「上下3800円」の肌着が“半年間で684万着”も売れたワケ。王者ユニクロの“隙を突いた”ワークマンの会心の一撃
◆1週間で40万点を売る大ヒット
「メディヒール」は体から出る遠赤外線を繊維内のセラミックが輻射、血行促進作用で疲労が回復するというもの。ユニクロは汗や蒸気を熱に変換する「ヒートテック」を世に送り出し、高い機能性が支持されて世界的な人気を博しました。「ヒートテック」は2023年に累計15億枚を突破しています。
「メディヒール」は疲労回復という特性を持たせ、機能性の高い競合のインナー商品の中で新たなポジションを確立しました。しかし、着るだけで筋肉の緊張をほぐすシャツはすでに知られている商品があります。「リライブシャツ」です。「リライブシャツ」は2021年にYouTube番組「令和の虎CHANNEL」で紹介され、広く知られるようになりました。しかし、2025年に一般医療機器認定の定義に合致しないとの指摘を受け、自主回収しています。その隙を縫うようにして、「メディヒール」が登場、大ヒットとなりました。
◆新業態が一般客の受け皿に
価格においても強みを発揮しており、「リライブシャツ」が1万円前後である一方、「メディヒール」は上下で3800円。手ごろかつ高機能で、何度か洗濯しても傷みづらいといったタフさが受け、SNSなどによる口コミ効果が広がりました。ヒット商品の王道とも言うべき道を歩んでいるのです。
ワークマンにとって、一般衣料のインナーでヒット商品が生まれたことは特別な意味を持っています。現在、ワークマンは作業着に特化していた「ワークマン」をアウトドアウェアなど一般客向けの商品を扱う「ワークマンプラス」へと転換しています。さらに機能性の高い女性向けの衣料を扱う「#ワークマン女子」も「Workman Colors」へと転換中。「Workman Colors」は女性のトレンドを意識した衣料を扱いつつ、男性のベーシックアイテムも扱うお店。2026年3月期は31店舗もの「#ワークマン女子」を「Workman Colors」へと看板替えしました。作業着は「ワークマンプロ」へと集約し、「ワークマンプラス」と「Workman Colors」で一般客の獲得に力を入れているのです。
◆異常気象と物価高が後押しする「一般向け製品需要」
2020年ごろのアウトドアブームによる追い風もあり、ワークマンの機能性が高く低価格の商品は消費者の心をつかみ、一般衣料での存在感を発揮するようになりました。しかし、ワークマンの商品はアウトドア用のジャケットなど、季節性の影響を受けやすく、買い替え頻度が低い商材が多いという課題がありました。リピーターの獲得に苦戦していたのです。
機能性の高いインナーの開発には早くから力を入れており、2024年には「シン・呼吸するインナー」といった売れ筋商品が生まれていました。しかし、この商品はユニクロの「エアリズム」に近く、爆発的な大ヒット商品には至りませんでした。そうした中、「メディヒール」が誕生したのです。この商品はリピーター獲得の潜在性を十分に有しています。
