【ファナック、安川電機、ナブテスコ】日本の未来を支える「ヒューマノイド企業」注目銘柄5選
相次ぐ「驚くべきニュース」
人間に似た身体構造を持つヒト型ロボット「ヒューマノイド」に関する驚くべきニュースが相次いでいる。最近では、ソニーAIが開発した卓球ロボット「Ace」が実戦環境で、エリート選手5人中3人に勝利しプロ選手まで下した。さらに北京で開催されたヒューマノイドのハーフマラソンでは、優勝ロボットが50分26秒で完走し、人類のトップランナーが持つ記録をゆうに上回っている。
2016年に米グーグルのAIシステム「AlphaGo」が囲碁の世界王者を破ったことが話題となったが、今回の衝撃は、当時をはるかに上回るものがあると感じている。「AlphaGo」はAIが得意分野で、単独で成し遂げた出来事だ。だが今度はロボットが物理空間で身体をコントロールして人間を超えてみせた。ロボットは周囲の状況を知覚し、意味を解釈し、判断し、瞬時に体を動かす。AIが仮想空間で人間を超えるのとは難易度が桁違いに高い。
生成AIが「AlphaGo」を象徴的な事例として、その後に当時の予測をはるかに上回るスピードで普及したことは記憶に新しい。ヒューマノイドも現時点の想定(一般的に普及開始は2035〜2040年頃が有力視されている)より早いペースで社会実装が進む可能性は高まったと感じている。世界的な高齢化と労働力不足の深刻化も後押しするだろう。
2026年はヒューマノイド元年となるかもしれない。ヒューマノイド市場の成長期待が急速に高まる今、米中に大きく水をあけられた日本勢に勝ち筋はあるだろうか。結論から言えば、「完成品競争では苦しいが、インフラ層と精度競争では十分に勝ち筋がある」と考える。完成品で先行する米中と今から真っ向勝負を仕掛けても、スマホや電気自動車の二の舞を演じるリスクは高い。
しかし、ヒューマノイドが実際に人間社会に深く入り込めば、最終的には必ず「精度の壁」にぶつかる。特に産業・医療・介護分野ではなおさらだ。「安く、動く」よりも「壊さない、誤らない」精度には、高い付加価値がつくだろう。米国や中国の完成品メーカーではなく、心臓部を支える日本企業に注目する価値は高いと考える。
ファナック <6954>
・4月24日終値 6,256円配当利回り(予)未定
産業用ロボット世界シェア首位、CNC(コンピューターによる数値制御)でも最上位に君臨するファナックが昨年12月、NVIDIAとの協業とオープンプラットフォーム対応への方針転換を発表した。ヒューマノイドを含むフィジカルAI実装を加速させる本気度が感じられる。グローバルな競合企業と比較しても強固な高収益性と強い財務体質は大きな援軍となるだろう。
人間と同じ空間で安全に使える協働ロボット「CRX」シリーズは受注1,000台超を達成し、単純試算で約60億円規模の収益インパクトをもたらすと予想される。2027年3月期には営業利益2,122億円(前期比15.5%増)という力強い成長シナリオも描かれている。
株価は今年に入って上値抵抗ラインを突破し、上場来高値を更新した。一時はバリュエーション(株価が割高か割安かを測る指標)が過去最高水準に達したものの、足元では調整局面を迎えている。フィジカルAIによるリカーリング収益(継続的に積み上がる収益)モデルへの転換がさらに解像度を増せば、株価水準をさらに押し上げる原動力となるだろう。
ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324>
・4月24日終値 4,195円配当利回り(予)0.48%
精密な動きを実現する波動歯車装置は、ハーモニック・ドライブ・システムズの登録商標だ。小型・軽量なのに高トルクで、高精度な位置決めができ、バックラッシュ(ガタ)が非常に小さい特徴を持つ。そのため、産業用ロボット、半導体製造装置、工作機械、人工衛星など精密さが必要な分野で使われている。ヒューマノイドには全身で40個以上、両手指まで含めれば60個超の減速機が必要とされるが、その主力として同社の「HarmonicDrive」が有力視されている。
また、ファナックが国際ロボット展以降に1,000台超を受注した協働ロボット(人間と同じ空間で安全に作業できるロボット)「CRX」の可搬重量10kg以下モデルにも、同社製品の採用が進む公算は大きいとみる。さらには政府が戦略的投資の筆頭に据えた「フィジカルAI(現実空間を動かすAI)」政策の追い風も吹く。来期に向けてロボット・半導体向けの需要回復が重なることもあり、業績の伸び率は大きくなると期待される。
精度の点で代替が難しい技術を持ちながら、株価のボラティリティ(変動率)が大きい銘柄として警戒されがちだが、逆に言えば株価が大きく下振れた局面は投資好機ともなりやすい。波動歯車の独占性は、次世代ロボットインフラの「必須部品」として静かに、しかし着実に再評価の段階に入っていよう。
