高市首相、ガソリン価格「半額」アピールに大ブーイング 価格抑える補助金の原資は税金...「手柄でも何でもない」
先行きが不透明なイラン情勢とガソリン価格への不安をめぐり、高市早苗首相のSNS発信が波紋を広げている。「日本のガソリン価格は欧州に比べて半額程度」とアピールしたが、SNSは「反応に困りますなあ」「欺瞞でしかない」などと疑問の声が相次ぎ、かえって「燃料投下」となってしまった。
多額の国費投入で事実上「作られている」ガソリン価格
米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した不安定な中東情勢により、世界的にガソリン価格の高騰が続いている。そんな中、高市首相は4月30日、自身のX(旧Twitter)で日本のガソリン価格について発信したが、この内容が議論を呼ぶこととなった。
高市首相のX投稿では、政府が3月19日から開始した補助金による「緊急的な激変緩和措置」によって、国内のガソリン平均小売価格が「170円程度の水準」に抑制されていると言及している。日本円で換算すると「ドイツは396.7円、フランスは373円、英国は338.8円」とし、産油国である米国は「173.9円」とするデータを紹介した。
この数値から、高市首相は「つまり、日本の価格は、欧州に比べ、半額程度であり、産油国である米国と同水準です」と説明。さらに「高市内閣は、国民の皆様の暮らしと経済活動に支障が生じないよう取り組んでまいります」と、成果を強調するかのような文言で結んだ。経産省によると、4月27日時点で全国のガソリンの平均小売価格は1リットルあたり169.7円。3週連続の値上がりとなったものの、高市首相の言う通り「170円程度」となっている。
だが、この高市首相の投稿に対し、返信欄などでは感謝や称賛の声も見られる一方、内容がミスリードだと指摘する声が殺到する事態に。特に目立つのは、そもそも価格の高騰を抑えるための補助金が、元をたどれば税金だという声だ。
SNSでは「我々の血税で補填してるからであって、高市内閣の手柄でも何でもない」「つまり、国民が国民に払っている」などのコメントが続出している。経産省は4月30日、ガソリン補助金の支給額を5月13日までの2週間は1リットルあたり39.7円に引き上げると発表。補助がなければ市場価格は209.7円に達する計算といい、多額の国費投入によって価格が事実上「作られている」のが実態だ。
賃金水準、長期的な目線でもツッコミどころに
加えて、いまだに出口が見えないイラン情勢の中で、補助金を投入し続けることに対しても批判的な意見が目立つ。SNSでは「ホルムズがいつまで長引くか、トランプですら分からないのに?マジで馬鹿なのかな」「将来のことも考えず目先の人気のために税金をジャブジャブ投入できる人間は空恐ろしいな」といった、出口戦略なきバラマキへの不安も広がっている。
また、日本と欧米諸国の「賃金水準」の差を無視した比較への反発も。「よその国とガソリン価格を比較するなら、賃金も比較しないと意味ないけど?」「日本人の年収と可処分所得が米国と全然違うやろ。アホか」といった辛辣な声が続々と寄せられる結果となった。
前衆院議員の米山隆一氏は、今後もガソリン価格を下げるために国債を発行することになると予想。「一時的に助かった気はしますが、結果それは円安・インフレとなって却って国民生活を苦しめます」と批判した。
政策研究大学院大学の竹中治堅教授も自身のXで、高市首相の発信を疑問視。「貴重な備蓄を放出しているので節約を促すモードに入っているのに補助金を出して消費を奨励。むしろ相対的に安いのだから価格を引き上げる余地はあると説明すべき」と指摘。成果をアピールするかのような発信内容を「政権に潜むポピュリズムを露呈している」と警鐘を鳴らした。
高市首相に対しては「経済音痴」という評価がつきまとう。衆院選の期間中だった1月には、外為特会について「円安ホクホク状態」と発言し、物価高に苦しむ家計や中小企業の感情を逆なでしたとして批判を浴びた経緯があった。原油高の長期化が予想される中、際限のない財政出動で価格を抑え込む手法がいつまで維持できるのか。そして、それを自らの政権の「実績」として語るような姿勢が不信感を招き始めている。
