※画像は生成AIによるイメージです

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「お客様は神様です」――そんな言葉が当たり前のように使われていた時代から、お店と客の関係は少しずつ変わりつつあります。2025年6月の法改正で企業にカスハラ防止措置が義務化され、2025年4月には東京都で全国初の「カスタマー・ハラスメント防止条例」も施行されました。「お店側も守られるべき存在」という考え方が、ようやく形になってきたところです。
それでも、現場では今日もどこかで、横柄な態度や心ない言葉に泣かされているアルバイトさんがいる――。注意したくても、トラブルが怖くて声を上げられない。そんな場面に居合わせたら、自分はどう動けるだろう、と考えたことがある方も少なくないのではないでしょうか。

UAゼンセンが2024年に実施した最新調査では、流通系従業員のおよそ2人に1人(46.8%)が、客からの迷惑行為被害を経験していると回答しています。すぐ隣に、声をかけられず一人で耐えている人がいるかもしれない。そう思うと、なんとも他人事ではない数字です。

今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、弁当店で小銭を投げつけられたアルバイト店員と、その場に居合わせたサラリーマン客の話。あわせて、横柄な態度が思わぬ形で本人に跳ね返ってくる、もうひとつのエピソードもお届けします。記事の後半では、“客だから何をしてもいい”が通用しなくなりつつある今、こうしたケースが法的にどう扱われうるのか――そのあたりも、少しだけ考えてみます。

 *  *  *

◆【エピソード1】小銭を投げつける横柄な客

 学生時代に個人経営の弁当店でアルバイトをしていた加藤ちあきさん(仮名)が、ある常連客とのエピソードを明かす。

 20代とみられる若い男性客は、週に1度ほど来店していた。ある日、幕の内弁当を注文したが、品切れだった。

「すみません、品切れになってしまって」

「じゃあ、豚肉の生姜焼きにしてください」

 男性客はそのまま弁当を購入し、店を出て行った。しかし、1週間後の夜、再び同じような状況になると……。

「なんでいつも売り切れてるの」

「幕ノ内弁当は午前中に仕込みをしているもので、夕方には品切れになることが多く、申し訳ございません」

「それはそっちの都合だよね」

 男性客は不機嫌になり、鮭弁当を注文。だが、会計時に小銭を投げつけてきたのだ!

 加藤さんは泣きそうになりながら床に落ちた小銭をひろい、レジを打った後にレシートを渡した。彼の財布に学生証が入っているのが見え、大学生であることがわかったという。

◆救世主が登場「だったら、店員さんに謝れよ!」

 一部始終を見ていた後ろのサラリーマン客が、「確かにこの店は夜になると品切れになる商品も多いけど、小銭を投げることはないよね?」とフォローしてくれたそうだ。

 これに対して大学生の男性は睨みつけるだけで、謝罪の言葉はなかった。その後……。

「鮭弁当をお待ちの方……」

 加藤さんが呼びかけると、大学生が椅子から立ち上がった。だが、弁当を受け取ろうとした大学生の足を、先程かばってくれたサラリーマン客が“偶然”にもひっかけてしまったのだ。

「何をするんだ!」

「わざとじゃないよ」

「わざとじゃなくても謝れよ!」

「だったら、さっきレジで小銭を投げたことを店員さんに謝れ!」

 大学生は弁当を受け取ると、店内の視線が集中するなか、「こんな店二度とくるか!」と捨て台詞を残して立ち去ったという。

 店員に対してあまりに横柄な態度で接する客など、来なくて結構だろう。一方、加藤さんを助けてくれたサラリーマン客は「気にしない方がいいよ」と声をかけてくれ、その後も常連として店を訪れてくれたそうだ。