エムバペ(左)とヴィニシウス(右)の共存問題は相変わらず解決されていない。(C)Getty Images

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「フットボールは、単に名前を並べれば済むほど単純なものではない」

 かつてカルロ・アンチェロッティはそう警鐘を鳴らしていた。二冠を達成したチームに世界最高の選手が加われば、誰もが楽勝を疑わない。だが、1プラス1が常に2になるとは限らない――。2024年末、イタリア人指揮官が密かに漏らしたこの警告は、16ヶ月の時を経て、不透明な未来に直面するチームの現状を冷酷に言い当てている。

 レアル・マドリーは今、主要タイトルを逃す2シーズン目を終えようとしている。それは、キリアン・エムバペが加入してからの2年間でもある。

 バルデベバス(練習場)では、この危機について沈思黙考すべき時期だとの認識で一致している。現在のスカッドならもっと良い結果が出せたはずだという自負と、補強による再介入が必要だという現実。その狭間で揺れる議論の的の一つが、アルバロ・アルベロアの去就だ。

 一部の選手起用や采配はフロントを納得させておらず、シャビ・アロンソの遺産を向上させるどころか、結果を悪化させている。本人は「クラブの兵士」としていかなる決定にも従う姿勢だが、指揮した21試合で7敗という数字はあまりに重い。

 沈思黙考の日々は、選手個々の去就にも影を落としている。今シーズン限りで契約満了を迎えるダビド・アラバの退団は既定路線であり、アントニオ・リュディガーについては1年の契約延長が濃厚視されている。同じく契約満了組のダニエル・カルバハルも、依然として疑念の渦中にある。

 バイエルン戦での敗北(3−4)は、昨夏に1億7000万ユーロを投じた補強組――マスタントゥオーノ、ハイセン、カレーラスのいずれもが先発に名を連ねられなかった事実に象徴される、歪んだチーム編成を露呈させた。中盤には依然としてゲームを司るオーガナイザーが不在だ。
 
 だが、最大の懸案はヴィニシウスとエムバペの共存という、プロジェクトの命運を左右する極めて本質的な問いにある。皮肉にも、エムバペが怪我で欠場、あるいは終盤のみの出場に留まった7試合で5ゴールを挙げていたヴィニシウスは、フランス人FWが先発に復帰したこの4試合、ノーゴールに沈んでいる。

 バイエルンとの2試合で、この二人の組み合わせが機能していないことが改めて証明された。エムバペ個人は今シーズン40ゴールを記録し、CLでも15ゴールと驚異的な得点力を示している。だが、チームとしての得点効率は、彼がいなかった2023-24シーズンの1試合平均2.3点から、加入後の2シーズンでは2.2点へと微減している。個人の成績は突出していても、彼と周囲を繋ぐ回路は、多くの時間帯において切断されたままだ。

 アンチェロッティが警告した通り、1プラス1は2に満たない。二人の共存を巡る葛藤は、スター選手のヒエラルキーによって常に構築されてきたマドリーという組織の、神経系そのものを侵している。

「前線の誰かを外すなら、全ての試合で4−0で勝てる保証が必要だ」

バルデベバス内部から漏れるこの言葉は、今のマドリーが抱えるジレンマを、何よりも雄弁に物語っている。

文●ロレンソ・カロンヘ、ダビド・アルバレス(エル・パイス紙マドリー番)
翻訳●下村正幸

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