機種代たったの9980円、ドコモが売る「TONEのスマホ」を解説(石野純也)
トーンモバイルは、ドコモのエコノミーMVNOで端末の取り次ぎ販売を始めます。24日に発売されるのは「TONE e21 rev.2」。21年4月に発売された「TONE e21」に一部のソフトウェアを先行適用するなどしたマイナーバージョンアップ版で、価格は9980円に抑えました。ドコモが、自社のラインナップではない端末を販売するのは異例のこと。取り次ぎ販売ではありますが、その成否に注目しておきたいところです。

TONE e21は、その名の通り21年4月に販売された端末。チップセットにMediaTekの「Helio P35」を採用したミドルレンジモデルで、4800万画素のメインカメラや800万画素の超広角カメラを含むクアッドカメラを搭載しているのがハードウェア的な特徴。チップセットのスペック的には、ドコモが独占販売したソニーの「Xperia Ace II」と同等です。

メモリ(RAM)は6GB、ストレージ(ROM)は128GBで、2万円台のエントリーモデルと比べるとスペックは高いと言えるでしょう。低価格のスマホでは、生体認証がフロントカメラを用いた単純な顔認証だけということもありますが、TONE e21は背面にしっかり指紋センサーを搭載しています。バッテリーも4000mAhと比較的大容量です。
21年4月の発売当初は2万1780円でした。スペックを見るとこれでもリーズナブルでしたが、エコノミーMVNOでの販売にあたって、価格は当初のモデルも含めてすべて9980円に見直されています。1万円を下回る価格で入手できるスマートフォンとしては申し分ない性能で、お得感がさらに増した印象。ドコモショップ2300店舗に販路が一気に広がったこともあり、規模の経済を発揮しやすくなった恩恵が価格に表れていると言えるでしょう。

もっとも、TONE e21やそのエコノミーMVNO版のrev.2は、ハードウェアではなく、ソフトウェアにこそ、その真価があります。同モデルには、トーンモバイルが長年積み重ねてきた各種サービスが内蔵されているからです。見守りサービスや、トーンモバイルの端末同士で遠隔操作をしてサポートができる「家族遠隔サポート」は、その一例です。

ホーム画面も3種類が内蔵されています。素のAndroidに近い一般的なホーム画面のほか、項目を絞り込んで文字を大きく、簡単にしたシニア向けのホーム画面や、使えるアプリを厳選した子ども向けのホーム画面を搭載。特別なハードウェアを用意するのではなく、利用する年齢層やスキルに合わせて、ソフトウェアをカスタマイズするというのがトーンモバイルの基本思想で、TONE e21にもそれを反映した格好です。


ただ、子ども向けのホーム画面は、少々寂しいというか、デザインがこなれていないような印象も受けました。アプリのアイコンが上に寄せられてしまい、画面下部には謎のスペースが空いているのは気になるところ。スカッとしているのは制限がかけられていないアプリを表示しているためですが、もう少しデザイン的な工夫があってもよかったような気がしています。
もっとも、子ども、特にトーンモバイルが狙っているティーンエイジャーは、iPhoneの普及率が高い世代。トーンモバイル自身もエコノミーMVNOの第一弾として、見守り機能各種をネットワーク側に寄せたiPhone用のSIMカードを販売しています。そのため、Androidで狙うのは、主にシニア層ということになりそうです。シニア向けに300MBまで1年間無料にするキャンペーンを打っているのも、そのためです。

一方で、この端末とトーンモバイル回線のセットであれば、いわゆる現役世代の一部も十分狙えるのではないかと感じました。その証拠になるかのかどうかは微妙なところですが、先行してサービスを提供しているエコノミーMVNOのiPhone用SIMカードでは、トーンモバイルが狙っていたティーンエイジャー以外のユーザーが予想に反して多かったようです。


トーンモバイルを傘下に持つフリービットの石田宏樹社長は、この事実に「驚いた」と反応しながら、「元々対象としていなかった現役世代が、ティーン層と同じぐらい取れてきている」と語ります。これは、トーンモバイルの料金プランが一般層にも評価された結果と言えるでしょう。現役世代は、見守りサービスのTONEファミリーは契約せず、1100円で動画以外が使い放題になる回線として使用しているようです。

確かに、動画やアプリのダウンロードはできませんが、1100円でブラウジングやSNSなどのアプリが使い放題になる料金プランはほかにありません。使い放題と言えば、ドコモでは「5Gギガホ プレミア」を提供していますが、こちらの料金は割引適用前で7315円と、トーンモバイルの7倍弱の金額。同じエコノミーMVNOでもOCNモバイルONEは、3GBで990円のため、動画やアプリのダウンロードをしなければトーンモバイルが魅力的に見えるというわけです。
もちろん、これはiPhoneパワーがあってのことではありますが、1万円を下回る価格で必要十分な端末が手に入るとなれば、TONE e21 rev.2をセットで購入する人が増えても不思議ではないでしょう。
ティーンエイジャーやシニア世代など、明確にユーザー層を絞ってサービスを展開してきたトーンモバイルですが、エコノミーMVNOで販路が広がった結果、これまで同社を知らなかったユーザーが魅力を感じていることが伺えます。格安で販売されるTONE e21 rev.2の投入を機に、そのユーザー層をさらに広げることができるようになるかもしれません。
