睡眠改善イヤホンは本当に効くのか。脳波を読み取る「NextSense Smartbuds」を試してみた
睡眠をサポートするガジェットは、ここ最近じわじわ増えてきています。「寝ホン」なんて呼ばれたりもする睡眠時の使用特化イヤホンや、睡眠サポート機能を搭載したイヤホンなども出てきています。
こうしたイヤホンには、横になったままでも快適に使える装着感やノイズキャンセリングなどがキーになっていたり、アプリと連動して睡眠時間を記録できたりなどの特徴があります。そんな睡眠サポートイヤホンの新たなかたちかもしれない「NextSense Smartbuds」というイヤホンが登場しました。
このイヤホンの最大の特徴は脳波センサーを搭載しているという点。それを聞いただけでもなんだかいろいろできそうと感じますが、実際どんなイヤホンなのでしょうか。
米GIZMODO編集部がこのNextSense Smartbudsに触れてレビューしていますので、みてみましょう。
睡眠はすべての人にとって重要ですし、個人的にも寝ることは重要だと思います。睡眠を愛しているといってもいいくらいに。でも睡眠というのは難しいもので、こちらが眠るのが大好きだとしても、睡眠のほうは私を愛してくれるとは限らないのです。どれだけ寝ても、常に少し疲れている感じがするのです。
だからこそ、自分の睡眠習慣への理解を手助けし、しかも睡眠の改善までしてくれるガジェットがあるという話には強く惹かれます。その上、こちらがほとんど何もしなくていいならなおさらです。
脳波センサー付きイヤホンのご紹介
さて、睡眠をサポートするイヤホンというものは、これが初めてというわけではありません。それでも、脳波測定センサー搭載のイヤホンは初めてみました。
睡眠科学で用いられる脳波は、睡眠の状態、特に睡眠段階や認知機能、身体や免疫系の回復に役立つ「深睡眠」状態にあるかどうかなど、多くのことを理解する手助けをします。
NextSense Smartbudsでは、主に睡眠のトラッキングやモニタリングの機能がありますが、それ自体が目的ではありません。そうした機能を通して、睡眠の質を改善するということです。Smartbudsには、深い眠りに入ったことを検知し、その効果を高めるように設計された周波数の音を流します。これが正しく機能すれば、これまでと同じ睡眠時間であっても、より質の高い眠りが実現できるとされるわけです。目覚めるときも、より爽快で「よく眠れた!」という気分で起きられることでしょう。
しかし、一点注意してほしいことがあります。睡眠科学はほかの科学と同様に常に進化し続けており、すべてが解明されているわけではありません。良い睡眠についてもさまざまな見解があり、たとえば先述の「質の良い眠りを促す周波数の音」や「ピンクノイズと呼ばれる雨音などの自然音が良い」なども意見もあります。こうした音についての見解は実際に効果があるのかないのか、研究が進めばその結論は変化する可能性もあるということです。なので、手放しにすべてを鵜呑みにするのは少し危険でもあることは留意していただきたいのです。
NextSense Smartbudsという製品も、まず「脳波センサー搭載イヤホン」という目新しさから注目を集めたり、評価されたりすることになるでしょう。しかし、今これを見ている人は、ただ単に目新しさだけでこの製品を購入するわけではないはずです。本当に望むのは、私のように「寝ても疲れている」状態から抜け出すことだと思います。その点に関しては、やはりそう単純な話ではないのです。
簡単セットアップですぐに脳波測定
NextSense Smartbudsを数週間試してみて感じた気に入った点と残念な点をまとめてみたいと思います。
まず、気に入った点から。1つ目は、セットアップが簡単ということ。使い始めるときに、脳波測定を行なう簡単なチュートリアルがあり、センサーが適切に機能しているかの信号チェックを行ないます。その後睡眠セッションを開始します。これも非常に簡単で、イヤホンを装着したらNextSenseアプリからセッション開始するだけ。
セッションを開始すると、リラックスできる音(デフォルトでは雨音)が流れ、リアルタイムでモニタリングした脳波の数値が表示される画面に切り替わります。流れる音は好みで変更可能で、せせらぎのような水の音や森の中をテーマにした音、シンプルなホワイトノイズなど豊富な音源から選べます。
その後、脳波を検知して睡眠を深めるための音が流れるのですが、その時点でほとんど意識は朦朧としているので、説明するのが少し難しいです。強いていうなら、一般的なホワイトノイズよりを周波数が低く、飛行機の周囲の騒音をさらに低くした感じのイメージといった感じですかね。
iOSの場合、睡眠セッションを開始すると、ロック画面でもそのアクティビティが表示されるので、イヤホンがアクティブになっているか確認するのにも便利です。現時点ではAndroidではこの設定はできないのでご注意を。
興味深い睡眠データがたくさん
もう1つ気に入っている点は、睡眠のトラッキング精度が非常に高いこと。ほかのウェアラブルデバイスでは、心拍数や呼吸回数、体温などのトラッキングデータから睡眠のスコアを測定します。が、Smartbudsの場合は、6つの脳波センサーから得たより具体的なデータからスコアを測定するといった感じなので、トラッキングの指標が多いのが良いですね。
脳波から得たデータから、毎日の睡眠の内容をアプリですぐ確認できます。たとえば、深睡眠ができたか、それがどれくらいの割合で、その継続時間はどうだったかもわかります。深い眠りを促すために睡眠時に何回音が流されたかといったデータまで表示されます。ほかにも、入眠までにかかった時間、覚醒時間、総睡眠時間などのデータも確認可能です。
