ソーセージの「おいしい焼き方」大実験

写真拡大

パッケージに書かれた「油をひかずに」の意図は? 一部で噂の「少量の水を加える」効果のほどは? ソーセージのおいしい焼き方を検証!

どうして今まで気づかなかったのか。ソーセージにレシピがなかったことを。いや、確かに袋の裏には小さく「フライパンに油をひかず、中火でじっくりと炒めてください」なんて書いてはある。でもいまいちよくわからない(そもそも、ちゃんと読んでなかった……)。

だからこそ確かめねばならぬ。ベストの焼き方を。そして知らねばならぬ。最高のソーセージというものを。すべての「常識」を疑い、焼き時間、火加減、ツール、手法などをここに検証するのだ。

その昔、ウインナーに切り目を入れるのが当たり前だった時代がある。最近では「水を入れる」「ゆでてから焼く」など新勢力も台頭している。

そもそもパッケージに書かれた「油をひかずに」の意図するところは? 一部で噂されている「少量の水を加える」効果のほどは? 焼き方では「転がすように」と「じっくり」ではどちらがいいのか……。

ならば全部試すしかない! 考えられるすべてのパターンで焼きまくり、食べまくれば、そこからソーセージの真実が見えてくるはずだ。

もはやなすべきことは一つだけ。いざ焼かん! 何本でも!

■実験1:「切り目」を入れる、入れない?

▼結果:食感が全然違う! 入れるべからず!

その呼称が「ウインナー」から「ソーセージ」へと変わった頃から、切り目を見かけることは少なくなった。切る、切らぬで何が変わるのか。

まず切り目を入れずに焼いてみる。いざ食べようとパンパンの皮に歯を当てた瞬間、濃厚な肉汁が噴き出した。これぞソーセージである。

次に切り目を数本入れてみた。最も違ったのは一口目の食感だ。ハリを失った皮が、わずかに硬く感じられるのだ。ジューシー感も弱い。

割れたものや、1カ所だけ切ったものも同様だったが、意外に悪くなかったのが、格子状の切り目。ここまで切れば食べやすさが勝った。

とはいえ、食べ比べると「切り目なし」には抗いがたい魅力がある。やはり皮に閉じ込められた肉汁の爆発こそ、ソーセージの真骨頂だ。

■実験2:「油」ひく、ひかない?

▼結果:油をひくと皮がパリッと旨い! でも割れやすい!

ソーセージの袋に書かれた焼き方にはよく「油をひかずに」とある。しかし何十本と条件を変えて炒めるうちに、ある事実に気がついた。

「油をひくと、皮の食感が軽い!?」

油なのに軽い……? そこで焼く過程をつぶさに検証した。高温の油に触れたソーセージの皮は「揚げ」たように水分が抜け、パリッとした軽い食感になっていたのだ。

もちろん油なしでも、丁寧に焼けば脂はしみ出る。しかし、それで焼いてもあの“軽さ”は出ない。

さらに胡麻油などでも試してみたが、ソーセージから出る脂の風味が強く、味はほとんど変わらなかった。

ただし、一見いいことずくめの油だが、転がしをサボると皮が割れやすいという欠点も。メーカーが油を薦めない理由はこれかもしれない。

■実験3:「水」入れる、入れない?

▼結果:肉汁たっぷりプリプリ! でも割れやすい!

ソーセージの焼き方のコツに「少量の水を加える」というものがある。試してみると、見た目にもはっきりわかるほどソーセージが膨らみ、食感もプリプリになった。

水を入れて焼くと肉汁が弾け、ジューシー感が増すのだ。フライパンの上で熱せられた水は、ソーセージに水分を補給する効果がある。油が“皮の食感を軽くする”のなら、水は“肉汁の量を増やす”のだ。

蓋をして蒸し焼きにすると、全体から水分を補給するせいか、ジューシー感がさらに上がる。ただし、旨味の強いスープを入れると早く焦げる上、味に不自然な重層感が。

水の役割はあくまでもジューシー感を加えること。「焼き」の香ばしさと肉汁感あふれる仕上がりを目指して、適切に加水したい。

(ライター/編集者/「食べる」「つくる」「ひもとく」フードアクティビスト 松浦 達也 文・松浦達也 撮影・牧田健太郎 スタイリング・伊藤朗子)