ドラえもん・スネ夫の声優になって18年。「なんでも言い合える、第2の家族みたいな仲」<水田わさびさん×関智一さん対談>
子どもから大人まで幅広い世代から愛され続ける、国民的アニメ『ドラえもん』。1980年に1作目が公開された『映画ドラえもん』シリーズも、42作目となる『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』が3月3日より絶賛公開中です。
水田わさびさん×関智一さんインタビュー

今回は、ドラえもんを演じる水田わさびさんと、ESSEonlineでエッセイを連載中のスネ夫役・関智一さんにインタビュー。意外にもこの2人での取材は初めてなのだそう! ここでは、映画の話やそれぞれの役を演じて18年目を迎える『ドラえもん』にまつわることをたーっぷりお伺いしました。
●思わず涙してしまった台本
――今回の『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』の台本を最初に読んだときの感想を教えてください。

水田わさびさん(以下水田):私は収録の合間に今回の台本を読んだのですが、思わずスタジオで涙してしまいましたね。「このセリフを言わせてもらえるんだ…」って役者としてもすごくうれしかった。あとはあの古沢(良太)さんの脚本! 名前を拝見して、思わず息をのみました。
関智一さん(以下関):僕は、今までもいろんなところに冒険に行きましたけど、まだ「ユートピア」っていう場所があったんだなって思いましたね。巷では、いろんなところに行きすぎて、もう冒険するところはないんじゃない? なんて言われたりもしていますが、まだまだそういう場所があるんだってワクワクしました。
●定番のセリフにある安心感
――本作も見どころばかりかと思いますが、お互いの印象に残っているシーンをあげるとするとどのシーンですか?

水田:ジャイアンとスネ夫君が“意図的”にやってるのではなく本心から「いい子」になるところはこの作品ならでは。悪意や打算的な理由なしに真面目になるのは初めてなんじゃないかな…? だから、テイストも違ってすごく新鮮でした。ジャイアンとスネ夫、心底いい子になってます! 演じている本人はさておいて(笑)。
関:打算とかあったりしますからね(笑)。
水田:それが好きなシーンですね。でも終盤につれ、いつもの2人に戻る切り替えが「やっぱり関さんの演じるスネ夫はこのテンポだよな…」ってすごい好きなんです!
関:僕は、長編になると必ず出てくる「僕はタヌキじゃない」っていう定番のセリフが好きなんですよね。“よっ、待ってました!”みたいな。
水田:私も言わないと映画やった気になりませんから(笑)。よしあった! って思います。
関:ドラえもんって、『男はつらいよ』でいう寅さんみたいな“変わらない存在”で安心する。ちょっと違う映画ですけどね(笑)。周りは変化するけど、変わらず見守ってくれる、みんなも戻ってこれるよさがあると思います。
●もし完璧な自分になれるとしたら、なにを願う?
――ジャイアン、スネ夫のいい子にも通じますが、本作では「パーフェクト」がキーワードになっています。そこで、もしパーフェクトになれるとしたら、なにを完璧にしたいですか?

関:僕は決められたことをちゃんとできるようにしたいですね。(連載中の)ESSEonlineの原稿の締め切りとかもね………(苦笑)。いや、守ってるときもあるんですけど、書きたいことがあるときはパッと書き終わって早く送る。でも、なに書こうかな? ってなると時間かかっちゃうんだよね…。
――とはいえ、ここを過ぎると本当にまずいっていうラインでは、原稿を送っていただいてます…よね…(笑)。
関:1回電話取材のときもありましたけどね(笑)。一応予定を立てて、「今日はこれとこれをやる日!」みたいに決めてますが、ずれてしまってやれないものが出てきちゃうんですよ。それも忙しくてというよりは、 “CDを大量にパソコンに取り込む”みたいな、今やらなくてもいいことついついやっちゃって…。
水田:でも、その気持ちすごくわかります。私も今なんでこのキッチンの端っこを磨き始めた? みたいなのとかありますよ。
関:そうなんですよ! だからぶれずに立てた予定をしっかりと守っていくパーフェクトになりたい。そしたら周りにも迷惑をかけないで自分も気がラクだし、いいなって。そこを目指してます。ちょうど締め切りのタイミングなので、別件が片づいたら連載の原稿やります!
水田:これはひょっとして関さんが締め切りに間に合わないっていう理由を聞いただけですかね(笑)? 智一君もやな大人になっちゃったな〜(笑)。
●パーフェクトな○○がほしい!
関:(笑)。ちなみに、水田さんはパーフェクトにしたいことってあります?

