学生の窓口編集部

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宝石の代表格である「ダイヤモンド」。指輪やネックレスなどの装飾品として知られていますが、コンピュータの「材料」に最適な素材なのはご存じでしょうか?

スマホやパソコンにとって「放熱」は重要な課題で、一般的な放熱器は「アルミ」製ですが、ダイヤモンドはおよそ8倍も熱を伝えやすいため、小型で軽量な放熱器を作ることができます。半導体(はんどうたい)の原料にも最適で、現在使われているシリコンよりもはるかに高温・高電圧に対応できるため、パソコンの性能を飛躍的にアップできるのです。

■冷却のカギは「炭素」

ダイヤモンドは非常に固いため、コンクリートを切るカッターにも使われています。天然ものは装飾品、人工ダイヤは工具に使われることが多いのですが、なんとパソコンの部品にも最適な素材。非常に良く熱を伝えるため、高性能な放熱器が作れるのです。

パソコンやスマホには発熱する部品が多く、放熱が重要なテーマ。高性能なCPUではおよそ70℃にも達するものもあり、許容範囲を超えると故障してしまいます。とくにCPUは、オーバーヒート気味になると制御できなくなる熱暴走(ねつぼうそう)も起きるため、放熱器を取り付けることで対処しています。標準的なものはアルミ、高性能なものは銅製が定番で、銅は熱伝導率(ねつでんどうりつ)が高く、より多くの熱を逃がすことができるからです。現在はこの2種類が主流ですが、ダイヤモンドの熱伝導率はさらに高く、高性能な放熱器が作れるのです。

身近な素材の熱伝導率を比較すると、

 ・鉄 … 83.5

 ・アルミニウム … 236

 ・銅 … 403

と、数値が大きいほど熱を逃がしやすく、銅はアルミの2倍ほど高性能といえます。対してダイヤモンドの熱伝導率は1,000〜2,000と銅の5倍も高く、放熱器の小型/軽量化が図れるのです。

ダイヤで放熱と聞くとSF過ぎる気がしますが、スマホやノートパソコンなど狭い空間ではカーボンシートが使われることもあり、あたらずしも遠からず、「炭素」が冷却の決め手になっているのです。

■シリコンバレーが「ダイヤモンドバレー」に?

ダイヤモンドで半導体(はんどうたい)を作る研究も進められています。現在主流のシリコンをダイヤに置き換えることで、1万ボルトにも耐える半導体スイッチも夢ではないからです。

鉄や銅などつねに電気を流すものは導体(どうたい)、ガラスやプラスチックなど電気を流さないものは不導体と分類されるのに対し、条件によって電気を流す/流さないが変わるものが半導体と呼ばれ、音を大きくするアンプや、電気をOn/Offするスイッチとして使われています。現在の半導体にはシリコンが主流ですが、CPUのように発熱量の多い部品も、電源のように高い電圧がかかるところも苦手……そこでシリコンの代わりにダイヤモンドを使い、半導体を作る研究が進められているのです。

ダイヤモンドの原料である炭素は電気を流すため、そのままでは半導体にはなりません。そこで人工的に電子が足りない正孔(せいこう)と呼ばれる部分を作り、普段は電気が流れないようにし、電気を流したいときだけ正孔に電子を与え、スイッチのように使います。その結果、シリコンでは実現できなかった高電圧にも対応でき、小型でロスの少ない制御装置も実現できるのです。

ダイヤモンドの放熱器や半導体が普及したら、「ボクのパソコンは〇カラット分」なんて会話がフツウになるのかも知れませんね。

■まとめ

 ・ダイヤモンドは、アルミの8倍、銅の5倍ほど熱を伝えやすい

 ・現在シリコンが使われている半導体にも適した素材

 ・1万ボルトのような高電圧用も夢ではない

(関口 寿/ガリレオワークス)