この記事をまとめると

■日曜日の早朝、神宮外苑の銀杏並木は旧車の集会場となっている

■何かのイベントがはじまるわけでもなくただ集まるだけ

■午前9時に近づくとひとりまたひとりと自然と集まったクルマもいなくなる

旧車・クラシックカー神宮外苑銀杏並木にずらりと並ぶ日

 日曜日の早朝、都内にある神宮外苑銀杏並木沿いの道には、どこからともなく珍しいクルマが集まってきます。なぜここに集まってくるのか、そしてなにをしているのか。筆者も愛車に乗って現地に行ってみました。

■日曜日の朝は静かにはじまる

 午前7時を過ぎたあたりから、普段、街なかであまり見かけないようなクルマが集まってきます。あいている場所に愛車を停め、エンジンを切り、クルマから降りてまずはひと息。オーナーの年齢層はどちらかというと高めかもしれません。

 筆者も自身の愛車を停めて、クルマに問題がないかチェック(一応古いクルマなので念のため)。ひと息ついているうちにもつぎつぎと「普段は街なかで見かけないようなクルマ」がやってきて、いつの間にか停める場所を探すほどの台数になっています。

 ……といっても、何かのイベントがはじまるわけではありません。筆者を含め各々が「今朝は神宮外苑銀杏並木に行ってみるか」と思い、集まってきただけなのです。

■どのようなクルマが集まるのか

 日曜日早朝に神宮外苑銀杏並木にやってくるクルマの多くが旧車・クラシックカーと呼ばれる世代であり、1960年代や1970年代のモデルがずらりと並ぶことも珍しくありません。イベントでもないのに、これほど旧車・クラシックカーが集まる光景は、たまたま現地を訪れた人が驚くほど。とくに外国人の人たちは目を丸くしています。ここにやってくるクルマのメーカーや生産国もさまざまで、世界に数台といった珍しいレア車がフラリとやってくることもあります。

 おそらくは毎週のように顔を出す方もいるのでしょう。そして筆者のように「今日は時間があいたからちょっと行ってみよう」と立ち寄った人もいるはずです。

 ただし、ここに集まってくるクルマは旧車・クラシックカーでなければだめということはありませんし、フルノーマルと思しきクルマがいるいっぽうで、独自にモディファイしているクルマもいます。最新モデルでやってくる人だっています。普段乗りのクルマで行ってもいいわけです。そもそも決まりなんてないのですから。

神宮外苑銀杏並木が旧車乗りの社交場になる

■日曜日早朝に集まり思い思いの時間を過ごす

 その日、集まった人たちが何をするのかといえば、クルマ談義。ああでもないこうでもないと他愛ない会話を延々としています。そのうち、誰かがもち込んだ愛車のボンネットが開くと、エンジンルームを覗いてみようと自然に人が集まってきて(笑)一段と会話が盛りあがります。なかにはひとりでフラリとやってきて、誰とも会話をするわけでもなく、それほど長居せずにサッと走り去って行く人もいます。

 別に何をするわけでもない、ましてや自慢の愛車を見せびらかすわけでもない。「ここに来れば、それらしいクルマが集まっている。だからちょっと行ってみよう」といった具合に、休日の早朝、道が空いている都内で愛車を動かす理由付けとして絶好かつ絶妙な立地なのでしょう。事実、停めているだけで画になりますし。

 趣味車をもっているけれど、ただ漫然と走らせるだけではどうも味気ない。ちょっと思い立ったときにフラッと寄れて、たとえ知り合いでなくとも誰かしらいるはず……。無理やりこじつけると「走らせるための目的」や「アウェイ感なく立ち寄れる安心感」といった条件を加味したときの最大公約数が、「日曜日早朝の神宮外苑銀杏並木」だったと推察します。

■まとめ:やがてなんとなく静かに終わりを迎える

 日曜日の朝といえども、午前9時に近づくと少しずつ交通量が増えはじめます。1台、そしてまた1台とエンジンに火が入り、その場を離れていきます。そのまま帰宅して家族サービスの時間に充てる人もいれば、次の目的地に向かう人もいます。

 オーナーズクラブなどに入会していると、定例MTGが開催され「毎月の定例MTGには必ず参加」といったルールが課せられることもあります。その結果、常連組とそうでないメンバーとのあいだで温度差が生じて、たまに参加するにもどこか気まずい……といった話も耳にします。

 日曜日早朝に神宮外苑銀杏並木の集まりは「その日、来られる人が何となく集まってきて、何となくはじまり、何となく終わる」くらいの空気感です。いい意味でお互いに干渉せず、この「程よい距離感」が心地いいという方もいるはずです。事実、日曜日早朝に神宮外苑銀杏並木の集まってくる人たちの大半が「節度をもった趣味人」という印象を受けます。お酒好きにとって行きつけの飲み屋やバーが心のオアシスであるように、ここはクルマ好きにとって癒やしの空間であり、貴重な社交場でもあるのです。

 じつはこのテーマの依頼を受けたときに、どのようにまとめるか正直悩みました。行きつけの店が何らか形でスポットライトを浴びると客層がガラリと変わってしまうように、記事にすることで「招かれざる者」に対しての呼び水になることを懸念したからです。

 あくまでも私個人の意見ではありますが、このまま現在の雰囲気を崩すことなく「このまま何となく、ゆるくてもいいから続いてほしい」というのが偽らざる本音です。