京都鉄道博物館そば もうひとつの“鉄道マニアの聖地” 京都・梅小路の鉄道カフェを探訪
“鉄っちゃんアナ”としても親しまれる鉄道通のフリーアナウンサー・羽川英樹さんのラジトピコラム「羽川英樹の出発進行!」。今回、羽川アナがレポートするのは、京都・梅小路の鉄道カフェです。
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世に鉄道カフェと名乗る店は数多くありますが、ほとんどが鉄道模型のレイアウト中心の展開です。しかしこれから紹介するお店は、それらとは一線を画します。完全なるまでの鉄道部品・備品のオンパレード。よくぞここまで集めたなと鉄道マニアも唸(うな)る“パーフェクトワールド”が広がっているんです。しかも、場所はJR嵯峨野線「梅小路京都西」駅から歩いて5分ほど。そう、あの鉄の聖地・京都鉄道博物館のすぐそばに位置しているんです。


入口で横須賀線色(通称・スカ色)の113系に信号機や行き先表示板がお出迎え。京都市下京区の鉄道カフェ「TA-TA」は3階建てになっています。

まず1階に入るやいなや、急行「ゆのくに」(大阪〜金沢)455系の運転席の実物が「どーん!」と置かれています。
乗務員帽をかぶって運転席に座り、右横のボタンを押すと発車ベルが鳴り響きます。ブレーキを動かせばあの独特の「プシュー」という作動音が。マスコンを動かし速度を上げていくと、それに連動して座席に振動と走行音も伝わります。そして、目の前には秒刻みで書かれた運転士用の走行時刻表と懐中時計。いやぁ、もう、いきなりハートをつかまれてしまいました。


能勢電鉄「山下」駅のパタパタ(反転フラップ敷案内装置)も本当に動くし、今のリアルな発車時刻が表示されるという仕掛け。京阪特急1900系の前面マスクを横目に奥へ行けば、切符売り場を彷彿とさせる受付カウンターへたどり着きます。ここでドリンクやフードを注文し、それを受け取って2階へと上がっていくのです。


メインの2階ではまず向かって右側に配列された3種類のシートが目に飛び込んできます。そのど真ん中にあるのがJR東海の700系座席(4人用)です。ここでは窓の外に車窓映像(店主撮影)が流れ、リクエストすれば空からの映像(これも店主撮影)も流してくれるというサービス付き。この座席は、走行に合わせて振動もしています。「できるだけ体でも感じてほしい」という店主のこだわりに舌を巻きます。
他には東北・上越新幹線E4系MAXのグリーン車ひとり座席や、秋田新幹線こまちE6系の黄色の4人掛けが配されています。



一方、向かって左側にはひとり客用のカウンター席がズラリ。そのテーブルには、なんと5扉車として名を馳せた京阪5000系の“ラッシュ時しか使わない”ドアが設けられていたんです。
ほかにもこのフロアは計器類・標識・ヘッドマークのオンパレード。京阪電車宇治線「宇治」駅の信号制御盤は実際にランプも光るし、リアルタイムでリンクしているという優れものなんです。



店主の安済武尊さん(30)は、元東武鉄道の車掌さん。小さい頃からコツコツと鉄道部品を集め出し、鉄道好きが高じていつかこんなお店を好きな開きたいと、好きな街・京都に移住してきて2024年7月にオープンさせました。「光る・鳴る・動く」をコンセプトに、体全体で“鉄ワールド”を感じとってもらおうという工夫が各所に凝らされています。

では3階にも上がってみましょう。窓側席には東武・快速6050系の真っ赤なシート。外を見渡せば、JRの廃線高架跡や京都鉄道博物館からニデック京都タワーなどを臨むこともできます。ほかにも東海道新幹線0系の灰皿付きシートや、かつて斬新な外観で注目を集めた現美新幹線E3(上越新幹線)のアートな黄色い座席も用意されています。


京都鉄道博物館の前後に立ち寄る人や、うわさを聞いて各地から駆け付ける鉄道ファンに、ご近所さんまで、 いろんな人が気軽に立ち寄れる鉄道カフェ。知らない客同士がいつの間にか楽しそうに話し込んでる姿が印象的でした。ドリンク以外にもカレー・パスタ・うどんなどが用意されランチ使いもできます。コーヒー1杯は700円ですが、この設えのコンセプトカフェとしてなら、むしろ安いくらいで大満足です。
この春、京都鉄道博物館や京都水族館、梅小路公園に行くときに、ぜひこのお店もプランに入れることをおすすめします。店主とゆっくり話したければ、店内が落ち着く午後3〜5時くらいの間がねらい目だそうです。(羽川英樹)
