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意外と高い? ヒュンダイの世界評価

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

ヒュンダイは2001年に日本での販売を開始し、販売不振により2009年に乗用車部門の撤退を決めた。

日本では「売れなくて撤退した韓国メーカー」というネガティブな印象を持つ人が多いかもしれないが、グローバルでは巨大な自動車メーカーである。

超人気グループ「BTS」が現代自動車の広報大使をつとめている。

2019年の世界販売台数は440万台超でフォルクスワーゲン、トヨタ、日産三菱ルノー、ホンダに続く世界第5位。フォードやGMよりも販売台数が多く、世界的にでは人気のブランドだ。

以前AUTOCAR JAPANに記事として書いたが、ヒュンダイの高級車ブランド「ジェネシス」はJ.D.パワーの「2020自動車耐久品質調査」において、今年初めてレクサスを抜いて1位に輝いている。

なお、日本において乗用車は2009年11月末に販売中止となったが、同年2月より大型バス「ユニバース」の販売を開始。

インバウンド急増で観光バス需要が高まったこともあり、2008〜2019年の11年間で769台のヒュンダイ製バスの新規登録が行われた。※JAIA(日本自動車輸入組合)の統計より2019年は40台を新規登録し、前年の12台から大幅にアップしている。

そして、乗用車の撤退から11年。ヒュンダイの乗用車が再び、日本市場で販売されようとしている。

そのクルマとは水素を燃料とした燃料電池自動車「NEXO」(ネッソ)。

現代自動車ジャパンは、9月末現在も日本での販売について公表していないが、発売開始は秒読みとされる。

NEXO(ネッソ) 日本披露は今年2月

ネッソは2018年1月のCES(世界最大級の電子機器見本市)でワールドプレミアとなった。

日本での公開は今年2月。2月26日から28日まで東京ビッグサイトで開催された「第16回国際水素・燃料電池展 〜FC EXPO 2020〜」にヒュンダイがNEXOを展示している。

韓国語読みでは「NEXO=ネクソ」だが、公式に「NEXO=ネッソ」に表記が変更された模様。    加藤博人

ちなみに、韓国語読みでは「NEXO=ネクソ」だが、この時から公式に「NEXO=ネッソ」に表記が変更された模様。

日本のイベントにナンバーを付けて登場したことで、「ヒュンダイが再上陸?」とクルマ好きの間では話題になった。(ちなみに車検証の初度登録は2020年2月20日となっているので、イベント直前に登録が完了したことになる)

4月21日からは現代自動車のグローバルブランドアンバサダーである「BTS」(防弾少年団)が出演する水素キャンペーンの動画配信を開始。

BTSは今年1月の第62回グラミー賞でもネッソで登場している。

6月には現代自動車ジャパンがツイッターにて公式アカウントを開設し、同時にエニカでネッソの貸し出しを開始した。

9月16日〜22日には代官山T-SITEにて一般向けの展示会も開催された。期間中、会場ではBTSグッズが毎日配布され、連日若い女性ファンを中心にファンが詰めかけた。

日本での発売発表が秒読みとされるFCVネッソとは、どんなクルマなのか。

ヒュンダイ・ネッソ、どんなクルマ?

まずは簡単なプロフィールを紹介してみたい。

・全長:4670mm
・全幅:1860mm
・全高:1640mm
・ホイールベース:2790mm
・車両重量:1870kg
・最小回転半径:5.68m
・最低地上高:162mm
・最高速度:179km/h
・駆動方式:前輪駆動
・モーター最高出力:120kW(163ps)
・モーター最大トルク40.3kg-m
・航続距離:820km
・乗車定員:5名
・保証期間:5年または10万km

ヒュンダイ・ネッソのボディサイズは新型トヨタ・ハリアーに近い。    加藤博人

ボディサイズは新型トヨタ・ハリアー(4740×1855×1660mm ホイールベース:2690mm)に近い。

最低地上高は162mmとSUVにしては低め。乗り降りの姿勢はラク。

最大のセールスポイントは航続距離でメーカー公表によると820km。トヨタ・ミライ(700km)、ホンダ・クラリティ(750km)よりも長い。

国産2車が水素タンク2本なのに対して、ネッソは3本を搭載していることも航続距離が長い理由だ。

日本での価格は未発表だが、韓国で6890万ウォン(619万円)〜、アメリカでは5万9910ドル〜(629万円〜)、ドイツではこれより少し高めの設定となっている。

日本での価格は800万円前後〜が予想されているが各種の減税や補助金などによって約200万円以上(東京都の場合)の優遇は得られるようだ。

安全性の高さも注目すべきことで、ユーロNCAPでは最高安全等級受賞(5つ星)、2019-2020IIHS(米国道路安全保障協会)の衝突テストでも最高の「TOP SAFETY PICK+」を受賞している。

現在のところ、ネッソに乗るにはカーシェアリング「エニカ」で借りる方法しかないので借りてみることにした。

乗り込んで第一に感じたことは、「空気が違う! クリーン感が凄い」ということだった。

ネッソ、エニカで借りて乗ってみた!

内装色のせいもあるだろうが、室内が明るく、そしてクリーンな印象だ。

内装に本革など自然を破壊する材料の使用はゼロで、ほとんどはバイオプラスティックでできている。新車特有のにおいや革や樹脂の不快なにおいも一切ない。圧巻の機能を持つ空気清浄モードが働いているからか?

ヒュンダイ・ネッソの運転席。内装色のせいもあるだろうが、室内が明るく、そしてクリーンな印象と筆者。    加藤博人

キーを持って近づくとドアハンドルが自動的に出てくる。走り出せば完全格納。防犯対策としても有効だ。

車内の色々な表示はすべて日本語だ(紙の取説はまだ英語)。

何より驚いたのは、右ハンドルはもちろんのこと、ワイパーやウインカーも日本と同様の位置(右ウインカー、左ワイパー)にセットされていたこと。

国際規格ではウインカーは左と定められているので日本で販売する(おそらく少数台数)車両だけにこの配慮がされているのだろう。

首都高速を何周かしてみたが、FCVならではの重さを感じることもほとんどなく、パワフルに軽やかに走りを楽しむことができた。

様々な先進装備が盛り込まれているが、とくによかったのは、ウインカーをだすとメーターパネルの位置(つまり目の前)に現れる「ブラインドスポットビューモニター」で後方死角の映像を表示する。

単なる警告ランプの表示ではなく実際の映像なのですごくわかりやすい。表示される位置やタイミングも絶妙だ。

この他、センターコンソール周りの収納は使いやすいだけではなく安全性や見た目の美しさにも配慮が行き届いている。

一例をあげると、USBポートを備えた小さなトレーはスマホなどの充電を想定しているわけだが、ケーブルがトレーの下を通すようになっていて、見た目もすっきり。運転操作の支障にもならない。

ひとまずは好印象であるが、日本での販売となるとどうだろうか。

先日、トヨタMIRAIの次期型が発表された。決定的な強烈な魅力をアピールすることができるかどうか?

まずは、日本での販売価格に注目してみたい。