ナブテスコ <6268>
・4月24日終値 4,688円配当利回り(予)1.75%
精密減速機(モーターの回転速度を落として精密な動作を実現する部品)で産業用ロボット市場をリードするナブテスコは、2025年12月期に売上高が事業整理の影響で前年比4.8%減収(3,079億円)となったが、営業利益は同40.2%(207億円)の大幅増益を達成した。特にコンポーネント事業(精密減速機が主力)は前年比17%超の増収と、勢いが鮮明だ。産業用ロボット向けの在庫調整が一巡したことで、受注が一気に動き出した格好だ。
今後の焦点は、小型製品を活かしたヒューマノイド向け需要の開拓だ。2026年12月期の下期から本格的な拡販を目指しており、売上への寄与が確認できればヒューマノイド関連銘柄としての評価が一段と高まる可能性がある。事業整理の完了とヒューマノイド向け製品の立ち上がりが重なれば、株価の見直しは一気に進む期待があろう。
同社は「ニッチ(特定分野)であっても高シェアを持つ事業」に徹する戦略を貫いてきた。アフターサービスによる安定収益源を持つ点は、長期保有する際の安心感にもつながろう。経営効率を測るROIC(投下資本利益率)は現時点で会社目標(2027年12月期10%以上)に届いていないものの、それゆえに自社株買いなどの積極的な株主還元を促すインセンティブとなりやすいだろう。
安川電機 <6506>
・4月24日終値 5,150円配当利回り(予)1.40%
ACサーボモータ(機械の位置や速度を細かく制御するモーター)で世界トップシェアを誇る安川電機は、ロボットとAIを組み合わせた自律型ロボット「MOTOMAN NEXT」を業界に先駆けて発売した。ヒューマノイド開発スタートアップの買収や、エヌビディア・富士通・ソフトバンクとのフィジカルAI協業まで展開し、国内でロボットへのAI活用を最も積極的に進める企業と位置付けられる。
ヒューマノイドを中心とする先行投資の重みから、当面の営業利益率は10%を大きく超えない水準で推移する公算は大きい。ヒューマノイド開発では米国や中国が一歩先行しており、開発スピードをさらに上げる必要もあるからだ。ただそれは「国内においてロボットへのAI活用を最も積極的に進めている企業」であるからに他ならないからでもある。
同社の核心にある「モーション制御(機械の動きを正確に操る技術)」は、価格競争に巻き込まれにくい強みを持つ。5月末に発表予定の新中期計画では、ヒューマノイドを含むフィジカルAIを収益の柱に据える青写真が示される期待は大きい。内容次第では、新たな株価の評価軸が加わる可能性があるだろう。
ミネベアミツミ <6479>
・4月24日終値 3,086円配当利回り(予)1.62%
ヒューマノイド以外にも、AIサーバー、商用ドローン、完全自動運転など、複数の魅力的なテーマ性を持つのがミネベアミツミだ。いずれのテーマもヒューマノイドとの親和性が高いことも魅力といえる。足元の株価調整は、カメラ部品や主要顧客のEV(電気自動車)計画の見直しなど、いくつかの事業への懸念が重なったことが要因だが、霧がスッキリと晴れた時には、AIとロボット両方の成長を取り込める魅力的な製品ポートフォリオ群が鮮明に見えてくるだろう。
ベアリングとモーターはAIサーバー向け投資の拡大を受けて好調を維持している。2027年3月期には営業利益1,000億円の大台突破も視野に入ると予想される。AI投資の急拡大がベアリング・モーター需要を押し上げ続ける構造が、業績の下支えとなろう。複数の逆風が重なったことが嫌気されている足元の株価調整は、ヒューマノイド関連の観点からは魅力的な局面とも言える。
主力事業で一定の業界シェアを確保しており、インフレ対応の価格是正で収益性の改善余地も残る。足元のPER(株価収益率)は同業他社と比較しても割安感は強まっているが、2026年3月期決算発表(5月12日発表予定)で一部事業への懸念が払しょくされれば、株価の再評価余地は高まる期待があろう.
今後、世界各国で高齢化と労働力不足が加速することは避けられない。ヒューマノイドが自動化・省人化・生産効率向上の切り札として注目される成長市場となるだろう。これまでの日本のグローバル企業は、下請けとしての技術・品質は世界トップレベルなのに、グローバルな元請けとして価値を最大限回収できない企業が多かった。高い制御技術を持つ高機能ブランド品で主導権を握ることができれば、日本企業の存在が再評価される余地は大きいだろう。
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