ドリブラーゆえの悩み…より結果にこだわる泉は、トップ下を経験することで、さらに進化できるか。「全部吸収して成長につなげたい」と意気込み。写真:安藤隆人

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 関西トップクラスのサイドアタッカーであるMF泉柊椰(びわこ成蹊スポーツ大学4年/ヴィッセル神戸内定)が今、ターニングポイントを迎えようとしている。

 爆発的なスピードとスムーズな両足のボールタッチ、そして軽やかなステップワークを駆使したドリブル突破が魅力の泉は、左サイドのスペシャリスト。びわこ成蹊スポーツ大でも、全日本学生選抜としての日韓戦(韓国)や、U-23日本代表としてのU-23カンボジア代表戦(カンボジア)でも、左サイドハーフとして存在感を放った。

 だが、この海外遠征直前の千葉合宿の最終日に行なわれた関東大学1、2年生選抜との試合では、トップ下として前半の45分間プレーしたのだった。

「正直、あまりやったことがないので慣れないですし、慣れるのには時間がかかると思います。僕は相手の死角に入って斜めに走っていくのが得意なのですが、真ん中でゴールに向かって走ることは、最近はやったことがないので、いつ相手を剥がすのか、どうすべきかが分からない時があります。サイドだとライン全体が見えてオフサイドとかタイミングを図れるのですが、真ん中だと見えないので飛び出すタイミングが難しいですね」

 試合後、泉はこう口にしていたが、トップ下としてのプレーを見て、非常に高い適性を持っていることと、このポジションをこなすことの大きなメリットを感じた。

 泉はもともと神戸U-18時代にトップ下を経験していた。細かいボールタッチを活かして、狭いスペースでもボールを収めて、加速してゴールに迫ることができる選手だった。
 
 びわこ成蹊スポーツ大に進学すると、その類稀な突破力とスピードを評価されてサイドアタッカーで固定され、そこから大学サッカー界を代表するサイドアタッカーに成長を遂げた経緯があった。

 本人が言うように、関東大学1、2年生選抜との試合では、久しぶりのトップ下のポジションに最初は戸惑いを見せていたが、時間が経過していくにつれて、徐々に小さなスペースでも加速できる力が発揮されるようになった。

 そして1−1で迎えた39分、右サイドでボールを繋ぐ味方に対し、中央からペナルティエリア左前にできたスペースを見つけた泉は、素早くサイドステップをしてDFの視野から消える動きでスペースに潜り込むと、パスを受けて、一瞬でスピードに乗ってカットインから右足一閃。ボールは鮮やかにゴール右隅に突き刺さって決勝点をマークした。

 このプレーこそ、泉がトップ下に適性があることを証明したものでもあった。
 
「自分の適性はサイドアタッカーだと思いますが、選手としてのキャパを広げられることは良いと思っています」

 先述の海外遠征でも成果を発揮した。カンボジア戦の14分にペナルティエリア内左で、一瞬で加速して相手をワンタッチで剥がすと、右インフロントで正確なクロスをファーサイドに入れて、FW小森飛絢(新潟医療福祉大4年/ジェフユナイテッド千葉内定)の先制弾をアシスト。

 密集地帯で冷静に足もとにボールを収め、細かいボールタッチと一瞬の加速で結果を生み出したシーンだった。それ以外でもこの海外遠征では、大胆なサイドアタックと中央に入っていっての緻密なプレーを発揮した。

 泉が得た新たな可能性。たった45分間のプレーが、これまで彼自身が持ち続けていた、ある悩みの答えも導き出した。
 
「ドリブラーゆえの悩みはいろいろ持っています。ドリブルが得意な割には結果が伴っていないので、もっとゴール、アシストの結果を出さないといけないとずっと思っていました。そうなると真ん中の位置から仕掛けることは重要になってきますし、そこでキレを駆使して相手を剥がすことができれば、その相手はセンターバックなので、あとはキーパーしかいない状態になって決定的な仕事ができる。

 日本代表を見ていても、三笘薫選手や伊東純也選手はただ速いだけではなく、前にぐいっと行けるからこそ怖いじゃないですか。やっぱりゴールに迫れるドリブラーじゃないと、A代表には入れないし、上には行けないと思っています。

 個人的にトップ下も面白いと感じましたし、全部吸収して成長につなげたいと思っているので、いろんな壁を越えていきたい」

 難しいと感じるからこそ、工夫しないといけない。ただそのポジションに適応するだけではなく、自らの武器をフルに生かせるようにしないといけない。トップ下での経験は、泉が今後、偉大なサイドアタッカーになるための重要な経由地になるはずだ。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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