米連邦航空局、民間宇宙企業からロケット打ち上げ料徴収へ
空利用にもお金がかかる時代に。
アメリカ連邦航空局は先日、商業宇宙ロケットの打ち上げと再突入のライセンス、そして利用料に関する新しい方針を発表する通知を公表しました。集められた料金は、成長を続ける宇宙産業に対応するために必要な資金として、連邦航空局の商業宇宙輸送室(AST)の運営などに使われる予定です。
これまでのツケを払う?
現状、連邦航空局はSpaceXのような企業が打ち上げや再突入の申請手続きに必要な少額の料金を徴収しているだけです。企業はその料金を払う代わりに、ロケットの打ち上げ時や再突入の経路上にある空域から、連邦航空局が商用機やプライベート機を退かせてくれる、という仕組みです。
昨年、予算調整法案の条項のひとつで、連邦航空局が2026年からロケット企業にライセンス料を課すことが提案されました。料金はロケットで運ぶ荷物(ペイロード)のサイズに応じて決まる仕組みで、2026年は1ポンドあたり0.25ドルから始まり、毎年約0.10ドルずつ徐々に上がっていきます。2033年には、ペイロード1ポンドあたり1.50ドルになる見込みです。料金は1回の打ち上げや再突入につき、3万ドル(約480万円)が上限となります。
料金発表で連邦航空局は、今後発行するライセンスや許可証に、料金の算定方法や徴収手続きを定めた条項を盛り込んでいくと述べています。すでにライセンスを持っているロケット企業も、2026年に行なわれるすべての打ち上げと再突入で利用料を支払う義務があるとのことです。
ロケット企業は、打ち上げの少なくとも60日前までに、ペイロードの重量を連邦航空局に申請。連邦航空局はその情報をもとに利用料を計算し、企業に支払い通知を出し、企業は30日以内に支払うという流れになります。
航空会社はずっと払っていた
宇宙産業がスタートした当初、連邦航空局は産業の発展のために企業に料金を課さないことにしていました。年月が経つにつれて、宇宙産業は連邦航空局に大きな負担となってきました。ロケットの打ち上げが相次ぎ、それにともなう許認可業務や対応に追われているという状況です。
一方、航空会社は連邦航空局に料金を支払っています。その料金は空港・航空路信託基金に積み立てられていて、連邦航空局の年間予算のほぼ半分を占めています。連邦航空局は、宇宙産業にも同じように料金を払ってもらうべきタイミングだ、とついに判断を下したというわけですね。
大きな資金源となるSpaceXの打ち上げ
軌道への打ち上げは年々数多く行なわれていますが、その大半をSpaceXが占めています。2025年、SpaceXだけでファルコン9ロケットによる軌道打ち上げは165回も行なわれていて、過去最多の記録を打ち立てました。他社は大きく差があり、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスは1年間の打ち上げはわずか6回でした。
SpaceXの幹部たちは、連邦航空局のリソース不足についても厳しく声を上げてきました。それが宇宙産業の成長を妨げているとの見方なのです。2023年、SpaceXの副社長ウィリアム・ガースタンマイヤー氏は、上院の宇宙・科学小委員会の公聴会で、連邦航空局のライセンス部門は深刻な苦境にあり、今の倍のリソースが必要だと発言しています。
今後、集められた利用料は信託基金に積み立てられ、商業宇宙輸送室の体制強化に使われます。増え続けるロケットの打ち上げ、とくにSpaceXの主力機ファルコン9に対応していくうえで、商業宇宙輸送室はこの資金は欠かせないものになっていきそうですね。

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