アプリではほかにも1週間、1カ月、3カ月といった期間ごとのデータも確認できたり、全体的にこのアプリが非常に使いやすいのもうれしい点です。こうしたデータは非常に興味深く、アプリ上では私の睡眠スコアは97%近くと、よく眠れているという結果がでました。それゆえに、疑問というか少し残念な気持ちも芽生えました。
睡眠の救世主になるかはわからない
というのも、Smartbudsを1週間以上使用したにもかかわらず、通常のときと比べて日中の覚醒度にあまり違いを感じなかったのです。入眠時に流れる音によって寝付きが良くなったとは思いますが、もともと寝付きが悪いわけではないので、個人的には求めているものとは違ったと感じました。
ただし、活力というものは複雑で、複合的であることもまた事実です。睡眠だけではなく、食事、運動、あるいは寝る前のルーティンや生活習慣など、別の部分も関与しますし、それらに問題があるかもしれないわけです。こうした事情は個人差があるものですし、私にとっては深睡眠不足が原因ではなかったのかもしれません。しかし、それが原因という方もいるでしょう。そうした方にとっては、Smartbudsは救世主になり得るということです。
寝ホンで重要なのは快適さ
睡眠改善の実力は計りかねる部分がありますが、NextSense Smartbudsという製品が多くの人に快適な睡眠体験を提供するために改善できる点はあると感じました。睡眠時特化イヤホンにとって最も重要な点ともいえる装着時の快適さです。
私はほかの睡眠向けイヤホンも使いましたが、たとえばAnkerの「Soundcore Sleep A30」などは非常に快適でした。フラットな形状により、睡眠時に7〜8時間装着して横向きに寝ても耳が痛くならなかったのです。
一方のSmartbudsもたしかに似たようなデザインでフラットな形状をしていますが、Sleep A30ほど快適ではないと感じました。というのも、Smartbudsには脳波センサーという技術が詰め込まれており、それによってサイズが大きくなっているのです。その大きさが耳の痛みにつながるというわけです。
NextSenseは、横向きで眠る場合は、枕側の耳はイヤホンを外すことを推奨しています。しかし、睡眠中は当然意識がないわけですから、仰向けで寝ていてもいつのまにか横を向いているなんてこともあるでしょう。そうなればどうなるかは明白です。
横向きで眠る人にとってもう1つの難点は、仮にイヤホンをしたまま枕と接触すると擦れる音が耳の中で聞こえて、これがなかなか不快だったりします。
その点、先述のようにSleep A30は快適なのですが、ついでに言うとSleep A30に搭載されているアクティブノイズキャンセリング(ANC)がSmartbudsにはないことも付け加えておきます。ノイキャンのありなしは必ずしも致命的な欠点ではありませんが、特に優れた「いびきマスキング機能」もあるSleep A30を比べると快適さに違いが生まれるでしょう。
チップ交換というランニングコスト
気になるところはもう少しありまして…たとえばアプリがイヤホンを認識しないことが何度かありました。原因は断言できませんが、その都度イヤホンとスマホを接続し直すのは手間でした。
さらに、イヤホンのシリコン製イヤーチップを21セッションごとに交換する必要があるということです。つまり、「21回寝たらイヤーチップを交換」するのです。その理由は脳波センサーによるもので、性能を向上させるために特殊なコーティング処理がされているため。装着することで、皮膚の油からこのコーティングが劣化するので、交換しないとセンサーの精度がだんだん落ちていくわけです。
このチップ交換のために毎月15ドル(約2,400円)を支払わなければなりません。アプリのサブスク料金などはないですが、結局のところ毎月ランニングコストが発生するというのはなかなか悩みどころだと思います。
気になるところが続いたので、ここでNextSense Smartbudsのハードウェア面の良い点を1つ。
それがバッテリー持ちです。SmartbudsはスマホとのBluetooth接続でのバッテリー消費を和らげるため、睡眠時に流れる音をイヤホンに直接ダウンロードさせておくという手法を使っています。ちなみにこの手法はSondcore Sleep A30と同じです。
アプリのライブラリから音源を選んで事前にダウンロードしておくことで、使用時に都度接続しなくてもイヤホンから流せばいいから省エネになるわけですね。
バッテリー性能のテストのため、バッテリー満タンで音量を約60%で1時間使ったところ、バッテリー残量は94%でした。レビューのために使い続ける中でも、バッテリーがすぐに切れるということはありませんでしたね。NextSenseによると、イヤホンは最大で9時間駆動し、ケースの充電でプラス36時間使用可能とのことです。
睡眠の改善というコンセプトはおもしろい
今回のレビューでは、個人的には劇的な効果はありませんでした。一方で、深睡眠が不足していることが原因で疲れている人にとっては、明確な効果が出る可能性はあるかもしれません。加えて言うならば、この領域の研究が進化を続ける中で、現状のSmartbudsのアプローチが最適解ではない可能性もあります。
ですが、それでもこのイヤホンがほかのものと違うのは、睡眠の質の改善を第一の目的としていることです。
個人的には、このイヤホンの装着時の快適さやBluetoothの不具合が減るだけでも価値は上がると思っています。センサー技術によってここまでできると示す興味深い例だとも思いますしね。
現時点で399ドル(約6万3000円)を費やす価値があるかどうかは予算次第ですが、睡眠系ガジェットというものを知るための、あるいは試してみる最初の一手としての価値はあるかもしれません。
Source: NextSense

