良の今季の登板は2試合ないし、3試合といったところ。ここ数試合の投球内容を見れば、球団史に名を刻む2桁勝利を達成することは十二分に可能だろう。

