日々の忙しさや体調に左右されず、無理なくおうちが片付くアイデアを紹介します。整理収納コンサルタント・須藤昌子さん(50代)のケースです。ここでは、須藤さんが「どんなときでも“使って戻す”ができる暮らし」を目標に10年間続けているという、片付けの習慣について語ります。

1:収納スペースに余白を残す

以前は、収納スペースはできるだけムダなく使うものだと思っていました。あいている場所があるとなにか入れたくなり、きっちり埋めることが「うまく使えている」と感じていたのです。

【実際の写真】50代、すっきり片付いた収納スペース

でも実際は、つめ込むほど出し入れがしづらくなり、どこになにがあるのか分かりにくくなっていました。その結果、同じようなものを増やしてしまうことも。

そこで意識しているのが、「2割くらいのあきをつくる収納」です。少しあきがあるだけで、出し入れがスムーズになり、探しものの時間も減りました。余白があることで、無理をしなくても整った状態が保てるようになり、この状態を10年間続けています。

2:どんなときも戻しやすい仕組みに

私が目指しているのは、調子がいいときだけ整う暮らしではありません。体調が悪いときも、イライラしているときも、急いでいるときも、どんなときでもあわてることなく、心乱されることなく「使って戻す」ができる状態です。

気持ちや時間に余裕があるときだけできる片付けは、長く続きません。だからこそ、がんばらなくても戻せる仕組みをつくることが大切だと考えています。

よく使うものは、収納をあけるためのアクションを多くしない、しまう際に迷うような複雑な分類をしないなどが挙げられます。また、ものを減らして収納に余白をつくると、無理に押し込んだり、整えたりする必要がなくなり、自然と元に戻せるようになります。

どんな状態の自分でもできることを基準に整えることで、片付けが特別なものではなくなりました。

3:「収納の使いやすさ」と「ものをもつ理由」を重視

以前は「まだ収納スペースに余裕があるから大丈夫」と考えて、ものを増やしてしまうことがありました。しかしその考え方では、いずれ収納はいっぱいになってしまいます。

収納に余白を残すためにも、現在は収納スペースのあきよりも「それが本当に必要か」を一度立ち止まって考えるようになりました。ものをもつ理由を明確にして、不用品を増やさないことが、整った状態を保ついちばんの近道だと感じています。

4:収納場所は臨機応変に

以前は、食器棚には食器、クローゼットには衣類と、収納場所は用途で決めるものだと思っていました。しかしその決まりに従うことで、かえって使いにくさを感じることもありました。使う場所と収納場所が離れていたり、戻すのが面倒に感じたりすると、片付けがあと回しになってしまいます。

今は「ここになにを入れるべきか」ではなく、「ここに入れることは自分にとってラクか」で考えるようにしました。人の決めた基準や常識に振り回されず、決まりをゆるめることで、自分に合った配置になり、自然と戻しやすくなりました。

収納はだれかが決めた正しさではなく、自分の暮らしに合っているかで考えることが大切だと感じています。

この習慣を続けて10年。感じているのは、片付けが特別なことではなくなったということです。

以前は「きちんとやらなければ」と思うほど負担になり、できない自分に気持ちが乱れることもありました。けれども収納に余白があると、無理に整えようとしなくても自然と元に戻せます。じつはこの余白は、見た目のためではなく、自分の機嫌を損なわないための工夫でした。

戻しにくい状態は小さなストレスとなり、気づかないうちに積み重なっていきます。余白をつくることで、そのストレスが減り、どんなときでも淡々と戻せるようになりました。

「もののためにイライラする時間がいちばんもったいない」と考えるようになってから、暮らしの選び方も変わったと感じています。