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たこ焼きの「タコ」の代わりにイカを入れて売った──。

ずいぶん前、そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられていた。

相談者は祭りの露店で働いているという。たこ焼きを販売していたところ、タコが切れてしまい、代わりにイカ焼き用に仕入れていたイカを入れて売ったそうだ。

もし客に何も伝えず、「たこ焼き」として実際にはイカ入りの商品を販売した場合、何らかの罪に問われる可能性はあるのだろうか。

●「たこ焼き」として売れば詐欺罪の可能性も

結論からいえば、状況によっては、詐欺罪(刑法246条1項)に問われる可能性がある。

詐欺罪は、人をだまして金銭などの財物や利益を得た場合に成立する犯罪だ。

一般に、(1)相手をだます行為(欺く行為)(2)その結果、相手が誤信すること(3)誤信に基づいて金銭などを支払うこと──といった要件が必要とされる。

この点、「たこ焼き」と表示・説明しながら、実際にはイカを入れて販売した場合、客は「中身はタコだ」と信じて購入することになる。

そのため、「タコが入っている」と誤信させて代金を支払わせたと評価されれば、欺く行為があったと判断される余地がある。

タコとイカは見た目が似ていても、原材料や価格、味の違いがあり、購入者の判断に影響する要素といえる。「どちらも同じやろ」とは評価されにくく、だまして売ったとみなされる可能性は否定できない。

●少額でも違法とされる可能性

もっとも、実際に刑事事件として立件されるかどうかは別問題で、被害額や継続性、悪質性などが考慮されるとみられる。

ただし、たとえ少額であっても、「事実と異なる内容を前提に代金を受け取る」という行為は違法と評価され得る点には注意が必要だ。

また、刑事事件とは別に、表示の問題として、景品表示法や食品表示法に抵触する可能性もある。実際の内容と異なる表示をすれば、消費者に誤認を与えるとして、行政上の規制や措置の対象となりうる。

●関西には「イカ」を入れて提供する店もあるそう

一方、関西では、たこ焼きにイカを入れて提供する店も存在するという。

物価高で、タコの仕入れ価格が高騰していることや、「イカのほうがおいしい」という理由から選ばれているケースもあるようだ。

ただし、こうした店では「イカ入り」などと明示して販売しており、客に誤解を与えないようにしているのが一般的だ。

原材料を変えること自体が問題なのではない。それを隠して売るかどうかが、法的な評価を分けるポイントになる。

【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀大客員教授。1988年中央大学法学部法律学科を卒業・1996年司法試験合格。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/