ライバル撃破の福岡第一、掴んだ“1枚しかない”全国切符「こんなに辛い試合はない」
福岡大大濠撃破で3年ぶり全国へ、指揮官「全国でこの2チームを戦わせたかった」
高校バスケットの祭典「ウインターカップ」(第71回全国高校バスケットボール選手権大会)福岡県大会は、3日にアクシオン福岡で男女の決勝を行い、男子は福岡第一が79-71で福岡大大濠を下し、3年連続11度目の全国大会出場を決めた。両校は、ともに日本一を狙える強豪校。ハイレベルな試合を制した福岡第一の井手口孝ヘッドコーチは「勝って嬉しいけど、こんなに辛い試合はない。全国大会でこの2チームを戦わせたかった。絶対に優勝して帰って来る」と話し、ライバル校の思いを背負う覚悟を示した。
一昨年は福岡第一が、昨年は福岡大大濠が、インターハイ(全国高校総体)を優勝(※決勝進出でウインターカップ全国大会出場権を獲得できる)。直近2年は、もう片方のチームが県予選を勝ち上がり、そろってウインターカップ全国大会に出場したが、今年は1枠を争った。今夏のインターハイは、FIBA(国際バスケットボール連盟)U-18アジア選手権と日程が重なった。福岡大大濠はガードの中田嵩基(3年)、大型フォワードの浅井修伍(3年)、得点源の横地聖真(2年)の3人、福岡第一もフォワードの松崎裕樹(3年)とガードの河村勇輝(2年)が代表に選ばれ、ともに主力抜きとなり、決勝進出はならなかった。
一昨年、昨年とは異なり、全国大会の切符は1枚のみ。緊迫感のあるゲームだった。福岡第一は今季、福岡大大濠に6戦全勝と力を示していたが、この試合では苦しめられた。攻撃では、河村、松崎のゴール下へ切り込むプレーを警戒されて、得意の速攻を封じられた。河村は「こうなると思って、外のシュートを対策してきたけど、なかなか成功率が良くなかった」と相手の脅威を与えられなかった難しい時間を振り返った。
敗れた福岡大大濠が託した思い「事実上の決勝戦だったと思われるように暴れてほしい」
守備では、最も手薄なマークとなった福岡大大濠の木林優(2年)に3ポイントをことごとく決められた。前半を終えて36-36の同点。福岡第一は第3ピリオドからプレッシングを仕掛けて守備からテンポを上げ、52-41まで引き離した。しかし、福岡大大濠は、足のけいれんに襲われていた中田や木林の3ポイントで対抗。差は2点差に縮まった。福岡第一の松崎は「(横地)聖真のところにスティーブがヘルプに行くと(マークが緩む)木林に決められた。しっかりと決めてくるのが大濠の強さ。苦しかった。でも、顔に出したら後輩も気弱なプレーになると思った」と自身を奮い立たせていたことを明かした。
どちらも譲らない大接戦の勝利を最後に引き寄せたのは、福岡第一の留学生クベマジョセフ スティーブ(3年)だった。ゴール下で圧倒的な存在感を見せていたが、第4ピリオド早々に4ファウル(※個人ファウルが5つになると退場となる)。しかし、驚異的な集中力を発揮して以降はファウルをせず、むしろ相手のファウルを引き出し、得意ではないフリースローも的確に沈めてチームをけん引。福岡第一は、4点リードで残り1分20秒を切った場面で、相手のエース横地を止めると、河村、松崎が速攻のコンビネーションを決めて、勝利を手繰り寄せた。福岡大大濠は、さらに横地に攻撃を託したが、3ポイントは決まらず。ファウルゲームでも追いつくことはできず、福岡第一が勝ち切った。
敗れた福岡大大濠の中田は「悔いはない試合だったので、第一には、ぶっちぎりで優勝してもらって、大濠が強かった、事実上の決勝戦だったと思われるように暴れてほしい」と思いを託し、福岡第一の主将を務める松崎は「自分が入ってからの2年は(インターハイの結果によって)出場枠が2つあったけど、今回は負けたら終わり。ずっとプレッシャーだった。この試合が、ウインターカップで一番レベルが高かったと言われるように、自分たちが圧倒的な形で優勝したい」と気持ちに応えるように、全国制覇を誓った。(平野 貴也 / Takaya Hirano)
