だからアップルCEOは「朝4時起床」でメールチェックする…「脳のゴールデンタイム」を最大限に活かす方法
※本稿は、吉武麻子『24時間が変わる朝の30分』(大和書房)の一部を再編集したものです。

■後回しにしがちな「考え事」は朝やっつける
集中力が最も高まる朝時間には、時間が読めず、後回しにしがちな考える作業をあえてあてるのがおすすめです。たとえば、
・企画を立てる
・文章を構成する
・イベントの内容を考える
・商品名を決める
といった、ゼロから何かを生み出すような仕事上のタスクはもちろん、
など、私たちの暮らしの中には、考えることがたくさんあります。
共通しているのは、どれも取りかかるまでに気力が必要なこと。そして、どれくらい時間がかかるか予測しにくいこと。
正解がないうえ、考えれば考えるほど広がってしまう作業は、どうしても「まとまった時間ができたらやろう」と、後回しにしてしまいがちです。
■完璧を目指さず、ハードルの低い一歩から
でも、こうした考える作業こそ、頭がクリアで、雑念の入りにくい朝に取りかかると、驚くほどスムーズに進みます。
まずは小さな一歩を踏み出すことが何より大事です。WordやNotionを開くだけでもOKですし、ノートを開いて思いつく単語を殴り書きしたり、マインドマップで連想を広げていくのもおすすめです。
大切なのは、いきなり完成形を目指さないこと。ハードルの低い一歩を踏み出すことで、次のアクションへと自然につながっていきます。
たとえば営業職の方であれば、取引先から頼まれていた忘年会のセッティングを「何も決まっていないけれど、そろそろ動かないと」と気にしながらも放置していたり、提出したい稟議書があるものの、メモだけでは詰めが甘く「一度ちゃんと考え直したい」と感じていたりすることもあるでしょう。
■午後に考え事してもモヤモヤするだけ
こうした、「考えること」を必要としながらも、忙しさの中で後回しにしてしまっているタスクこそ、朝に取り組む価値があります。朝の静かな時間帯であれば、集中力が分散せず、全体の流れや構成がパズルのようにカチッとはまることもあります。

プレゼン資料の企画段階や、提案文書の骨組みを考えるときにも同じことが言えます。ロジックを整えながらも、相手の反応を想像したり、言葉を吟味したりする作業は、朝のほうが断然、質の高いアウトプットにつながりやすいのです。
家庭のことであっても、考える場面は日々あります。
「新生活を迎える子どもにできることは何だろう」と、少し漠然とした問いについて考えることや、「どのタイミングで住宅ローンを見直すべきか」などライフプランについて考えることもあるでしょう。
このような内容も、脳が疲れている夜より、心が整っている朝に考えるほうが、視野を広く保ちながら冷静に選択できます。
私自身も、本の企画や構成、章立てを考えるときや、研修・セミナーの資料作りの前段階の全体像を考えるときは、必ず朝の時間を使います。
午後以降にやろうとしても集中力が続かず、思考が散らばってしまい、考えているようで何も進んでいないというモヤモヤが残ることが多いからです。
実際に手を動かして原稿を書いたり、資料を作ったりすることは午後でもできます。ところが、全体像を考えるには、集中力が必要なので、やはり朝に限るのです。
■「面倒くさい」がサクサク進む3ステップ
後回しにされることからもわかるように「考えること」は、意外とエネルギーを使います。億劫、面倒くさい、大変そうというイメージが先に立ち、なかなか始められないという人も多いでしょう。
そんなときにおすすめなのが、「タスクの細分化」+「20秒ルール」+「10分ルール」の3ステップです。
たとえば「提案文書の骨組みを考える」をタスクとするなら、このタスク自体をモンスター化させないために、まずは小さく分解してみましょう。さらに、最初の一歩に必要な準備をほんの少し(20秒分)減らしておくことで、取りかかりのハードルをぐっと下げることができます。
たとえば、資料を開きっぱなしにしておく、使うノートやペンを机に出しておく、構想用のWordファイルを作っておくなどです。
■「時間ができたら…」は永遠に来ない
それでも気が散ってしまう場合は、「目の前の誘惑を10分だけ我慢する」と決めるのも有効です。SNSや片づけ、コーヒータイムなど、つい手を伸ばしたくなる行動を10分だけ待ってみる。

