換気口見立ての世界
古来日本には「見立て」という文化がある。
御存じのとおり「見立て」は、あるモノを別なモノを使って表現する遊びであって、有名なところでは水を使わず水流を表現する枯山水庭園などが典型である。身近な例でいえば、ウインナーでタコを作るなんていうのも一種の見立てといえるであろう。また、「見立て」は能動的にAを使ってBを表現する、という場合だけでなく、Aの中にBを見出すような場合も使われる。例えば、各地の山がそれぞれ富士になぞらえられているようなケースがこれである。
以前にも説明した通り、換気口の配列というのは「こう並べよう」と思って配置されているわけではない。法律上、特定の容積あたりこれくらい換気しなくてはならないという決まりがあり、それを建物の配管だの何だのと場所の折り合いをつけながら、何とか外に出しているのが換気口である。したがって、そこにはデザイン要素も芸術的意図も基本的にはない。
しかし、その無意識から生まれた美を鑑賞に足るものとして解釈することこそ、この趣味である。
数多くの換気口を鑑賞する中で、中には様々なものに見立てられる換気口も確かに存在する。
例えばタイトルの換気口。これは、屋根の瓦と相まっておばちゃんパーマに見立てられる。
「ちょっと聞いた?向かいの節子さん家の娘、離婚したんだって」みたいな雰囲気である。
丸型換気口自体がもともと目のようなフォルムをしているため、何かが加わると途端に顔化してしまうのも一因かもしれない。
そしてこれはどうだろう。やはりこれも丸型換気口が目に見える物件だ。

この三つ連なる様子はトーテムポールに見立てられる。
そして、最後にこれである。

枯れ木に咲く換気口の花である。
おばちゃんパーマとか言っていたときは自分でもどうなることかと思ったが、最後に風流なところにオチを持ってこれて本当によかったと思う。
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