商船三井、日立製作所、日立システムズが浮体式データセンター検証 千葉県では近隣住民の反対運動も
商船三井と日立製作所、日立システムズが、中古船を改造した浮体式データセンター(FDC)の事業化に向けた検証を実施する。3社は開発・運用・商用化に向けた基本合意を締結。2027年以降の稼働を見据えている。
中古船を使うため、陸上建屋型データセンターの開発と比較して最大3年短縮できる。また、船を改造するため、既存の空調や取水、発電機が使え初期コストが削減。冷却についても、海上や河川で運用するため、効率よく海水や河川を冷却システムに活用でき、サーバー冷却にかかる電力消費と運用コストを抑えられる。
浮体式のため用地取得も不要で、需要に応じて稼働場所を変更できるのが特徴だ。また、5万4000平方メートルの床面積を持つ自動車運搬船を改修すれば、日本最大級の陸上データセンターに匹敵するものができる。
AIやクラウドサービスの利用増で、データセンターも急増
AIの急成長やクラウドサービスの利用拡大により、世界・国内ともにデータセンターが急増している。
データセンターの建設場所の選定基準では、地震、津波、洪水のリスクが低いことや、電力の安定供給ができること、メンテナンスのため交通の利便性などが重視されている。
国内では、千葉県印西市や東京都、大阪市が主軸となっていた。近年は、電力確保のため東北や北海道の寒冷地が建設地として注目されている。
一方で、マンションの隣がデータセンターの建設予定地となると、近隣住民からの反対運動が起こる傾向にある。
データセンターが24時間稼働しているため騒音トラブルが起きやすい。電力消費が激しく、停電やエネルギーコスト高騰など近隣のグリッドインフラに大きな負荷がかかる可能性がある。
千葉県流山市で建設予定だったデータセンターは、近隣住民の反対で計画がとん挫。同県印西市の駅近くで建設が予定されていたデータセンターでは、近隣住民が建設確認の取り消しを求めて裁判を起こした。
東京都日野市では、日野自動車工場跡地にデータセンターの建設予定だが、近隣住民の反対にあっている。反対運動で、建物の高さ80メートル予定だったものを72メートルに一部修正した。
AIやクラウドサービスのニーズに対応するにはデータセンターは必要不可欠だ。一方で、電力消費が地域を圧迫する可能性もある。FDCは、データセンター建設に新たな活路となる可能性がある。検証の結果に注目だ。
文/並河悟志 内外タイムス編集部
