「ひなドライブ」に続く強力な武器が見つかった! 早田ひな「涙の敗戦」で見えた打倒・中国への光
中国という壁
「壁を越えきれなかった悔しさが大きい。この経験を胸に焼き付けたい」
とめどなく流れる涙を拭(ぬぐ)いながら、早田ひな(25、世界ランキング10位)は前を向いた。5月10日に行われた卓球世界選手権ロンドンの女子団体戦決勝で、日本代表は王者・中国と対戦し、セットカウント2-3で敗れた。
「第1試合に張本美和(17、世界ランキング3位)が世界ランキング2位の王曼碰(ワンマンユ)(27)から大金星を挙げ、第3試合にはカットマンの橋本帆乃香(27、同14位)が蒯曼(クアイマン)(22、同7位)に快勝。ところが、早田は第2試合で世界ランキング1位の絶対女王・孫穎莎(スンインシャ)(25)に、そして第5試合で王にストレート負けを喫しました。55年ぶりの制覇をあと1勝で逃した悔しさから、早田は『壁を越えきれなかった』と表現したのです」(大手メディア担当記者)
視点を変えれば、早田が牽引してきた日本女子卓球界は10日、それまであまりに高かった中国の壁に手をかけていたということだろう。元卓球女子日本代表の藤井寛子氏は「早田と相手の実力差は、ゲームカウントの差ほど離れていなかった」と話す。
「注目したいのは第5試合の王戦です。王は第1試合で張本にフォア側を攻められて敗れました。王はおそらく、『日本チームはフォア側を狙ってくる』と認識したことでしょう。早田はそんな心理の裏をかくように、王の身体の中心あたりにボールを集めて揺さぶりをかけ、崩れたところでフォア側に強打する作戦をとっていたと思います。実際、それがハマって王のフォア側を打ち抜く場面もありました。ところが、王がなかなか崩れない。早田にとってはこれが想定外だったと思います」
早田は「ひなドライブ」に象徴されるように、台から少し離れた位置でフォアハンドのドライブで攻める戦術を得意としている。一方で、藤井氏によれば、早田は相手からネット際へ短いボールが送られた際には、安定性を求めた慎重な打球を放つケースが多いのだという。
「世界トップクラスの中国選手は、強打が難しい台上のボールも、チキータや逆チキータ、フリックなどで打ち抜くプレーが目立つので、彼女たちに比べると一手遅れてしまうのです。無論、これは超高次元の話なので、早田の弱点というわけではありません。ただ、さらに上を目指すのであれば、攻撃的な台上のプレーを増やす必要があります」
ただ、個人で銅メダルを獲得したパリ五輪を経て、早田のスタイルも進化しつつあるという。
「オリンピック以降、早田はケガの影響で、台に近づき速いタイミングでカウンターを打つスタイルを少しずつ取り入れてきました。この戦術をさらに強化し、″台上の攻防″で中国勢と同等に戦うことができるようになれば、それは強力な武器になるでしょう」(同前)
打倒・中国への光は、まさにケガの功名から生み出される。
『FRIDAY』2026年5月29日号より
