絶対的エースのサラー。チームの象徴として君臨する。(C)Getty Images

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 アフリカ屈指の強国として知られるエジプトだが、意外にもW杯の出場は2大会ぶり4回目となる。「アフコン(AFCON)」ことアフリカ・ネーションズカップでは7回の優勝、3回の準優勝を誇るが、W杯のアフリカ予選は各組の1位しか突破できないレギュレーションもあり、世界への壁に阻まれることが多かったのだ。

 2018年のロシアW杯は、実に7大会ぶりとなる世界の舞台だった。エクトル・クーペル監督に率いられたチームは、プレミアリーグの得点王に輝いた絶対的なエースのモハメド・サラー(リバプール)を中心に、堅守速攻をベースとする好チームとして期待されたが、大会前にサラーが負傷したことも痛手となり、結果はウルグアイ、ロシア、サウジアラビアに3連敗。“ぶっつけ本番”で2得点を記録したサラーはそれなりのインパクトを残したが、チームとしては残念な大会になってしまった。

 そのサラーが30歳で迎えるはずだった前回のカタール大会では、2か国によるホーム&アウェーの直接対決となる特殊な最終予選で、強豪のセネガルが相手に。2試合の合計スコア1−1でPK戦になると、最初のキッカーだったカリドゥ・クリバリ(アル・ヒラル)とサラーが共に外す展開で、最終的に1つしか決められなかったエジプトが敗れて、リベンジの舞台への道を阻まれてしまった。

 そうした経緯もあるだけに、開幕時に34歳となるサラーを擁する「ファラオズ(エジプト代表の愛称)」は並々ならぬモチベーションで、北中米W杯に挑むことになりそうだ。

 ホッサム・ハッサン監督が率いるエジプト代表の強みは、何と言っても結束力にある。招集メンバーで国外組は、サラーをはじめオマル・マルムシュ(マンチェスター・シティ)、モスタファ・モハメド(ナント)、イブラヒム・アデル(ノアシェラン)のアタッカー陣、あとは中東でプレーするMFハムディ・ファティ(アル・ワクラ)とディフェンスリーダーのラミー・ラビア(アル・アイン)ぐらい。大半が国内の3強であるアル・アハリ、ピラミッド、ザマレクなどの選手で構成される。

 良くも悪くも寄せ集めの集団になりやすいアフリカの代表チームにあって、クラブチームに近いような雰囲気を漂わせているのも、そのためだろう。もちろんキャプテンでもあるサラーが象徴として君臨していることも心強いはず。ショートパスを細かく繋ぐスタイルがエジプト代表の伝統で、2018年のチームはむしろ特殊でもあった。
 
 本大会のG組でいきなりポット1のベルギーと対戦するが、その後はニュージーランド、イランと格上の相手ではないだけに、昨年のクラブ・ワールドカップでも活躍したエマム・アシュール(アル・アハリ)やマルワン・アティア(アル・アハリ)の高い技術を活かして、しっかりと攻撃的にゲームを進める可能性もある。

 中心選手の一人であるマルムシュはカナダの国籍も持つが、自身が生まれ育ったエジプトの代表チームを選んだ経緯がある。グループステージの会場はシアトルとロサンゼルスだが、特別な思いはあるかもしれない。

 もう一人、注目したいアタッカーが“トレゼゲ”こと、マフムード・ハッサン(トラブゾンスポル)だ。元フランス代表のダビド・トレゼゲに似ていることから名付けられた愛称を、そのまま登録名に使う選手だが、サラーとのホットラインで多くのゴールに絡んでいる。

 知名度ではサラーやマルムシュの影に隠れがちだが、実力的にはW杯の舞台でヒーローになってもおかしくない。

文●河治良幸

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