竹内 事業によって濃淡があるのですが、フィルム事業が好調だったこと。それから、前期はPCR関係が特に好調でした。

 COVID関連の開発はここ1、2年ですけど、基礎技術を10年前から蓄積してきたことが活きました。

 フィルムも液晶テレビの主要部材ですし、電子部品の製造に必要なフィルムも10年、15年前からやってきたものがようやく実ったということが1つあります。

 もう1つは、世界の景気が沈んでいたので原料なども下がっていました。これは外部要因で、われわれの実力ではないですが、原料安のメリットもありました。

 それから3つ目は、1年半前帝人がデュポンと提携してグローバル事業として展開してきたフィルム事業を譲り受けました。その効果が出ています。

 それだけならもっと良い決算になったのですが、一方で衣料繊維が苦戦しました。百貨店のダメージや、自動車関係が前半、生産が落ちましたので、そういう影響があって、結果として、全体はプラスが上回り、数字としては比較的堅調であったと。

 ─ 取引先が多業種にわたることも、その要因ですか?

 竹内 そうですね。事業が分散して、1つに偏っていないことは収益の安定性ということでは大きいと思いますね。

他社が真似できない液晶向けフィルム

 ─ フィルム事業は今、全体のどれ位を占める事業に?

 竹内 今ですと、全体の3分の1強ですね。

 大きいところは、今後のわれわれの方向にも関わってきますが、パッケージフィルムですね。スーパーやコンビニに並ぶ商品の多くにわれわれのフィルムが使われています。

 今、海洋プラスチック問題をはじめいろいろと問題がありますが、一方で、商品の消費期限を延ばすためにも重要な食品包装用途ではわれわれのフィルムが貢献しています。これが今、国内トップシェアで収益の支えになっています。

 もう1つは、先ほど申し上げた液晶関係、電子部材関連のフィルムです。

 ─ これは今後も期待できますね。

 竹内 そうですね。電子部品や5G、6G時代になると、さらに精密な素材が要求されます。われわれはセラミックコンデンサー、これも砂のように小さな部品ですが、その製造工程で使用されるフィルムを提供しています。

 ─ 超マイクロの世界ですか?

 竹内 ええ、超マイクロです。電子機器の回路が極小化しているので、製造過程でそこに誤差が生まれやすい。それが出ないようにする平滑性に優れたフィルムが、いま伸びています。

 ─ 他社は真似できない。

 竹内 そうですね。日本のメーカーさんの一部はできますが、海外の企業では難しいですね。

 ─ 中国企業は?

 竹内 できないと思います。この商品もお客さんに対してかなり密接な対応をするのと、聞いたことを実現する技術力、開発力が必要なので、おかげさまで、今は、このポジションを確保できている状況です。

 帝人は帝人ですごい技術を持っていたので、それを融合することで、世界トップのフィルムメーカーを目指しています。

 謙虚に言うと「目指す」ですが、実質、この世界の特定分野ではトップの製品もあります。

 ─ どのあたりに強みがあるのですか?

 竹内 大きいのは液晶テレビですね。液晶に使われるフィルムは複数あるのですが、その中の偏光子を保護するフィルムで今、シェア4割になっていて、5割近くまでいけそうな状況です。

 面白いのは、中国で特に好まれる液晶テレビはすごく大きいのですが、大きくなると、それまでのフィルムではゆがみが出やすくなります。ところが、われわれのフィルムの原料はポリエステルなので湿気を吸わないため、画面が大きくなってもゆがまない。