その間に、やるべきことの未来への意味を思い出せば、自然と優先順位が戻ってくるはずです。
このように、行動を始める「入り口の工夫」と、脱線を防ぐ「仕切り直しのルール」をセットで用意しておくことで、「考える時間」に無理なく入りやすくなります。
所要時間が読めないからこそ、まとまった時間ができたらやろうとしますが、そう思っていると永遠に始まりません。だからこそ、頭と心が一番整っている朝にあてることで、無駄な疲労や迷いを減らすことができるのです。
■「考えるための下準備」も朝やっつける
それでも、「今日は思うように集中できなかった」と感じる日もあるかもしれません。そんなときは、自分のコンディションや環境を次のように振り返ってみてください。
・体調は良かったか?
・その時間帯は、自分にとってベストな集中タイミングだったか?
・集中を妨げる音や視覚的なノイズはなかったか?
など、集中できなかった背景を探ることで、「次はこうしよう」という対策につながりやすくなります。途中まででもいいのです。
むしろ朝の30分と制限時間があるからこそ、アイディアが思い浮かぶ可能性もあります。小さくても一歩を踏み出して、流れに乗っていきましょう。
また、考える作業には「ゼロイチ」で生み出すことだけでなく、「選ぶ」「決める」「整理する」「意味を見出す」といった種類もあります。たとえば、以下のような作業も、朝に取り組むのがおすすめです。
・「AかBか」で迷っていることを比較して選ぶ(比較表を作ってメリット・デメリットを整理)
・タスクを並べて優先順位を決める(TODOリストを書き出しながら取捨選択)
・モヤモヤしている感情の正体を明らかにする(心の中のモヤモヤをノートに自由に書き出す)
・決断に向けて必要な情報や条件を整理する(選択肢や必要な条件をリスト化)
・誰かに伝える前に、自分の考えをまとめておく(大事な電話の前に、伝えたい要件を箇条書きにする)
こうした「考えるための下準備」も、頭がすっきりしている朝なら短時間で済み、スルッと前に進めることが多いのです。
■アップルCEOもココイチ創業者も朝時間を活用
朝の時間に思考を集中させているのは、私たちだけではありません。世界的な経営者たちも実践しています。

アップルのCEO、ティム・クック氏は、毎朝4~5時に起き、最初の1時間を顧客や社員から届く数百通のメール確認にあてているといいます。
お客様やコミュニティとつながるための大切な時間だと語り、この時間で得たヒントを商品開発や経営判断に活かしているのです。
また、カレーチェーン「CoCo壱番屋」の創業者である宗次二氏は、毎朝、全国の店舗から送られてくるお客様アンケートはがきにすべて目を通していたといいます。
ひとつひとつの声を丁寧に読み、改善点を探し、現場に活かしていく。朝時間に「考える」「感じる」ことを丁寧に行う習慣が、圧倒的な顧客満足度を支えていたのです。
これらは、すぐに成果が出るわけではないものの、確実に未来を左右する「第二領域」の時間です。朝の集中力が高い時間に「考える」「拾う」ことを徹底しているからこそ、新たな価値や改善のアイディアを着実に積み上げていけるのです。
後回しにしがちな思考の時間を、あえて朝の30分に組み込むことが、自分を未来へと導いてくれるのです。
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吉武 麻子(よしたけ・あさこ)
タイムコーディネーター
TIME COORDINATE代表取締役。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして働く。帰国後、「タイムコーディネート術」を考案し、「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネーター養成講座」を開講。監修を務める『時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本』(朝日新聞出版)はシリーズ100万部を突破。
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(タイムコーディネーター 吉武 麻子)
