(※写真はイメージです/PIXTA)

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年収750万円の夫の収入から毎月の家計を切り詰め、目標だった「老後資金2,000万円」をついに貯めきった専業主婦のミワさん(仮名・55歳)。しかし、夫が退職金と貯金全額を内緒でFXにつぎ込み、全財産を失っていたという衝撃の事実が、夫のスマートフォンに届いた“ある通知”から発覚します。「私の20年、返してよ!」と泣き崩れる妻に、夫は顔面蒼白で土下座するも……。「こんな夫と老後を迎えるくらいなら、ひとりで生きる」と決意し、冷酷に熟年離婚への準備を始める家庭崩壊の実態に迫ります。

老後の安心が一瞬にして消え去った日

「私の20年、返してよ……! 頭が真っ白になるって、まさにあの瞬間のことでした」

都内の賃貸マンションに暮らすミワさん(仮名・55歳)は、当時を振り返ります。

夫のケンさん(仮名・58歳)は年収約750万円の中堅企業に勤めていた元会社員で、ミワさんは結婚以来ずっと専業主婦として家庭を守ってきました。二人の目標は、定年までに老後資金として2,000万円を貯めることでした。

ミワさんは毎月の食費を切り詰め、自分の服や化粧品も我慢しながら少しずつ貯金を増やしてきました。

ケンさんが最近利用した早期退職制度による退職金も合わさり、ついに目標の2,000万円に到達した矢先。夫が入浴中、リビングのテーブルに置かれたままのスマートフォンが鳴るのに気づきました。

ふと画面に目をやると、そこには証券会社からの「【重要】ロスカットのお知らせ」「証拠金不足」といった、不吉な文字が並ぶメールの通知が届いていたのです。

顔面蒼白の夫が白状した「FX」という名のギャンブル

「ちょっと、強制ロスカットって何!? あなた、一体何をしたの?」

血相を変えて風呂場から飛び出してきた夫を問い詰めると、ケンさんは顔面を蒼白にしながら信じられない事実を白状しました。

「ごめん、本当にすまない……。退職金も貯金も、FXで全部溶かしてしまった……」

ケンさんは、老後資金をさらに増やそうと、家族に内緒でハイレバレッジのFX(外国為替証拠金取引)に手を出していました。

さらに致命的だったのは、「相場はすぐに戻る」と過信し、損失を最小限に抑えるための『逆指値(損切り)注文』すら設定していなかったことです。最初こそ利益が出ていたものの、急激な相場変動で大きな含み損を抱えてしまいます。

負けを取り返そうと次々と貯金を投下して無謀な取引を続けた結果、証券会社による強制ロスカットが繰り返されて資金はほぼゼロに。

「老後は2人で海外旅行に行こうねって……あれは全部嘘だったの!? こっちは自分の服なんて何年も買わずに我慢していたのに……。その裏で何百万っていう大金を溶かしてたなんて……。ふざけないでよ!」

土下座する夫へ容赦なく突きつける「離婚」の2文字

やがて、ミワさんの怒りは悲しみを通り越し、冷酷な決断へと変わりました。

ケンさんは土下座をして謝罪し、「これからアルバイトでも何でもしてやり直す」と懇願しましたが、ミワさんの心はピクリとも動きませんでした。

「こんな借金まみれになるかもしれない男と一緒に老後を迎えるくらいなら、一文無しになってでもひとりで生きていくわ。離婚よ、離婚」

現在、ミワさんはパートの面接を受けながら、離婚の準備を進めています。ミワさんの決意は固く、揺らぐことはありません。

老後の資産形成への焦りが招く夫婦関係の崩壊

厚生労働省が発表した「離婚の年次推移」によると、令和2年の日本の離婚件数は約19万3,000組となっています。

全体の件数自体は減少傾向にあるものの、長年連れ添った夫婦が別れを選択するいわゆる「熟年離婚」は依然として身近な問題です。今回の事例のように、老後を目前にしての経済的な裏切りは、夫婦関係に致命的な亀裂をもたらします。

また、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」を見ると、老後の備えとして「資産形成(貯蓄・投資)など」に取り組む必要があると回答した人は全体で24.2%でした。特に男女ともに64歳までは4割以上と高い割合を示しており、定年前後の世代が老後資金に対して強い関心と焦りを抱いている実態が見て取れます。

将来の不安から資産形成に取り組むこと自体は重要です。しかし、家族に内緒でハイリスクな投資に手を出し、大切な老後資金を失ってしまっては元も子もありません。結果として長年の結婚生活そのものに終止符を打つことになり、財産分与すべき資産もないまま迎える離婚後の生活は、非常に過酷なものとなります。

夫婦間での透明性のある金銭管理こそが、平穏な老後を迎えるための最低条件といえるでしょう。

[参考資料]

厚生労働省「離婚の年次推移(令和4年)」

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」