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アフィーラ・ブランドの今後は未公表

ソニーグループとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティが3月25日、EVの開発と販売を中止すると発表した。少し前にホンダが4輪電動化戦略を見直したときから噂になってはいたが、いざ現実になると、やはり衝撃だ。

【画像】ソニー・グループがS.RIDEと連携!エンタテインメント・モビリティ構想を公開 全8枚

ソニーとホンダは、第二次世界大戦直後に創業し、革新的な技術力を武器に、町工場から世界企業にまで発展していったことなど、共通項は多い。それは両者のタッグは、発展の様子を消費者として見てきた僕にとっても、特別な思いを抱かせるものだった。よって、アフィーラ・プロジェクトが動き始めると、デザイナーへの取材を申し込んだりしたのだ。


ソニーグループとホンダが共同出資するソニー・ホンダモビリティは、EVの開発と販売を中止。    森口将之

なので、今年中に納車を始める予定だった『アフィーラ1』の販売中止、1月に米国ラスベガスで開催されたCES(家電見本市)で発表したSUVタイプの第2弾の開発ストップというニュースは、ショックだったことは事実だ。

とはいえ、アフィーラ・ブランドそのものがどうなるかは、まだ公表されてはいないし、ホンダはジャパンモビリティショーで参考出展したスーパーワンの予約注文受付を開始するなど、それ以外の部分はいつもどおりの歩みを進めている。

そしてソニーグループも、4月2日、タクシーアプリを提供するS.RIDEと連携し、自動運転とエンタメを融合した特別車両を公開。3〜5日に横浜みなとみらい地区で運行した。

S.RIDEについては、別媒体で前社長へのインタビューを行ったり、現社長とともにラジオ出演したりという関わりを持たせていただいているので、横浜で行われた取材会に向かうことにした。

モビリティエンタメサービスの更なる進化

ソニーグループのポータルサイトでは、新しい取り組みのひとつとしてモビリティを掲げており、イメージング・センシング、音響技術、モビリティサービスの3つの柱を紹介。さらに将来的な技術として、AIエージェント、社内エンタテインメント、クラウドサービスにも言及している。

このうちモビリティサービスを担うのがS.RIDEで、ソニーのAIやIT技術を使って、アプリの使いやすさにこだわったほか、ドライバー向け需要予測技術などを提供している。今回の発表会では新たに『S.RIDE・エンタテインメント・モビリティ構想』を発表した。


今年中に納車開始のはずだったアフィーラ1。その車内で体験した立体音響体験(360 Reality Audio)。    森口将之

音楽や映像などグループのテクノロジーやコンテンツを結集し、ロボットタクシー時代を見据えたモビリティエンタメサービスの更なる進化を加速するとしている。

なお、自動運転については金沢大学発スタートアップで、北海道上士幌町などで実証実験を行うムービーズが担当している。

ライブ会場に行く中で感動与えることが目的

取材会が行われた週末、横浜では大型フェス『セントラル26』が開催された。今回の自動運転エンタメタクシーはそれに合わせたもの。アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇中バンド『結束バンド』の世界観をビジュアル、サウンド、匂いで展開し、没入空間を作ることで、ライブ会場に行く中で感動与えることを目的としている。

早速乗ってみると、空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display)の超絶3Dレベルに圧倒され、空間芳香デバイス(Grid Scent)からは甘い香りや爽やかな匂いが次々に届いてきて、ソニーの技術力の高さを改めて教えられた。

一方、立体音響技術(360 Spatial Sound Mapping)を駆使したサウンドは、「どこかで聞いたことがある」と思った。1年前、銀座ソニーパークの最上階に展示されていたアフィーラ1の車内で体験した立体音響体験(360 Reality Audio)と似ていたのだ。

ソニーの車載音響・エンタメの研究開発は走り続けている

AVの専門家ではないので、両者の違いを正確に説明することはできないけれど、車内で音が駆け巡るようなライブ感は、アフィーラ1と今回の自動運転エンタメタクシーで一致していた。

つまりアフィーラ1の開発は中止されたが、ソニーの車載音響・エンタメの研究開発は走り続けているというわけだ。


発表会では『S.RIDE・エンタテインメント・モビリティ構想』を詳しく解説(配布された資料より)。    S.RIDE

僕はこういう仕事をしていながら乗り物酔いしやすい体質で、助手席や後席で動画を見ていたりすると、すぐに気分が悪くなってしまう。ところが今回は、加減速や右左折を繰り返していたのに酔わなかった。

この点もソニーは工夫していて、乗員の頭の動きに合わせて映像を揺らすことで、乗り物酔いを防止するという技術が盛り込まれていたのだった。

自動車業界は、クルマを作って売ることが最終目的だと思っている人が多いようだ。でも一歩業界を離れれば、それが常識とは限らない。

いち早く自動運転の研究開発を進めたグーグル

たとえばグーグルは、いち早く自動運転の研究開発を進め、2015年に卵型の2人乗り自動運転車両を公開したものの、まもなくウェイモとして分社化してからは、既存の車両に自動運転技術を搭載する方針に転換した。

でもそれが失敗ではなかったことは、現在全米10都市でロボットタクシーが実用化されていることで明らかだ。

しかも自動運転となれば、車内でできることが一気に増える。中国ではロボットタクシーでカラオケをする人が出てきているそうだが、運転手がいないからこそ自由気ままに過ごせるというのは、むしろ日本人のほうが当てはまるだろう。

今回、S.RIDEが走らせた自動運転エンタメタクシーは納得できる内容だし、ソニーのモビリティ戦略は終了したわけではなく、着々と進行していることもわかった。