エンジンオイルを抜く際は、「上」「下」どちらが正解?

写真拡大 (全3枚)

エンジンオイルを抜く際は、「上」「下」どちらが正解?

 エンジンを良い状態に保つためには、定期的なエンジンオイル交換が必要となる。このエンジンオイルはエンジン内部の潤滑だけではなく、冷却や清浄もおこなっているため、長期間交換しないと潤滑性能だけではなく汚れも溜まってしまうためだ。

 クルマにはエンジンオイルの汚れを濾し取るオイルフィルターが装備されているが、このフィルターに汚れが溜まってしまうと、オイルだけでなくエンジン内部が汚れてしまう。このような事態を防ぐためには、エンジンオイルとオイルフィルターを定期的に交換していくしかない。

【写真】衝撃! 2万kmオイル交換せず破損したエンジン内部

 そこで、エンジンオイルの交換方法について簡単に説明しよう。

●エンジンオイルの「下抜き」とは?

クルマをリフトアップして、ドレンボルト外してオイルを抜く方法が「下抜き」と呼ばれる

 エンジンオイル交換方法の基本となるのは、オイルをエンジン内部から抜き、エンジン上部にあるオイルフィラーキャップを開けて新しいオイルを入れる、というものとなる。

 このオイルを抜く方法には、「下抜き」と「上抜き」というふたつがある。今回はその下抜きと上抜きの、メリットとデメリットを見ていこう。

 まずは下抜きから。下抜きというのは、エンジン下部にあるオイルパンに装備されているドレンボルトを外し、重力を利用してオイルを抜くというものである。

 具体的な手順は、クルマをリフトやジャッキで持ち上げ、ドレンボルトを回して外し、出てくるオイルを受け皿などに溜めるというものだ。

 オイルがすべて抜けたらドレンボルトを締めるのだが、そのとき忘れてはならないのは、オイル漏れを防止するワッシャーを新品に交換しておくことである。

 さらに、ドレンボルトの締め付けトルクの管理も重要なポイントとなる。とくにアルミ合金製のオイルパンを採用しているクルマの場合には、ボルトを強い力で締めすぎるとネジ山の破損を招く恐れがある。

 また、重力を利用してオイルが落ちてくるのを待つ必要があるため、作業時間がそのぶん長くなることもある。

 ただし下抜きには、オイルパンの底に溜まった汚れを排出しやすいというメリットがある。とくにピストンとシリンダーとの摩擦によって発生した金属粉などは、比重の問題からオイルパンに溜まりやすいため、抜いたオイルをチェックすることで、ある程度だがエンジン内部の状態を推察しやすい。

 また、クルマを持ち上げて作業することで、普段は見えにくい下回りの点検を同時におこないやすいというのもメリットとして挙げられる。

 注意点が多く手間も時間も掛かるが、オイル交換といえば下抜きだった時代が長かったのは、このためだ。ただし、クルマによっては下抜きだとオイルが残るモデルもあり、こうした場合は上抜きと併用してオイルをきっちり抜くこともある。

エンジン内部をきれいに洗浄するにはどうすればよい?

 一方上抜きというのは、ポンプを使ってオイルを吸い出す手法となる。

 エンジンオイルの量をチェックするためのオイルレベルゲージを抜き取り、その部分から細い管をオイルパンまで挿入。その後ポンプを作動させて、オイルを抜き取るという作業をおこなう。オイルをすべて抜きとったら、新品オイルを規定量エンジンに入れれば作業は終了となる。

●エンジンオイルの「上抜き」とは?

ポンプを使ってオイルを吸い出す方法を「上抜き」と呼ぶ。いったん透明の容器に入れて回収されるため、このとき汚れの程度などを確認しやすい

 こちらはポンプを使ってオイルを抜くため、下抜きよりも作業時間が短縮できるというのが大きなメリットとなる。抜いたオイルも、専用のマシンを使っておこなう場合には、いったん透明の容器に入れて回収されるため、このとき汚れの程度などを確認しやすい。

 ただし、レベルゲージ挿入部からオイルパンまでの通路は細く、エンジンによっては曲がったりしている場合もあるため、パイプを挿入する際には細心の注意が必要となる。

 また、エンジンが冷えている状態では、オイルパンに溜まったオイルは抜けても、ヘッド部などのオイルは抜けきらない可能性があるため、ある程度エンジンが温まっているときに作業をする必要がある。

 また上抜きの場合は、下抜きと比べて金属粉などが残りやすいというデメリットがある。正規ディーラーや信頼おけるメカニックに任せる場合は、まず下抜きの作業でも心配はないが、上抜きならばドレンボルトをなめてしまったり、オイルパンを損傷する恐れはない。

 量販店などでは、後々のトラブルを回避する上でも、下抜きの作業は受け付けないというところもあるほどだ。

* * *

 新車でクルマを購入し、定期的にエンジンオイルを交換しているクルマに関してはまず必要ないが、中古車を購入した際など、前オーナーがまめにエンジンオイルを交換していたか不安な場合もある。

 こうしたときに、エンジンオイルを交換する際にエンジン内部のクリーニングをするエンジンフラッシングというメニューがあるが、注意が必要だ。

 この作業をおこなうと、エンジン内部の溜まった汚れをある程度は落とすことができる。これはまずエンジン内のオイルを抜き取った後、洗浄効果の高いフラッシングオイルを入れてエンジンをアイドリングし、その後フラッシングオイルを抜いて、エレメントを交換した後に新たにエンジンオイルを規定量入れるという手順でおこなう。

 さらに、しっかりとエンジン内部を洗浄したい場合には、専用の洗浄用マシンと薬剤を利用して、エンジン内部をきれいにする方法もある。

 たとえばビルシュタインのエンジンフラッシングマシンは、オイルフィルターポートから洗浄用薬剤を圧力を掛けてエンジン内部に送り、マシン内を通して循環させたのち、加熱した薬剤をエンジン内部にいれることでスラッジなどを分解。その後その薬剤をドレンからすべて吸い出すという作業を数回繰り返すことで、フラッシングオイルを使うときよりも効率良く、スラッジを除去するという方法だ。

 ただし、こうしたエンジンフラッシングを旧いクルマでおこなうと、スラッジのおかげでなんとか保てていた現在の状態がかえって調子が悪くなるという可能性もあるので、オススメはしない。

 また、スポーツカーなどのハイチューンなエンジンでは、純正オイル以外を使用すること自体がNGの場合もあるので、そうしたクルマでもエンジンフラッシングは控えるべきだ。