記者会見で指針について説明する阿部知事(14日、長野県庁で)

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 福島県郡山市の磐越自動車道でマイクロバスがガードレールに突っ込み、高校生1人が死亡した事故を受け、長野県は14日、部活動の遠征など校外活動で生徒を安全に引率・送迎するための指針を策定する方針を明らかにした。

 指針では、送迎を担う部活の顧問らの負担の軽減策や、「公共ライドシェア」など新たな移動手段の活用を盛り込むことを検討する。

 県は近く、県教育委員会などでつくるワーキングチーム(WT)を設置する。

 WTでは、部活の遠征や校外実習、修学旅行など校外活動での生徒の引率状況について、すべての県立学校を対象に実態調査を行う。一部の私立中学・高校や市町村立の中学校も調査する予定で、結果を指針作りに生かす。調査の方法や時期はWTで検討する。

 県教委によると、校外活動での生徒の引率は、電車やバスなどの公共交通機関や借り上げバス・タクシーの利用が原則となっている。

 しかし、活動場所が駅から遠かったり、費用が高かったりすることから、やむを得ず部活の顧問や保護者らが自家用車などを使って引率するケースがあり、安全面や事故が起きた場合の補償の面で課題を抱えていた。

 このため、指針では、安全面や費用面から、一般ドライバーが自家用車に客を乗せる「公共ライドシェア」や、「ボランティア輸送」などの活用を検討するという。

 阿部知事は14日の定例記者会見で、「万が一、事故が発生した場合の責任や補償のあり方があいまいなまま、活動が続けられることがあってはならない」と強調。「新しい時代に即したルールを作ることが必要だ」と語った。

長時間運転「体力的に地獄」

 部活動では、費用面から、運転のプロではない顧問の教諭や指導者が運転するケースは少なくない。

 「どこの学校でも起こりうることだと思う」。今回の事故を受け、県内の私立高校サッカー部でコーチを務める男性は語った。

 男性によると、同部では遠征の際に旅行代理店を通じて、運転手付きの貸し切りバスを手配することもあるが、費用がかさんで保護者の負担になるため、経費削減として、部のスタッフが学校所有のマイクロバスを運転することがほとんど。男性も日帰りで片道3〜4時間の運転を任されることがあるという。

 同部では近年、安全面を考慮し、長時間の運転が必要な場合は運転者2人態勢になった。しかし、男性は「20〜25人の生徒の命を預かる長時間の運転は気疲れする。その上、コーチや審判の業務も行っており、体力的にも地獄だ」とこぼす。運転に備え、前日は飲酒せずに早く寝るよう心掛けているというが、それでも、帰り道の運転で睡魔に襲われることがあり「ヒヤリとする」と明かした。