近年は画像編集や作成にAIを利用したアプリが多数ありますが、AIを利用して写真に写った女性の服を脱がせたり、女性の顔をポルノ動画に合成したりする有害なアプリも登場しています。こうした「Nudify(ヌード化)」アプリがAppleやGoogleの公式アプリストアで配布されており、検索システムや広告によってユーザーがヌードアプリに誘導されているとのレポートを、IT業界の監視団体であるTech Transparency Project(TTP)が公開しました。

TTP - Apple and Google Are Steering Users to Nudify Apps

https://www.techtransparencyproject.org/articles/apple-and-google-are-steering-users-to-nudify-apps

App Store search suggestions reportedly steered users to 'nudify' apps - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2026/04/15/new-report-claims-app-store-search-suggestions-and-ads-steered-users-to-nudify-apps/

Deepfake nonconsensual porn apps are advertising in App Store

https://appleinsider.com/articles/26/04/15/deepfake-nonconsensual-porn-apps-are-advertising-in-the-app-store

ヌードアプリは実在する有名人や身近な人の写真をAIで処理し、リアルなヌード画像やポルノ動画に変換することができます。近年はAIでディープフェイクを作成して逮捕された事件が日本でも相次いでおり、警視庁は2025年12月に「性的ディープフェイクについての18歳未満からの相談件数が1〜9月だけで79件あり、半数超は同じ学校の児童や生徒が関与していた」と報告しました。

TTPは2026年1月、AppleやGoogleのアプリストアで100個以上のヌードアプリが入手可能になっているとのレポートを発表しました。その後の調査ではアプリストアの検索機能や広告に注目し、それらがユーザーをヌードアプリに誘導する上でどのような役割を果たしているのか調べたとのこと。

TTPは新たに作成したAppleアカウントとGoogleアカウントを使用し、iPhoneとAndroid端末でテストを実施しました。テストではそれぞれのアプリストアにアクセスし、「nudify」「undress」「deepfake」「deepnude」「adult AI」「face swap」「AI NSFW」といったワードを入力。キー入力ごとに生成される検索候補を記録するとともに、各検索で表示された上位10個のアプリをダウンロードし、テストを行いました。

App Storeでは合計46個、Google Playでは合計49個のアプリが表示され、TTPはAIで生成した架空の女性の写真を用いてさらなるテストを実施。画像編集および生成アプリでは服を着た女性の写真をアップロードして服を脱がすように指示したほか、顔交換アプリでは服を着た女性の顔をヌード画像の女性と入れ替えるように指示して、ヌード化が可能なのかどうかを調査したとのこと。

その結果、App Storeのアプリでは46個中18個(約39.1%)、Google Playアプリでは49個中20個(約40.8%)がヌード化に成功しました。また、ユーザーが入力した語句に応じてアプリストアが提案したワードで調べ直したところ、複数のケースでヌードアプリが表示されていたとも報告されています。

たとえばApp Storeで「nudify」と入力すると表示された「Best Body AI」というアプリは、以下のように写真に写った女性の服を脱がせることが可能でした。Google Playで「face swap」「deepfake」といったワードを入力すると表示された「FaceTool」というアプリも、指示に応じて女性の顔をヌード画像に合成したと報告されています。



また、アプリストアで「Deepfake」「Adult ai」「Face swap」といったワードを入力して最上部に表示される広告にも、ヌードアプリが含まれていました。このように、AppleやGoogleのアプリストアでは検索や広告によってユーザーがヌードアプリへ誘導されているというわけです。



アプリ分析会社・AppMagicのデータによると、今回TTPが報告したヌードアプリは合計4億8300万回もダウンロードされており、累計収益は1億2200万ドル(約190億円)を超えているとのこと。AppleやGoogleはアプリストアから手数料を徴収しているため、これらのヌードアプリから多額の収益を得たことになります。さらに、これらのアプリのうち31個は未成年者向けと評価されていたこともわかっています。

App Storeのガイドラインではアプリに「あからさまに性的またはわいせつなコンテンツ」を含むことが禁止されているほか、Google Playでも「ポルノなどの性的なコンテンツや冒とく的な表現を含むまたは宣伝するアプリ」「性的搾取行為に関連するコンテンツを含むもしくは助長するアプリ、または同意なく作成された性的コンテンツを配信するアプリ」は認められないとポリシーセンターに記されています。TTPは「これらの調査結果は、両アプリストアが自社のポリシーに違反していると思われるアプリにユーザーを誘導していることを示しています」と指摘しました。

TTPの問い合わせに対してAppleはコメントを拒否し、Googleの広報担当者はTTPが指摘したアプリの多くは既に停止されており、同社の執行プロセスは継続中であると説明しました。しかし、両社ともアプリストアの検索機能がヌードアプリを誘導する理由や、ヌードアプリが審査プロセスをどのように通過したのかといった質問には答えなかったとのことです。