@AUTOCAR

写真拡大 (全3枚)

史上最高傑作のエントリー・ミドシップ

AUTOCARで実施している詳細テストでは、単に同セグメントで優秀なだけでは満点評価を得ることができない。他を圧倒するような特定能力の高さで、全体の評価へ影響を与えるか、評価基準を再設定するようなレベルに届いている必要がある。

【画像】低価格で毎日を満たす ダチア・サンデロ PHEVを忘れる新基準 フェラーリ296 GTB ジョガーとSF90も 全149枚

このフェラーリ296 GTBは、マラネロの新しいミドシップ・スーパーカーのエントリーモデルとして、史上最高傑作だといっても過言ではないだろう。クラスの枠を超えた、別格の完成度を得ていた。


フェラーリ296 GTB(英国仕様)

四輪駆動のハイパー・フェラーリ、SF90 ストラダーレを2021年に初めて運転した時は、1000psという最高出力が生み出す驚異的な加速に感嘆した。ところがサーキットでは、軽くない車重と若干精彩に欠ける操縦性が印象の足を引っ張っていた。

スーパーカーとしてのコンセプトも、得られるドライビング体験も、少々複雑だったといえる。ただし、2基の駆動用モーターの制御は素晴らしく、V8ツインターボ・エンジンとシームレスに協働し、フェラーリのハイブリッドへ大きな希望を抱かせてくれた。

われわれがフェラーリへ求めるものは、より能力の幅が広く、現実的な環境に近く、後輪駆動のミドシップだろう。488 GTBや458 イタリアが提供したような、ドライバーを惹き込むダイナミックさを備えれば、並外れたモデルになるであろうことは想像できた。

複雑なパワートレインを忘れられる

296 GTBは、まさにそんなクルマ。830psを現実的に堪能できる能力を獲得している。

英国の自動車試験コース、MIRAでは、驚異的に速いSF90 ストラダーレのラップタイムへ肉薄した。新開発のツインターボV6エンジンはリニアにパワーを生成し、一貫性が高くスムーズな操縦性と見事に調和。速さ以上の魅力にも満ちていた。


フェラーリ296 GTB(英国仕様)

必要になれば、プラグイン・ハイブリッドのパワートレインを活かし、ボタン1つで駆動用モーターによる無音に近い走行も可能。それも、多くのドライバーが気に入るであろう好印象を与えた。内燃エンジンと見事に調和した振る舞いにも、強く唸らされた。

V6エンジンは、圧倒されるほどのレスポンスでシャープに吹け上がる。そこへ、駆動用モーターが融合するようにパワーデリバリーの谷を均してくれる。極めて自然に、動力性能を引き上げていた。

プラグイン・ハイブリッドでありながら、複雑なパワートレインで走っているという事実を忘れられることこそ、296 GTB最大の功績といえるだろう。直感的に加減速でき、8500rpmのレブリミットまで現実的に楽しめる。

モダン・スーパーカーとして、日常的な使い勝手も充分。マクラーレン・アルトゥーラより車重を巧みに包み隠し、ポルシェ911 GT3より乗り心地はしなやか。スーパーカーの新たなベンチマークが、2022年に誕生したのだ。