日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長
清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。上位出荷先の中国、アメリカとも景気低迷やインフレ等の影響で飲食店市場が停滞しているものの、醸造元・獺祭の桜井一宏社長は「海外で日本酒のトップブランドであることが強みになった。マーケットが慎重な環境だからこそ信頼感や安定感で選んでいただけた」と手応えを話す。
中国・米国など伸長
前期の数量実績は全社トータルで6860㎘(約3万8000石)、うち輸出は3193㎘(約1万7700石)。
輸出動向について、桜井社長は「国や地域によってバラつきが出ている」としながらも、「厳しい市場環境下でも主要な出荷先国で伸ばせた」と評価。
ボリュームの大きい中国では、消費全般が振るわない中でも根強い需要を維持。同国は飲食店に酒類を持ち込めることが一般的だが、最近はレストランからEC(電子商取引)で直接注文するケースが増加。比較的割安な価格に加え、短時間でデリバリーされる利便性も確立されているという。「新しい販売チャネルとして確実に広がっている」(桜井社長)。

アメリカ向けの輸出は、インフレやトランプ関税の影響を受けながらも前年を上回った。
同国ではニューヨーク郊外の米国酒蔵で製造する「DASSAI BLUE(獺祭ブルー)」も展開。発売2年目の前期は二ケタ増、約750石の実績となった。3年目は1000石の突破を視野に入れる。
ラインアップは、日本同様フラッグシップに位置付ける磨き二割三分の「タイプ23」、米国アーカンソー州産の山田錦100%で仕込む「タイプ35」、比較的手に取りやすい価格帯の「タイプ50」など。
新たな動きとしては現地リカーストアの引き合いが増えたことが挙げられる。桜井社長は「輸出品に比べて価格競争力が出てきたことやインフレの影響とみている」。
日本産「獺祭」との関係性について「両者は基本的に同じディストリビューターを通じ販売。無理に棲み分けさせず、和食・洋食を問わず同じ飲食店で取り扱っていただけるケースも多い」とする。
海外免税店にチャンス
直近は海外免税店の開拓にも注力。台湾では以前より販売して相応の規模に育っており、昨年スタートした韓国でも出足は好調だ。
桜井社長は「日本酒の販売は冷蔵管理への投資が必要になってくるが、『獺祭』は日本の空港免税店で強いブランドとして認知され、台湾や韓国での成功事例も出てきた。海外免税店に成長の可能性を感じており、まずは当社ブランドが浸透しつつあるアジア中心に深掘りしたい」と意気込む。
26年に向け、輸出全体の販売計画には前期伸び悩んだ国・地域のテコ入れを盛り込んだ。
桜井社長は「オーストラリア、カナダ、台湾などはこれまで順調に伸びてきたが、『獺祭』のブランドに頼っていた面がある。当社から需要を深掘りする努力が十分でなかった。やはり『獺祭』の酒造りやこだわりをていねいに伝えていくことが大切。もし現地ディストリビューターのマンパワーが足りない状況であれば、当社として現地担当者の採用も検討したい」と話した。
