大和証券グループ「オリックス銀行を3700億円で買収」の皮算用(森岡英樹/経済ジャーナリスト)
【経済ニュースの核心】
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大和証券グループ本社は4月27日、オリックス銀行を3700億円で買収すると発表した。今年10月までに傘下のネット専業、大和ネクスト銀行を通じて全株式を取得し、完全子会社化する。将来的に両行は合併する計画で、ネット銀では楽天銀行、住信SBIネット銀行に次ぐ総資産9兆円超、自己資本4000億円規模の銀行が誕生することになる。今後5年間で預金残高2兆円超の獲得を目指すという。
買収の狙いは言うまでもなく、「金利のある世界」の到来を受け、高い収益力が期待できる銀行機能の強化であり、「合併を機に高度な融資・信託機能と強力な預金獲得力を兼ね備えた総合型銀行へと進化させる」(関係者)としている。そう、オリックス銀行は、ネット銀行では数少ない信託機能を兼ね備えた銀行なのだ。
オリックス銀は、1993年に旧山一証券が設立した山一信託銀行がルーツだ。「山一信託銀行は、銀行と証券が子会社を通じて相互乗り入れした、いわゆる業態別子会社の一社で、大手証券各社は、信託銀行での参入を図った」(メガバンク幹部)とされる。
その後、97年に山一証券が自主廃業し、98年にオリックスに買収された経緯がある。「オリックスは、98年に経営破綻した日本債券信用銀行に出資するなど、以前から銀行買収に意欲的で、山一信託銀行の買収はその一環だった」(同)という。
一方の大和ネクスト銀は大和証券グループが2011年に開業し、「証券ビジネスへのゲートウェイ銀行として、ローコスト経営と市場運用型モデルを軸に、着実に業績を拡大してきた」(関係者)とされる。
しかし、「日銀に預けている当座預金の残高が2兆円規模に達するなど、預金を効率的に運用できておらず、資金運用手法の多様化、高度化が急務となっていた。また、大和証券においては、証券担保ローン・不動産担保ローンや相続関連サービスを中心に、融資・信託に関するニーズが高まっているものの、現行の大和ネクスト銀行の機能では、これらに十分対応することが困難だった」(同)という。
信託機能を持つオリックス銀の買収は、まさにその「解」というわけだ。
「リテール(個人)に強い大和ネクスト銀と、不動産向け融資などが強く信託機能もあるオリックス銀。両者が組めば、相続や資産承継などのビジネスで信託機能を活用することができ、不動産関連も含めてシナジー効果がある」(銀行アナリスト)と見込まれる。
大和証券グループは2024年に、あおぞら銀行に約800億円を出資するなど、銀行機能の強化に意欲的だ。今回のオリックス銀行買収の最大の狙いは、「ウェルスマネジメント部門の強化」にあると言える。
ただ、買収価格については、「高値掴みの懸念もある」(市場関係者)との指摘も聞かれる。
大和証券グループは「投資採算を踏まえ適正な価格」と説明するが、「オリックス銀行は佐賀銀行と同程度の総資産だ。佐賀銀行の足元の時価総額は約860億円強。それに比して3700億円の買収額は高額だ」(市場関係者)。
金利のある世界に移行する中、オリックス銀行の成長の伸びしろは大きいことは確かだが……。
(森岡英樹/経済ジャーナリスト)
