3年連続同じ審査員となった『M-1グランプリ』(画像は『M-1グランプリ 2020年11月6日付Instagram「史上最多5081組から “漫才日本一”を決める 審査員が決定!」』のスクリーンショット)

写真拡大

若手漫才師がネタを競い合う『M-1グランプリ2020』(テレビ朝日系)が20日に生放送で開催され、16代目王者に「マヂカルラブリー」が輝いた。審査員は3大会連続で同じ顔ぶれとなったが、冒頭でMCの今田耕司が審査員を紹介すると、その場で7人中4人が「辞めたい」と口にして今田を慌てさせた。オール巨人や上沼恵美子が審査員を引き受けた経緯や心境を明かしている。また視聴者によるアンケートでは、別のコンビが圧倒的な支持を受けているようだ。

【この記事の他の写真を見る】

今年も審査員はオール巨人(オール阪神・巨人)、上沼恵美子、立川志らく、富澤たけし(サンドウィッチマン)、中川礼二(中川家)、塙宣之(ナイツ)、松本人志(ダウンタウン)が顔をそろえた。番組で審査員1人目として紹介された上沼恵美子が「最後の審査だと思って意気込んでます」「本当にファイナルです」といきなり発言すると、立川志らくも「私も今年で最後ということで…」と挨拶し、富澤たけし(サンドウィッチマン)も「僕も辞めさせてもらいたいなあと思って」とひょうひょうと言ってのけた。

最後に今回が『M-1』での審査員は8回目となるオール巨人が「僕は(今年は審査に)来ないつもりだったんですけどね、泣かれましてね」と切り出すと、今田耕司は番組プロデューサーが4、5回オール巨人のもとに直談判して出演にこぎつけた裏事情を明かした。巨人が説得を受けて出演を了承すると、プロデューサーの目から涙がどっと溢れ出たのだという。

そのオール巨人のツイッターやブログによると、今年の『M-1』審査には長男夫婦から誕生日に贈られたポケットチーフとラペルピン、知人の女性からやはり誕生日に贈られたルイ・ヴィトンのネクタイを締めて臨んだそうだ。その審査後は「いや〜審査員はやっぱり本当に疲れます もう体力の限界かも、ホテルに帰ってコンビニでお握り買ってパクパク食べてから、バタンキュすぐに寝ました」というから、先月69歳になった巨人は心身ともに疲労困憊だった様子。しかし翌日には『M-1』に関して雑誌の取材を受けたという。

オール巨人がスタッフに直談判された話を聞いて「そんな説得なかったわ、私には」とぼやいていた上沼恵美子は、『M-1』翌日生放送のラジオ番組『上沼恵美子のこころ晴天』(ABCラジオ)で『M-1』側から「貢物が4回来たんですよ」と明かしている。その「持ってきてくれた愛情」をありがたくいただいたというが、「4つとも私の嫌いなものでした。ところがその中の3つがうちの旦那の好物だったんですよ。旦那が審査したらいいと思います」と笑わせた。「目玉という人がいなかった」と今回の『M-1』を振り返った上沼は、「番組的に盛り上がっていないんじゃないかな? 今替えられているわ、『鬼滅の刃』に」と裏番組に視聴者が移ることが気になったそうだ。

上沼の審査と言えば、ときに厳しいコメントでも知られている。3年前は「マヂカルラブリー」に、昨年は「和牛」に痛烈な言葉を浴びせたが、盛り上がり具合が気になったというわりに今年はそのような辛口コメントは一切無く、点数も他の審査員より高めだった。そのためか視聴者からはネット上で「まだまだ尖ってて欲しかったな」「上沼恵美子全員に対して優しかったし本当に辞めるんちゃうかな」「上沼恵美子さんが、本当に今年で辞めるつもりでの審査だったんだろうな」などの声があがっている。上沼は自分が漫才をやっていた頃と「今のお笑いの在り方と形がまったく違う。あの席に座れるかという謙虚な気持ちなんですよ」と謙遜し、今回で「有終の美を飾れましたね」とラジオ番組で振り返った。

また番組中に「漫才師のレジェンドのなかにポツンと落語家が一人いる違和感は私が一番感じています」と審査員席での胸のうちを語った立川志らくに対しては、今田耕司が「皆さん辞めていかないでくださいよ。ネットの方も志らくさんに優しくしていただきたいと思います」と呼びかけていたが、ネットでの反応が審査員を辞めたい一因だと考えているのだろうか。巨人はブログで「始まる前 志らくさんに『審査員を緊張しないで勤める方法 無いですかね』って聞くと! 『いや〜 僕も胃が痛く成るんです』ってみんなそうなんですよ!」(原文ママ)と志らくとのやりとりを綴っている。

富澤たけしの相方の伊達みきおはブログで「事務所で後輩のトミドコロと口笛なるおとでテレビ観戦。」と宅配ピザを食べながら『M-1』を視聴したそうだ。富澤は昨年も審査後に「これからまた一年は自問自答」と苦しい心境を漏らしていたが、「ピッツァを食べながら見てゆっくり寝たいたものです」と希望していて、伊達のように気楽に『M-1』を楽しみたいのが本音なのかもしれない。昨年も富澤は自身の採点と伊達の採点を番組終了後に比べて「ほぼ同じぐらいの点数でした」と少し安堵した様子だったが、信頼できる相方から自身の審査について太鼓判を捺された気分になるのだろう。

『M-1』でダントツの14回もの審査員を務めている松本人志も、王者が「マヂカルラブリー」に決まった番組最後に「今でも正直俺は悩んでる。これでよかったんかなって思ってます」とその難しさを口にした。30日まで『Yahoo!』が実施中の「2020年のM-1、あなたが一番面白いと思ったのは?」のアンケートでは22日の18時現在142,929人が投票し、「見取り図」が62,790票(43.9%)でトップに、「おいでやすこが」、「インディアンス」と続き、優勝した「マヂカルラブリー」は11,695票で8.2%の支持にとどまっている。このような視聴者側とのズレからも審査員を引き受ける難しさがうかがえるようだ。

画像は『M-1グランプリ 2020年11月6日付Instagram「史上最多5081組から “漫才日本一”を決める 審査員が決定!」、2020年12月14日付Instagram「#マヂカルラブリー の意気込み」、2020年12月19日付Instagram「#見取り図 の意気込み」』『オール巨人 2020年12月21日付Twitter「先程起床、遠くに富士山富士山が見えます」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)