イラン上空の米軍戦闘機撃墜を受けトランプ政権による空の優位性の主張が揺らいでいる/Kevin Lamarque/Reuters

(CNN)ただでさえ米国民の間でかなりの不満を引き起こしているイランとの戦争が、ここへ来て新たな、そして一段と厄介な局面を迎えた。米軍の戦闘機がイラン上空で撃墜されたというニュースが飛び込んできたからだ。

乗員2人の安否を含め、まだ不明な点は多い。CNNはそのうち1人が救出され治療を受けていると報じているが、もう1人の行方は分かっていない。

さらにその後、イランが同じ3日に2機目の米軍戦闘機を撃墜したというニュースが伝えられた。米当局者がCNNに語ったところによると、パイロットはイラン領空から離脱した後、脱出装置を使って機外へ脱出し、その後救助されたという。

どちらの事案も、イランが軍事的に突然米国と対等に近い立場になったことを意味するものではない。また、これまでのところ米軍の犠牲者は限定的であり、過去3週間で死亡者は確認されていない。

しかし軍事的優位性こそが米国の最大の強みとなっている紛争において、今回の事案は非対称戦争の危険性を浮き彫りにする。その代償は、既に米国民にとって受け入れられないものとなっている。

こうした一連の出来事はまた、イラン上空を完全に制圧しているというトランプ米政権の主張にも痛撃を浴びせる。過去1カ月間にわたり政権が築こうとしてきた「どんな敵も寄せ付けない」という見せかけのイメージをも崩壊させる。

そうした主張は既に多くの事例で反証されていたが、今回の件はまさに典型例と言える。

トランプ大統領とヘグセス国防長官は、かねて米国とイスラエルがイラン上空を事実上自由に飛行できると示唆。イラン側にはそれに対抗する能力がないとの見方を打ち出していた。

ほぼ1カ月前の3月4日のブリーフィングで、ヘグセス氏はそうした制空権の掌握が目前に迫っていると述べた。

「昨夜から始まり、1週間足らずで完了する予定だが、世界で最も強力な二つの空軍がイランの空を完全に掌握することになる」とヘグセス氏は語った。同氏はそれを「争う者のない空域」と呼んだ。

「もうイランには打つ手がない」(ヘグセス氏)

トランプ氏もまたこの2週間、こうした空の優位性を強調し続けてきた。

「我が軍の航空機はテヘランやイラン国内の他の地域上空を文字通り飛行しているが、彼らはそれに対して何もできない」と、トランプ氏は3月24日に述べた。さらに、米国が発電所を攻撃しても「彼らには何もできない」と付け加えた。

トランプ氏は数週間にわたり、イランには「海軍も」「陸軍も」「空軍も」「防空システムもない」と主張してきた。1日の夜、ホワイトハウスでの演説ではイランの石油施設を攻撃することも可能だとし、「それに対して彼らができることは何もない」と語った。

「彼らには防空装備がない。彼らのレーダーは100%無力化された」「我が軍を止められるものは何もない」(トランプ氏)

繰り返すが、今回撃墜されたのは数千機のうちの2機に過ぎない。

政権側が時折強調してきたように、戦闘に一定の痛手はつきものであり、そこには人命の損失も含まれる。ヘグセス氏は3月4日の同じブリーフィングで、「数機のドローン(無人機)が突破したり、悲劇的な事態が発生したりする」状況があることを認めていた。

しかし、政権が主張する空における軍事的優位性については絶対的な主張が繰り返されてきた。「完全制圧」や「争う者なき空域」といった表現を用い、まるでイランには反撃に必要な兵器さえないかのような印象を与えた。

しかもこれは、トランプ氏とその周辺の人々が戦果を誇張していることを示唆する最新の事例でしかない。

昨年6月のイラン核施設への空爆後、トランプ氏は同国の核開発計画が「壊滅した」と再三発言。回復不能な状態にあると主張したが、米国の初期の諜報(ちょうほう)評価はそれと異なる結果を示していた。案の定、わずか9カ月後には、政権は突如としてイランを差し迫った核の脅威と改めて位置づけた。

戦争が始まって間もなく、トランプ氏は小学校への攻撃を巡り誤ってイランを非難したが、予備調査やその他の証拠によれば、当該の攻撃は米国によるものだった可能性が高いことが後に判明した。

そしてつい前日、CNNはイランのミサイル発射装置が破壊されたとするトランプ氏の主張が大幅に誇張されていたこと、そしてイスラム革命防衛隊が依然としてミサイル発射能力の約半分を保持していることを報じた。

一連の状況は、政治的にも問題となる。現政権にとって米軍の戦果こそが最大の強みとみなされるからだ。

しかし米国民はこの作戦にほとんど信頼を寄せておらず、説明が不十分だと感じている。政権が掲げる四つの目標の中身は、絶えず変更されてきた。そしておそらく最大の問題は、ホルムズ海峡の実質的な封鎖とそれに伴うガソリン価格の高騰から生じた経済的な悲観論だろう。米国民はこの戦争について、コストに見合うだけの価値があるとは考えていない。

こうした状況の中で、とりわけヘグセス氏はメディアがこの作戦の軍事的成功を軽視していると主張してきた。

「これこそフェイクニュースが見落としている点だが」と、ヘグセス氏は3月4日の同じブリーフィングで切り出し、「我々はイランの空域と航路を支配下に置いた。地上部隊を投入することもなく」と続けた。

それから1カ月が経過した現在も、最重要の航路は依然として極めて重大な例外として残されている。加えてイランの空域の掌握やミサイル発射計画の粉砕も、見たところ宣伝されているほど完全には行われていないようだ。

本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。