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「クルマがない!」 8月5日午前2時

text:Kumiko Kato(加藤久美子)editor:Taro Ueno(上野太朗)

宇都宮市清原台周辺に住むAさんは本日未明(8月5日午前2時頃)、ふだん置いているアパートの駐車場に愛車のFDがないことに気がついた。

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盗難された「宇都宮 334 や ・777」のナンバーをつけた車両は黄色いマツダRX-7(FD3S)タイプRバサーストR(2001年8月発売500台限定の特別仕様車)だ。8月4日昼〜夜間に盗難されたと考えられる。


盗難されたAさんのマツダRX-7(FD3S)タイプRバサーストR。    @FD3S_kiti

なお、AさんはマツダRX-7(の盗難が増えている事や住んでいるエリアで盗難が多発していることを知っていた。

今年3月頃にはハンドルロックを装備し、7月上旬に「クルマ、パクルな!」動画が拡散されたマツダRX-7盗難(翌日に発見)以降、さらに防犯強化すべくタイヤロックを追加。クルマから降りるたびにバッテリーを外すなどセキュリティ対策をしていたという。

それなのになぜ、盗まれてしまったのか?

「毎晩のルーティンとして寝る前に部屋から駐車場のクルマを確認してから休んでいました」

「しかし、8月3日はたまたま外出先から夜遅く戻って来て疲れていたのもあり、バッテリーを外したりタイヤロックしたりなどの毎度の防犯対策をせずに寝てしまいました」

「夜、眠る前にやっていたクルマの確認もしていませんでした。翌日も在宅勤務で家にいて防犯対策のことは頭にあって、やらないとなーと思っていたのですが……」

たった1日 そのスキを狙われた?

そして本日未明。そろそろ休もうかと思って、部屋のベッドの上から毎度のクルマ確認をしたところ……停めたはずの駐車場に黄色いFDの姿がないことに気づいた。

「クルマがないことに気づいてすぐに盗難されたんだと思いました。すぐに警察に電話しましたが自分の住所も忘れるくらい気が動転してました(苦笑)」

「警察はすぐに来てくれて優しく色々と励ましてくれました。そのあと、税関の密輸ダイヤル(0120-461-961)などにも電話して、ツイッターで盗難報告をして拡散をお願いしました」

なんと恐ろしいことに、毎晩、クルマを降りるたびにやっていた防犯対策をたった1日だけやらなかったそのタイミングで盗まれてしまったのである。

これはいったいどういうことなのか?

実はこのようなケースは筆者が取材した中でも何件が似たような事例がある。

・ふだんはセキュリティ対策万全の駐車場に置いていたがその日に限ってすぐ前のコインパーキングに停めていた。

・セキュリティアラームを入れ換えるために1日だけアラームがない状態となった。その日に盗まれた。

・ハンドルロック、タイヤロックは切断されてGPSも無効化されていた。

など。

窃盗団は想像するよりずっとこまめに狙った獲物の状態を確認しているようだ。防犯対策の一瞬のスキを狙っていると言っていいだろう。

オーナーに接近 場所を聞き出す?

近年、特に盗難が増えているのはマツダRX-7(FD)、ホンダ・シビック(EK9)、ホンダ・インテグラ(同)、日産スカイラインGT-R(32/33/34)、日産シルビア(S14/15)、トヨタ・スープラ(A80)、トヨタ90系マークII。

新しいところでは2021年で25年ルール解禁(製造から25年経過した車両はアメリカの保安基準の縛りを受けることなく、中古車として輸入/販売/登録が可能になる)となる100系チェイサーも要注意だ。

確実にお金になる、部品としてばらした場合に需要があるクルマを選んでいるのだ。

窃盗を専門とする窃盗団は必ず、盗む前に「品定めと下見」をおこなう。

「盗難の指示」をされたクルマがどこにあるのか。3〜4人のグループで夜間でも音が静かなハイブリッド車に乗って住宅街を物色する。

またストリートビューで駐車場に並ぶクルマを物色したり、オーナーズミーティングなどに出かけて品定めをしたりするケースも増えている。

大黒PAなどクルマ好きが集まる場所も要注意だ。オーナーと仲良くなって住んでいる場所などを聞き出すこともあれば、SNSを使って「ずっとあこがれのクルマでした!」「欲しいクルマなので今、中古車で探しています」「近々、イベントなどに参加する予定はありますか?」などと偽って接近することもある。

それが日本語の怪しい外国人である場合は警戒を強めた方が無難だ。

窃盗団はあらゆる手を使って獲物を探し出し、ふだん置いている場所を特定。下調べや下見を行ってベストなタイミングを伺っていると言っていいだろう。

具体的に何を調べているのか?