水田:私は常に「どうやったら体がパーフェクトになるんだろう」と思ってますね。昔、舞台を何本かやっていたときは、稽古場からバイトに行って、アフレコして、その足で稽古場に戻って、またバイト…とか全然寝なくて大丈夫だったんですよ! でも今はそんなの無理。体調を優先してまずは寝ます。
人って体がパーフェクトだったら、それこそ寝ないで時間の活用もできていいですよね。最近は、喉を守るために大好きなカラオケもあまり行かなくなりましたし、歌うのが大好きだから朝までめっちゃ歌って仕事に行ける体とかになりたい! 「パーフェクトな声帯」が欲しいです。
関:カラオケをいっぱい歌う仕事をいれてもらえば、制限なく行けていいんじゃない?(笑)
水田:そっか(笑)。そしたらいっぱい歌をうたいたいですね。
●ドラえもん、スネ夫を演じて18年!
――2005年からおふたりがドラえもん、スネ夫を演じるようになって18年目になります。この18年、振り返ってみていかがでしたか?

水田・関:あっという間でしたね!
水田:私は最初の頃の方が思い出せたりしますね。途中飛んでるかも…。
関:ルーティンなので、途中混ざっちゃったりしてるものもありますね。劇場版も僕たちになって17作目で、順番に言っていこうってなったときはどこか抜けちゃったりするんですよ。
水田:私はいつものび太君に聞いてます。のび太役の大原さんはそれこそ「わさびさん、このときこういう服着てこう答えてます」って覚えていて、「え、服まで覚えてるのー!」みたいな。
――それはすごいですね! 最初にお互いの配役を聞いたときはどう思われましたか?
関:もともとお互いのことを知っていたので、だからほかの作品と同じく「あぁ、わさちゃん(水田さんの愛称)」みたいな(笑)。
水田:私は関さんって聞いてめっちゃうれしかったですね! 昔から知ってる方ですし、関さんがいるなら、なにかあっても相談できるって思いました。今となってはみなさんに相談できますが、やっぱり最初にキャストを聞いた時点で「頼れる!」って思える人が1人いるのは、全然気持ちが違いました。
●関さん、水田さんとかかずさんに怒られた
―― もし今だから言えるということがあれば教えていただいてもいいですか?

水田:ドラえもんは基本的に週1回集まって録っていますが、たまにイレギュラー日に収録することがあるんですね。それで、あるとき関さんが別日に収録したから、今週の収録が終わったと思って通常の収録日の集合時間に来なかった…なんてことがありました(笑)。
関:(笑)。3回連続で遅刻したなんてこともあったね…。
水田:「大丈夫かな?」、「無事かな…」とか凄く心配しましたね。みんな笑ってたけど、私はなんかすごく愛おしい気持ちで待ってて、なんだろこの感情は…みたいな(笑)。関さんのことをまるで恋人を待つかのような気持ちになってました。やっぱり、毎週決まった曜日と場所で会う人が突如現れなかったら心配ですよね! 事故に合って警察から電話かかってくるんじゃないかな? とか。
関:(しずか役の)かかずゆみさんも体を心配して、検査いってくれとか言ってくれますね。
水田:嫁じゃないですか!(笑)

関:やっぱり長い付き合いなのでみなさん心配してくれます。遅刻がつづいてしまったときも、いちばん働いていたタイミングだったので、肉体的に限界を超え気絶するように寝て、朝目覚ましがどんなに鳴っても起きられなかったんです。ただ、1回わさちゃんとかかずさんに呼び出されて某飲食店で怒られましたよ。「遅刻はやめましょう」みたいな(笑)。
水田:そんなこともありましたね。でも、(ジャイアン役の)昴君がまだ10代だったんですよ! 昴君が関さんのことを好きすぎて、いいことも悪いこともマネしちゃう。だからちょっとやばくない? ってなって、ゆみちゃんとあいつ呼び出し! みたいな感じで関さんを注意しましたね(笑)。
関:おかげさまで治ったんですけどね。でも、よくないところは言ってもらったり、そうやって支えてもらいながらやってますね。
水田:そういう風に言い合える仲ってすてきですよね。関さんじゃなかったら言えなかった。だからある意味家族なのかもしれないなって思います。実際の家族があって、2つ目の家族だからこそ、素の自分を出しても許してもらってますし、気をつかわない仲です。
関:熟年夫婦みたいなね。
●愛を感じられる映画だからこそ多くの人に見てほしい
――最後に、ESSEonline読者にメッセージをお願いできますか?

水田:毎年言ってますが、とくに今年の映画は絶対大人も見たほうがいい映画! テーマがすごく深いですし、会社とかで「この人ー!(怒り)」みたいなものがあっても、でもこれもこの人のいいところかな? って少し許せる気持ちにもなれるかも。人の長所も短所もすべて好きになって、人が好きになれる、そんな映画になってます。
関:ちょうどルーティンとか仕事とかで日常つまんない、やだなと思っても、その日常の中に輝きを見つけられる映画になってます。愛のある映画をぜひご覧ください!
