完熟のホットハッチ! フォルクスワーゲン・ゴルフ『GTI』と『R』の話(後編)【日本版編集長コラム #79】
情熱的なGTI、冷静なR
前回から始めたフォルクスワーゲン・ゴルフGTI&ゴルフRという、『スポーツ・ゴルフ』の話。続いて、ゴルフRの登場である。日本では1月10日に発表され、8.5世代ゴルフの新デザインとなった。試乗車は上級グレードとなる『ゴルフRアドバンス』だ。
【画像】冷静さを感じさせる青備え! フォルクスワーゲンのホットハッチ『ゴルフR』 全48枚
ボディカラーはGTIのキングズレッドメタリックに対しラピスブルーメタリックとなり、内装でもステッチやシートなどに青を多用。こちらも調整可能なイルミネーションが青に設定されていて、情熱的なGTIの赤備えに対し、冷静な青備えのRといった趣となる。

続いて登場するのは、フォルクスワーゲン・ゴルフRアドバンス。 平井大介
青いボディに黒いホイールを組み合わせたアピアランスはまさに精悍。全高はGTIの1475mmに対し1460mmと15mm低く、タイヤサイズはいずれも235/35R19で同サイズとながら、ホイールのデザインと色がそう見せるのか、Rのほうが迫力あるように感じられる。
取材期間中は信号待ちで同年代と思しき男性に凝視されたり、とある国産車試乗会で広報担当の方にカッコイイと賞賛されたりと、オーナーでもないのに誇らしい気分になる場面が多かった。
強力なパワーでも過激さは全く感じられない
さて、ゴルフRのパワーユニットは、GTIと同じ2L直列4気筒ターボであるが、スペックはGTIの最高出力265ps/最大トルク37.7kg-mに対し、333ps/ 42.8kg-mとかなりのパワーアップ。先代からも+13psとなっている。駆動方式は4モーション、つまり4WDだ。
4WDだからか、強力なパワーでも過激さは全く感じられない。安心、安全……というフィーリングはGTIの延長にありつつも、GTIよりも全域に渡って明らかにワンスケール速い。その加速はとにかくスムーズで、超絶速いというよりも『気が付いたら速い』と書く方がしっくりくる。スパッと切れ味のいい加速は実に気持ちよく、まさに感動レベルだ。

19インチのホイールは、『ヴァルメナウ』と呼ばれる、実に1本あたり8kg軽量なもの。 平井大介
フットワークの軽快さは、街中でのちょっとした動きでも感じる。足まわりのよさは、これもGTIと通じるものがあった。硬くてもそこに不快さはなく、取材メモに『ボディ剛性が高いからか、足まわりがよく動いている』と、GTIと同じことを書き留めていた。
また、今回のモデルチェンジでRアドバンスへ装着されることになった19インチのホイールは、『ヴァルメナウ』(Warmenau)と呼ばれる、1本あたり8kg軽量なもの。これが走りにいい影響を与えていることは、間違いないだろう。
もちろん公道で味わうことができるのは、ゴルフRが持つパフォーマンスの一端に過ぎない。しかし、他にもエキゾーストノートには勇ましさがありつつ控えめ目だったりと、その一挙手一投足は、動的質感の高さが溢れるものだった。
2台とも感動レベルのドライバビリティ
気になったのは前編で書いたGTI同様、ナビゲーションの音声案内やIDAと呼ばれる音声認識機能だ。包み隠さず書くのならば、前者のカタコト音声は『百年の恋も冷める』と取材メモに記したほど。後者も今回の取材期間では使いこなせなかった。いっそのこと、ID.バズのようにナビゲーションを装備しないほうが潔いのかもしれない。
それから、ゴルフRはステアリングのスイッチがGTIの物理式からタッチ式に変わっている。長押しでレースモードに切り替わる青いRマークボタン追加が理由なのかもしれないが、個人的に物理式のほうが使いやすかったのは、重箱の隅的ながら惜しいと思った部分だ。

ゴルフRには、ハッチバックだけでなくヴァリアント=ワゴンも用意される。 平井大介
ただ、ネガティブに感じるのはそれらだけで、走りの部分で気になったことは皆無。2台とも感動レベルのドライバビリティだった。ちなみにゴルフRの価格は704万9000円、Rアドバンスは749万9000円となるが、値段以上の仕上がりと感じた。712万9000円〜757万9000円でヴァリアントが用意されていることも見逃せない。
ゴルフGTIはFF、ゴルフRは4WDという、いずれもその駆動方式で作ることができるベストホットハッチに仕上げてきた印象だ。フォルクスワーゲンを含む各メーカーが電動化に取り組み、重量増と乗り心地のバランスに翻弄される中、ガソリンエンジンならこれくらいはできて当然……と言わんばかりで、とにかく熟成感が半端ない。
こういったことが実現できるのはベースモデルの完成度が高いことが前提であり、結果的に、8.5世代となったフォルクスワーゲン・ゴルフの素晴らしさを改めて実感したのであった。