逃走経路や防犯カメラの有無も確認

防犯対策

実際の下見ではまず、対象車両の防犯対策から確認する。

ハンドルロック/タイヤロック/ハンドルの有無(外していればそれに合うハンドルを持参)/セキュリティシステムの有無や作動状況はもちろんその銘柄(クリフォード/バイパー/ゴルゴ/パンテーラなど)も確認。


ハンドルロックの例。    シャッターストック

下見はもちろん車両だけにとどまらない。

クルマが置いてある場所の周辺状況を写真や動画で記録を残して窃盗団のアジトなどで対策を練る。

周辺状況

周辺の防犯カメラの有無、逃走経路上のコンビニやセンサーライトが光る家の有無。

駐車場周りの民家はどれくらい密集していてそれらの住民の部屋はいつも何時頃消灯しているか?

駐車場はクルマを出しやすい場所にあるか?

クルマの近くに積載車を横付けできるかどうか。道路幅や道路構造も確認する。

逃走経路

国産旧車は盗まれると多くは「ヤード」と呼ばれる作業場に持ち込まれて解体される。

解体された後は部品として輸出するか、最近では国内のネットオークションで販売されるケースも少なくない。

いずれにしても、クルマの形をした状態ではなくバラされるケースがほとんどだ。

大切な愛車が切り刻まれるシーンなど想像したくもないだろうが……現実としてその可能性が高い。

ということでヤードまでの逃走経路はNシステムなどの監視カメラがないルートが選ばれる。

「ヤード」でおこなわれていること

ヤードは全国に2000か所以上あるが最も多いのが千葉県で4分の1に相当する500以上のヤードが存在する。

とはいえ、これもヤード条例で登録されているヤードだけなので、無許可ヤードもひそかに存在するはずだ。


アメリカでは、人気の日本車が、車体のみならずパーツ単体でネット販売されている。    J-Spec Auto Sports Inc.

旧車は解体も簡単だと解体業者は話す。

「古いクルマは構造も単純なので、3〜4名が1日7〜8時間の作業で6〜7台は解体できる」とのこと。

旧車盗難は時間との闘いと言われるのはこれが理由だ。

解体されたら見つかる可能性は低くなり、フリマやオークションに出品されていても車台番号やエンジン番号、部品のシリアル番号など固有の確実な証拠がない限りオーナーの手に戻ってくる例は、残念ながら少ない。

また、古典的と思われるかもしれないが、ワイパーに外国人名義の名刺や「クルマ高価買取」のチラシを挟む方法はいまだ健在だ。

これで何を見ているのか? 最近では挟む名刺やチラシを毎週のように替えていて、そのクルマがどれくらいの期間動かされていないかを確認している。

話は最初に戻るが、今朝盗難が発覚した黄色いFDをはじめ、筆者の取材にご協力いただいたオーナーが所有する以下のクルマも現在、捜索中である。

目撃情報などあればぜひ、ツイッターなどで連絡してあげて欲しい。

日産シルビア(S15)

車種:日産シルビア(S15)スペックR ※青
日時:7月13日(火)AM4時10分頃
場所:東京都足立区西伊興2丁目付近
番号:足立 536 め ・・15
連絡先:Ray∞ @0221_ray


日産シルビア(S15)スペックR    @0221_ray

日産スカイラインGT-R(R32)

車種:日産スカイラインGT-R(R32) ※ワインレッドのボディ/白のホイール、リアスポイラーレス
日時:7月11日夜〜12日朝
場所:名古屋市南区松池町の駐車場
ナンバー:三重 301 の 57-64
連絡先:もかちゃんマン @xB1o5vEkyoq1vjQ


日産スカイラインGT-R(R32)    @xB1o5vEkyoq1vjQ