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伝統的な美を継承

アルファ・ロメオに限らず、イタリアやフランスのブランドはドイツ車とは対照的に、車格や世代でデザインを大胆に変えてくる。クルマは文化であり、時代の流行をいち早く捉え、多様性に応えていくことが大事だと考えているような気がする。

【画像】アルファ・ロメオCセグメントSUV『トナーレ』が正常進化!伝統的アルフィスタを意識した内外装に注目 全39枚

同じアルファのコンパクトSUV、Cセグメントの『トナーレ』とBセグメントの『ジュニア』のスタイリングが違うのは、チーフデザイナーが変わったりしたためもあるけれど、だから納得なのである。


3月17日、アルファ・ロメオCセグメントSUV『トナーレ』のマイナーチェンジを発表。    山本佳吾

アルファのエントリーモデルでもあるジュニアが、若いユーザー向けに前衛的な美を提示したのに対して、トナーレは伝統的なアルフィスタを意識して、伝統的な美を継承してきたように感じる。

僕は若い頃、ジュリア・クーペの2000GTヴェローチェに乗っていたこともあり、そのジュリア・クーペをモチーフとしたサイドのショルダーライン、SZやブレラを思わせる6つ目のヘッドランプなどを備えたトナーレに惹かれる。

なのでそのトナーレがマイナーチェンジするというニュースは、期待とともに不安もあった。でも実車を見ると、トナーレらしさをさらに研ぎ澄ませていて、ホッとした。

まずは1.5L直列4気筒ターボにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを積む『ヴェローチェ』と『スプリント』の2グレードから導入される新型トナーレ、大きく変わったのはフロントマスクだ。

『スクデッド』(盾)の中が水平ラインになり、左右には156などに採用されていた『アソーレ』(ボタン穴)が復活。下部のインテークは車端に行くほど拡げることで、『トリローボ』(三つ葉)を強調している。

アルファ・ロメオのヘリテージを意識

試乗前のプレゼンテーションではこの3つのポイントについて、第二次世界大戦前のグランプリマシンや、愛車だった2000GTヴェローチェなどが紹介された。ヘリテージを意識していることが嬉しかった。

しかもこのフェイスリフトは、フロントから流入した空気をサイドに流すことで走行安定性を向上させるとともに、歩行者衝突保護性能を高めるなど、機能面にも寄与しているところがまた素晴らしい。


スクデッド(盾)が水平ラインになり、左右には156などに採用されたアソーレ(ボタン穴)が復活。    山本佳吾

サイドではホイールが目を惹く。20インチという大径もさることながら、3つのホールを大きくとり、外側がタイヤに溶け込んでいくような造形は大胆で、こちらは今のアルファであることをアピールしてくる。

ボディカラーは5色。白、グレー、黒は従来どおりだが、緑は深みのある新色『モンツァ・グリーン』になり、試乗した赤はスペシャルメタリックの、その名も『ブレラ・レッド』になった。

インテリアでまず気づいたのは、7速DCTのセレクターがレバーからダイヤルに変わったことだが、これは昨年の改良で置き換えられていたのだという。

今では貴重になりつつあるナチュラルレザーのシートは、ボディカラーによってはレッドが新たに選べるようになった。レザーなのに滑りにくく、座面のサポートがタイトであるところなど、アルファっぽい。

ふたつのコブの中に収まるメーターはこれまでと同じで、フルデジタルでありながら数字を放射線状に並べた丸い2眼メーターは、1960年代のアルファを思わせる。エクステリア同様、昔を知る者にとってはうれしい演出だ。

4気筒ならではのアドバンテージ

今回のマイナーチェンジでは、メカニズムにも手が入っている。車両重量は2025年モデルから30kg軽くなっており、パワーユニットはレスポンスを改善し、スポーティに仕立てたという。シャシーはトレッドが前後とも8mmずつ拡大されている。

マイナーチェンジ前のトナーレは、ドライブモードのアルファDNAをD(ダイナミック)にすれば活発な加速が得られたものの、N(ナチュラル)やA(アドバンストエフィシェンシー)ではおっとりした印象だった。ところが新型はモーターのピックアップが良くなったのか、Nでも望みどおりのレスポンスが手に入る。


パワーユニットは1.5L直列4気筒ターボにモーターを組み合わせたハイブリッドを採用。    山本佳吾

そのままアクセルを踏み込んでいって、エンジンを回していったときの音もいい。弟分のジュニアをはじめ、コンパクトSUVの多くが3気筒エンジンを積むようになったことで、4気筒ならではのアドバンテージが強調されたようだ。

そしてDモードでは、ハイブリッドなのにアイドリングストップがなくなって、発進の瞬間からエンジンで走っていると実感できるし、クイックなステアリングはスポーツドライビングにふさわしい重さになる。

Dモードでは電子制御サスペンションもスポーツモードに移行して、足が硬くなる。ただ、ボタンを押せばコンフォートモードにも切り替え可能。個人的には、路面の感触を伝えつつ角は丸めて届け、背の高さを感じさせないハンドリングを両立したこちらのほうが、かつてのアルファのテイストに近く好みだった。

新型トナーレは、ようやくその姿にふさわしい走りを手に入れたと思った。このクラスのSUVでは断然スポーティだし、ドライブしていてアルファに乗っていると実感できるのはいいことだ。