酒かすでうま味増す「ほろ酔い」フグ 山口、地酒入り口に養殖ブランド化へ

山口県は名産トラフグの養殖に地酒の酒かすを使う試みを始めた。酒かすを与えうま味成分が増したものを「酔虎」として2025年11月から販売中だ。フグの王様と呼ばれるトラフグの天然漁獲量は全国上位だが養殖生産量は振るわず、業者も減少しているとしてブランド化による振興を狙う。(共同通信=松本晴一郎)
日本で唯一フグを中心に扱う市場のある同県下関市によると、1888年、初代首相の伊藤博文の働きかけで山口県は近代日本で初めてフグ食が解禁された。
県によると、トラフグの2024年の漁獲量は約44トンと全国上位だが、トラフグがほぼ全てを占めるという養殖フグの同年の生産量は農林水産省によると約92トンで最多の長崎県の1割ほど。高齢化や赤潮を理由に廃業する養殖業者も少なくない。
2026年2月下旬、山口県長門市の養殖場で飼育担当の中村優里さん(20)が酒かすを混ぜた餌を入れると大量のトラフグがパシャパシャと水しぶきを上げ競って食べていた。中村さんは、餌に毎回酒かすを混ぜる手間がかかるとしながらも「山口のフグ養殖を盛り上げる材料になれば」と笑顔で語った。
県は「ほろ酔いシリーズ」として酒かすを与えたサバなどのブランド化で一定の成功を収めた。廃棄される酒かすの活用も兼ねる。養殖業者から「トラフグでも」との声を受け試したところ、白子でうま味を持つアミノ酸のグルタミン酸が約50%、筋肉では甘味成分のアミノ酸、アラニンが約20%とそれぞれ増加が確認されたという。
酒かすを与えた日数や重さなどの基準を満たした「酔虎」は県内の飲食店や道の駅を中心に販売。国内の消費量が落ち込む中、県の担当者は国際的に知名度の高い日本酒を入り口にアピールし、海外では食材としてなじみの薄いフグの輸出増につなげたいと意気込む。


