米国はアルゼンチンに敗戦【写真:石倉愛子】

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アルゼンチンに敗れ3連敗も、ゴールドHCは収穫強調「これは非常に良い経験」

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は9日、埼玉・熊谷ラグビー場でプールCではアルゼンチンと米国が激突。世界ランク10位のアルゼンチンが貫録を見せ、47-17で快勝。米国は3連敗となり、最終戦(13日)のトンガ戦で初勝利を目指す。

 勝っていれば、2023年フランス大会への出場権獲得へ望みをつなぐことができた米国。しかしアルゼンチンの前に完敗を喫し、勝ち点0のまま最終戦を迎えることとなった。

 試合後の会見で、ギャリー・ゴールド・ヘッドコーチ(HC)は「ちょっとがっかりしている。結果が出なかった」と落胆しつつも、「選手たちの取り組みには誇りをもっている。ハードワークしてくれた。最初の20分は良かった。フランス戦と同じ。ただチャンスでスコアをする、トライを決めることができなかった。後半も最初のところうまくいかなかったが、ファイトを続けて粘り強く頑張った。まだまだ強化するところはたくさんある。非常にいいチームです。これは非常に良い経験だったと思う。トップ10のチームと対戦することが目標だったので、良かった」と選手を称えながら、振り返った。

 今大会で9大会連続出場となったが、すべてでプール戦敗退。それでもゴールドHCは、一貫してチームとしての成長ぶりを口にした。次回大会も予選から出場権を目指すこととなるが、「次回のW杯に参加することは難しいとは思っていない。いい方向へ向かっている。ステップアップしてきている。改善してきている。出場権を得るチャンスはある」と自信を覗かせていた。

 次のフランス大会の次、2027年のW杯招致に米国が関心を示していると噂されている。元神戸製鋼でHCを務めた経験もあるゴールド氏は、「日本のW杯のクオリティは素晴らしいものだった。スタジアムの環境、雰囲気、どこの国にもひけを取らないものがある。私が今まで行ったことないスタジアムもあった。(ラグビー)専用スタジアムもあった。素晴らしいものを感じられた」と日本のホスピタリティを絶賛。その上で、こう続けた。

じわじわと盛り上がりを見せる米国のラグビー、HC強調「アメリカ人も大好きなんだ」

「もし、2027年の開催国になった場合、この日本での経験をもとに米国中に広められると思っている。前回大会で日本が成功したことが、今回の大会につながったと思う。あの大会を経験して、日本の選手が多くプロフェッショナルになっていることを考えると、2027年に向けて、私たち自身が成長することでそういった可能性は増えてくる」

 今大会の日本の躍進。さらに大会としての成功は、2015年大会で南アフリカを撃破するなどし、ラグビー熱が一気に高まったことが要因にあると指摘。南ア出身の指揮官は、もし米国大会が実現するのならば、日本を参考にすべきだと口にしたのだ。

 事実、米国でもラグビー人気は高まっている。2016年にはプロ化され、ワールドラグビーによると、ラグビー競技人口はイングランドに次いで2番目だというデータもある。

 ゴールドHCは今大会での日本の盛り上がりにも触れ、「やはり日本のW杯に対する反応は素晴らしい。読んだところでは、サモア戦のテレビ視聴率が48%(実際は瞬間最高46.1%)だった。次の試合(スコットランド戦)では50%を超えるのでは、100%日本のファンは応援している。

 アメリカ人もラグビーは大好き。日本大会のようにうまく運営できるなら、米国でも大きな盛り上がるをみせると思います」と強調していた。

 スポーツ大国の米国にあって、メジャー化の途中にあるラグビー。W杯招致が決定すれば、一気に人気が爆発するポテンシャルを秘めている。(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)