[3.14 J2・J3百年構想リーグ第6節 甲府 0-1 いわき JITス]

 サンフレッチェ広島で昨季トップチームに昇格し、すぐさま飛び込んだいわきFCでの武者修行は2年目に突入--。世界的にも規格外の203cmという長身を誇るMF木吹翔太は、10代から着実に試合経験を積み重ねながら、さらに大きく羽ばたいていくための土台作りを進めている。

 首位に挑んだ14日の甲府戦では、1-0で迎えた後半18分からシャドーのポジションで途中出場し、推進力を活かしたアタッキングサードへの侵入や、圧倒的な高さで相手のクロスやセットプレーへの対応で存在感を発揮。プレッシングやボールキープでは荒削りな場面も見られたものの、勝ち点3獲得に貢献していた。

 何より実戦の場に立つことで、課題はより詳細に見えてくるものだ。「守備に回る時間が長かった中で、自分のところで時間を作ったり、高い位置でいい流れに変えるプレーがあまりできなかった。もっと試合の流れに合わせて自分のプレーも変えていけたら」。1試合1試合での実感を改善につなげながら前向きなサイクルで試合経験を重ねている。

 2006年生まれで19歳の木吹は昨季、開幕第2節で早くも先発出場し、J2デビューを果たした。その後は先発のチャンスこそなかったものの、15試合に途中出場。続く2年目の今季は本職のボランチだけでなく、ウイングバックでも先発起用されるなど、より試される局面で全6試合に出場し、すでに昨季通算のプレータイムを上回る302分間に出場している。

 こうした試合経験を重ねながら、203cmという身体を扱うための肉体改造にも取り組んできた。

「いわきはフィジカルスタンダードで世界基準を目指していて、練習の中でも筋トレは多いですし、個別でも筋トレを入れたり、コーディネーション系のところも取り組んでいます。自分としてもユースからトップに上がった時からそこは課題だと思っていたので」。特にこだわってきたのが「サッカーをするための筋肉作り」だ。

「まずはフィジカルで負けないようにという筋トレもしっかりやって、ただ筋トレだけをやると身体が固くなってしまうところもある。筋肉を鍛えた上でどう使うかというのがサッカーでは大事だと思うので、フィジカルコーチ(ストレングス&コンディショニングコーチ)の久永(翼)さん、友岡(和彦)さんとサッカーにつながる動きの筋トレを個別で取り入れて、そこは意識をしています」

 少し軽めのウエイト器具を使いながらサッカー特有の動作をすることで、他の選手よりも長い手足、遠い重心を扱うための鍛錬を継続。以前よりも肩周りや膝周りが見違えるほどにがっしりしている印象だが、実際に8kgほどの増量に成功したようで、木吹自身も「身体がでかいぶん、扱うのは難しいなと昔から悩んでいた部分もありましたし、いわきはそこにフォーカスしているチームなので、そこを去年から積み上げてきました。見た目のところもそうだし、思ったように扱えているなという感覚があります」と手応えを感じている。

まだ線が細かったJ2デビュー戦のMF木吹翔太

 規格外の体躯に恵まれたぶん、身体作りに悩んだ時間も長かったが、よりハイレベルな舞台に立つためには必要な遠回りだった。

「自分の中でもあの身体のままだったらよりレベルの高いところに行った時、フィジカルで負けてしまうし、より高いレベルになると1対1や個の部分がより大事になってくると思うので、そこはしっかりと高いレベルを見ながら練習からしっかり取り組んできました」

 2024年のU-19日本代表選出を最後に世代別代表からは離れているが、次回のロサンゼルス五輪の対象世代。世界舞台を意識しながらこの努力を続けていく構えだ。

「最近は代表にも入れていないし、でも自分はもっと高いレベルで活躍して、世界にも出ていきたいなと思っている。基準をしっかりロス五輪、W杯といった舞台に合わせて、日頃からそこを目指して、その舞台に立つために何が必要かをしっかり考えて取り組んでいきたい。そのためにもゴールであったり、目に見える結果で出てくれば自分の中でも自信になると思うので、まずはそれを目指して頑張っていきたいです」

(取材・文 竹内達也)