「トランプ氏に反対されないことが最重要」な次の国連事務総長、IAEAのグロッシ氏が優勢
初の女性総長へ、バチェレ氏巻き返し図る
【ニューヨーク=金子靖志】今年末で任期切れとなる国連トップのアントニオ・グテレス事務総長の後任選びに向け、加盟国(193か国)による候補者の公開ヒアリングが21日、始まった。
候補者4人のうち、アルゼンチン出身のラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長が、トランプ米大統領との関係を下地に頭一つ抜け出している。
候補者はグロッシ氏のほか、チリのミチェル・バチェレ元大統領、コスタリカのレベッカ・グリンスパン国連貿易開発会議(UNCTAD)事務局長、セネガルのマッキー・サル前大統領の4人。事務総長職は出身地域を持ち回りにするのが慣例で、今回は「中南米・カリブ海」が有力地域となる。実際、3人が同地域出身だ。
米国など15か国で構成する安全保障理事会が7月頃から選考作業に入り、秋頃に非公開協議と投票で1人に絞り込む。形式上、国連総会の承認を得て選出が決定する。安保理では9か国以上の支持に加え、常任理事国の拒否権を受けないことが必要条件となる。
国連外交筋は「トランプ大統領に反対されないことが最重要だ」と指摘する。グロッシ氏は、ウクライナを侵略したロシアやイランに関する核問題で実績を重ねてきた手腕に加え、「国連改革を迫るトランプ米政権と良好な関係を築いている」(国連外交筋)。グロッシ氏は21日の公開ヒアリングで、「私が目指す国連は現場に足を運び、あらゆる課題に偏りなく取り組む組織だ」と訴えた。
一方で、初の女性事務総長を目指すバチェレ氏は巻き返しを狙う。前回選でも女性を望む声が多かったが、実現しなかった。バチェレ氏はヒアリングで「国の大小にかかわらず対話を通じて問題の予防と解決を担う組織を目指す」と訴えた。
次期事務総長は来年1月に就任する。国連は深刻な財政難に加え、組織の肥大化や機能不全も指摘される。国連に厳しい姿勢を示すトランプ政権と折り合いをつけながら、改革を進められるかが課題となる。
