「サッカーをやめようと考えていた」田中パウロ淳一が、日本一“バズる”Jリーガーになるまで
◆「24時間サッカーしてろ」罵声も気にしない
──流れが変わった、と。
田中:若い頃は、日本代表や海外でプレーしたいという個人の野望はありました。でも年齢を重ね、栃木シティで自分の存在価値を認めてもらえたことで、個人の結果よりチームの結果を考えるようになったというか……。矛盾するんですが、個人の結果を求めなくなったことで、逆にドリブルや左足のキックという自分の武器が生かせるようになったんです。僕は褒められて伸びるタイプ(笑)。だから監督の手のひらで転がされているのかな? チームの中で生かされているだけなんですけどね。
田中:今でも「選手なんだから24時間サッカーしてろ!」とかむちゃくちゃ言ってくる人はいますよ。ただ地域リーグまで落ちて、Jリーガーじゃなくなったことを考えれば、そういう叩かれ方にはビビらなくなりましたね。YouTubeを始めたのはコロナ禍の’20年ですが、当時は僕自身が有名になりたいという思いもありました。でも、栃木シティでJリーグに戻るには成績だけでなく1試合平均の観客動員数が2000人以上でなければいけないなどの条件もありました。メディアが取り上げてくれないなら、お客さんを呼ぶためには自分で発信するしかないじゃないですか。最初はホームスタジアムに100人もいなかったサポーターが、昨季は最大5000人ほどまでに増えました。実際、僕のことをSNSをきっかけに知ってくれて、スタジアムに来てくれた方も多かった。いろいろと言われましたが、やっと時代が僕に追いついたんじゃないですかね(笑)。
──“どん底”を味わったからこその強さを感じます。
田中:地域リーグまで落ちるということは、一度、Jリーガーとして死んだわけですからね。もう、なりふり構わずやるしかなかったんです。「炎上は怖くないか」とか聞かれますが、プロとして一番怖いのは「無関心」。誰にも気にしてもらえないことなんです。ただ僕は(※5)髪形もドレッドで一見やんちゃなタイプに思われるかもしれませんが、夜遊びはしないし、炎上とは無縁なタイプ。そこはクラブにも信頼してもらっていると自負しています。
──ラッパー「¥ellow Bucks」が好きだそうですが、推しのアイドルもいるとか。
田中:ラップも聞きますが、こう見えてアイドルのYouTubeもよく見ます(笑)。タレントの指原莉乃さんがプロデュースしている「=LОVE(イコールラブ)」とか「FRUITS ZIPPER」ですかね、好きなのは。頑張っている人が好き、って言うとおかしいですが、アイドルってみんな本当に一生懸命頑張っている。今の時代、たった一枚の写真、一つの動画からバズることもありますし、彼女たちを見ていると、その瞬間瞬間で勝負しているのが伝わってきて、実はサッカー選手として参考になることも多いんです。たとえば(※6)ファンサービス。アイドルは本当にファンの方一人ひとりを大切にしているじゃないですか。僕はロック音楽も好きで見ているんですが、よくライブ中にお客さんの中に飛び込むミュージシャンもいますよね。サポーターと一緒にどう盛り上がるかを考えると、実はそこにもヒントがあると思っています。ラップもアイドルもロックも好き。どれも田中パウロ淳一という選手をつくり上げている要素と言っていいかもしれません。
◆栃木シティをJ1に上げたい
──’26年、栃木シティはJ2という上のカテゴリーにプレーの舞台を移します。今後の目標を聞かせてください。
田中:サッカー選手として活躍できるのはあと2〜3年。その間に栃木シティをJ1に上げたい。そしてTikTokのフォロワー数が50万人を超えたので、100万人までは伸ばしたいですね!
