山下智久×福原遥で映画化『正直不動産』は今から読んでも遅くない。「千の言葉の中に真実はたった3つ」と言われる不動産業界の実態とは?【書評】

いよいよ『正直不動産』の映画が5月15日(金)より全国公開される。2022年にNHKでドラマ化、主演が山下智久さんということでも注目された本作は、スカッとする痛快ビジネスコメディとして大人気に。これまで2シーズン+スペシャルが放映されてきたが、このたびスケールアップしてスクリーンに登場する。主役・永瀬財地を演じる山下さんほか、後輩・月下を演じる福原遥さん、ライバル役のディーン・フジオカさん(神木役)、市原隼人さん(桐山役)ほかおなじみのメンバーも勢揃い。はたして永瀬がどんな活躍をみせてくれるのか、楽しみにしている方も多いだろう。
原案を手掛ける夏原武さんは『クロサギ』(黒丸/小学館)の原案も手掛けた「裏社会」をよく知るルポライター兼作家。客と業者の情報格差にスポットを当てて不動産業界の闇に切り込む本作は、夏原さんが関係者(裏社会含む)に取材して得た情報をベースにしているのでとにかくリアル。その臨場感も面白さのツボなのだが、反面「こんなに不動産業界にはトラブルがあるのか!?」と正直恐ろしくなったりもする。
実は不動産業界には「千三つ」という言葉があり(「千の言葉の中に真実はたった3つ」の意)、嘘がつけなくなる前の永瀬も「正直者がバカを見る。嘘ついてなんぼのイカレた世界…それが不動産の営業だ」と堂々と言ってのけていた。それが本当なら要注意。ありがたいことにこうやって描いてくれることで、素人にとっては転ばぬ先の杖じゃないが、大いに注意喚起になる。しかもコミックスだと不動産用語もきっちり活字で印象づけられる上、複雑なトラブルも読み直せるので理解度UP。ちなみに巻末には夏原さんが現場での取材のこぼれ話や不動産トラブルなどの時事問題を書いた「正直不動産 スペシャル・エッセイ」も収録されているので、より深く真相を理解できるのも興味深い。
そしてなにより、コミックスでも映像でも「営業マンが必死にがんばる姿」に勇気づけられるのが本シリーズの魅力だろう。永瀬が「嘘がつけないハンディ」とうまく折り合いをつけて成長していく姿はちょっと笑えてたくましく、「自分も、明日もがんばろう!」と元気をもらえるはずだ。
文=荒井理恵
