「ズルしてまで勝ちたい?」過去には警察沙汰も…チート問題がゲーム界隈でくすぶり続ける背景

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「負けたくない気持ちがあった」

プログラムを改変して、ありえないプレイをゲーム内で実現する「チート行為」をする者が後を絶たない。壁やゲーム内オブジェクトを透過できる「ウォールハック」、あり得ないダメージが出せるようになる「ダメージハック」等、数多くのチート行為がオンラインゲームで横行している。

全てのゲームでチート行為は禁止されており、運営側もさまざまな対策を行っている。しかし、チート開発者や、それを販売している者たちとのイタチごっことなっているのが現状だ。

チートは大まかに物理的に外部からシステムに影響を及ぼすハードウェア型と、システム内で情報を改竄するソフトウェア型の2種類が存在している。ハードウェア型には改造ゲームパッドや、システムを誤認させ本来使用ができないマウスやキーボードを使えるようにする変換機などがある。ソフトウェア型は種類が多く、その中でも最も被害に遭っているといわれているのは、FPSと呼ばれる一人称視点シューティングゲームでのチートだ。

対戦型であれば、チートの利用は理不尽さを相手に与え不満を募らせる。さらにチーター対応において、運営会社への不満が溜まると、ゲームからの離脱や不買などが発生するため、損害は想像以上に大きい。また、ゲーム内通貨で得たアイテム等を現実の資金でトレードするリアルマネートレード(RMT)により、マネーロンダリング等にも使用される危険がある。

ゲーム会社によっては、アカウント停止等の重い処罰が下されるにもかかわらず、チートは行われ続けている。これはチート利用者(以下チーター)と販売者が簡単に接触できるためであるとの見方もある。なぜチート行為が後を絶たないのか。FPSでチートを利用していた男性は、「爽快感があるから」と話す。悪いことだと知りながら利用していたようだ。

「FPSというジャンルは基本的に対人でのプレイになるので、敵が強かったり味方が弱かったりするとストレスが溜まります。ゲームの上手さがそのまま強さなので、上手い人が敵にいると一方的に負けてしまいます。それだとプレイしている側はつまらない。最初は負けたくない気持ちがあり、そこからチートを使うようになりました。

チートを使うと簡単に敵に弾が当たるし、適当にプレイしても勝ててしまうので自分が最強になったと錯覚できます。それにFPSにはチーターがたくさんいるので、理不尽な目に遭う機会も多く、だったら自分が使っても問題ないという意識もありました」

対戦型ゲーム、特にFPSでの被害は甚大で、話を聞いた殆どの人がゲーム内でチーターに遭遇した経験があるといい、彼らに対して「つまらないことをするな」「チートを使って勝っても楽しいのか」「弱いなら練習しろよ」と厳しい言葉で批判していた。

誰でも手に入れることができる

チートが簡単に入手できることも問題だ。ネット上でのデータ売買に詳しい山野祐介氏によると、「チート開発者から仕入れたものをさらに転売する形で利益を得ている者もいる」という。

「昔はネット掲示板などで売られていましたが、今はSNSがあるので、個人間で簡単に開発者にアクセスできます。堂々とサイトで販売している者もいますが、最近だと特にディスコードと呼ばれる通信アプリでの販売が顕著となっています。クローズドな空間での売買をしているため、企業側も対策が追い付いていません」(山野氏)

少額から販売されているため、手を出しやすいことも問題であるという。

「ものによりますが、3000円から高いもので3万円程の値段で購入できます。もしかしたらもっと安いチートもあるかもしれません。学生のバイト代でも買えてしまうので、ゲームで負けてしまい、勝ちたい一心で購入するケースもあります」(同前)

プログラムを不正に改変したゲームデータや嘘の情報をサーバーに送ったり、それによって運営側の意図しない動作をさせることは、私電磁的記録不正作出・同供用となる可能性がある。’22年に京都府警サイバー犯罪対策課は、チーター5名を書類送検している。また、ゲーム会社から売り上げの減少につながるとして、損害賠償請求をされる可能性もある。

警視庁もチート行為については警鐘を鳴らしている。〈チート行為は、絶対にやめましょう。また、チート行為を発見した場合は、それぞれのオンラインゲーム運営会社に通報してください〉とHP上で注意喚起をしているほどだ。

チートの利用については多くの企業が違法行為だとして対策をしている。ゲーム上で「最強になった」と錯覚することができるチートだが、その影には不快感を募らせているユーザーが多くいる。いずれ手痛いしっぺ返しを食うことになるのではないだろうか。

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取材・文:白紙緑