トークイベントに登場した佐々木さん(右から2人目)や緒方監督(同3人目)ら(京都市右京区で)

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 映画監督の大森一樹さん(2022年、70歳で死去)が構想しながら、病気で亡くなり撮影できなかった映画「幕末ヒポクラテスたち」が5月8日から公開されるのを前に、主演の佐々木蔵之介さんや緒方明監督らが25日、東映太秦映画村と東映京都撮影所(いずれも京都市右京区)で試写会の舞台あいさつやトークイベントに登場し、作品の見どころや時代劇の魅力を語った。

 (矢沢寛茂)

 府立医科大のOBで医師免許を持つ大森さんには、初期の代表作として自身の体験を基にした「ヒポクラテスたち」(1980年)があり、今回の作品は、大学の依頼で創立記念の事業として企画。コロナ禍で中断した後、大森監督が急性骨髄性白血病で急逝し、立ち消えになりかけた。多くの大森作品に関わった緒方さんが監督、森重晃さんがプロデューサーを引き受け、「遺作」の完成にこぎつけた。

 作品は幕末の京都の村が舞台で、長崎で医学を学んだ蘭方(らんぽう)医の太吉(佐々木さん)が、漢方医と対立しながら貧富の差なく患者を救おうと奮闘。未知の疫病に襲われた村を救おうとする様子や、時代の流れに揺さぶられる姿などが描かれている。ほぼ全編を府内で撮影した。

 試写会は東映京都撮影所内で行われた。京都市出身の佐々木さんは子どものころから親しんだ場所で、学生時代に撮影所のスタッフの自主制作映画に参加した経験に触れ、「京都が舞台で、京都弁で話せる、毎日が新鮮で愉快に挑戦する感じだった」と振り返った。緒方監督も「運命みたいなものを感じて挑み、初めての京都(での時代劇)にあこがれと恐れがあったが、新鮮で懐かしく、わくわくした」などと語った。

 続いて隣接する映画村でトークイベントが開かれ、西脇知事と松井孝治・京都市長も参加。映画について、西脇知事は「京都の文化が非常によく受け継がれていて感謝したい」と述べ、松井市長は「命について考えつつも、見やすく、深い映画」と称賛した。佐々木さんは「時代劇は衣装や所作といった設定さえ押さえれば、現代劇よりもうねった感情を出せるなど、自由で何をやってもいい。この作品が(大森さんの)思いを継ぎ、時代劇の映画をつなぐバトンを担わせていただいた」と熱く語った。