『果てしなきスカーレット』©︎2025 スタジオ地図

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 11月21日から公開が始まった細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』には、人気声優の津田健次郎と宮野真守が意外な役柄で出演を果たしている。その役名は墓掘り人。作中の出番はほんの一瞬で、SNS上では「チョイ役なのにキャスティングが豪華すぎる」と驚く声も上がっている。

参考:津田健次郎、『不滅のあなたへ』観察者役で得た“刺激” 「演者としてはすごく幸福なこと」

 2人は今やアニメファンのみならず、お茶の間でも愛されているスター的存在だ。いかにして現在の境地までたどり着いたのか、あらためてそのキャリアを振り返ってみたい。

 まず津田は、元々映画好きだったことから大学で演劇学を専攻。そこから演劇の世界に魅了され、アルバイトしながら舞台に上がる日々を送っていた。そんな中、24歳のとき、生まれて初めて受けたTVアニメのオーディションに合格したことから、声優としての道を歩み始めたという。ちなみにこの最初の一歩となる作品は、あだち充原作の野球アニメ『H2』だった。

「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ ミレニアムシーンズ」海馬瀬人役、津田健次郎さんナレーション入りCM第2弾公開‼ とはいえその後数年は、アニメ声優として大きな仕事をしていなかった。最大の転機となったのは、2000年から放送が始まった『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の海馬瀬人役だ。誰よりもプライドが高く、デュエルに勝利するためなら命すら賭けるという破天荒な役どころだが、ただでさえ迫力のあるセリフの数々を津田はパワフルな演技によって表現していた。20年以上経った今でも作中屈指の人気キャラクターとして語り継がれているのは、津田の演技力があってこそだろう。

「テニスの王子様 BEST GAMES!! 乾・海堂 vs 宍戸・鳳/大石・菊丸 vs 仁王・柳生」Blu-ray&DVD 6月25日発売告知PV さらに翌年には『テニスの王子様』の放送が始まり、乾貞治役というもう1つのハマり役を獲得。その頃から本格的に声優としての活躍が始まり、ときに力強く、ときに色気に満ちた渋い低音によって唯一無二のポジションを確立していった。

 近年では「人生の重みを感じさせるダンディな男」の演技を十八番としており、『呪術廻戦』の七海建人役や『チェンソーマン』の岸辺役、『チ。-地球の運動について-』のノヴァク役といったハマり役を量産している。今期放送の『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』で演じている中尾八郎も、過酷な幼少期の体験からショッカーに憧れるようになったヤクザという味のある役柄だ。

 また実写俳優としての仕事も増えており、今年に入ってからは3月に『1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声~』(フジテレビ系)でドラマ初主演を果たしたほか、NHK連続テレビ小説『あんぱん』や大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の出演でも話題を呼んだ。

 なお強烈な存在感を活かすためか、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のキリン役のように、トリッキーな起用をされることも。ある意味『果てしなきスカーレット』の墓掘り人役も、そうしたキャスティングの一種と言えるかもしれない。 一方で宮野も、元々は実写畑から出発した人物だ。7歳から劇団ひまわりに所属し、子役として活動していたことで知られている。

 声優として注目を集めたのは、2002年に発売されたゲーム『キングダム ハーツ』のリク役。さらに2006年放送のTVアニメ『DEATH NOTE』で主人公・夜神月役を演じたことで、一躍人気声優の仲間入りを果たした。なお同時期には、『機動戦士ガンダム00』の刹那・F・セイエイ役や『桜蘭高校ホスト部』の須王環役でもその実力を発揮していた。

「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ」ディレクターズカットPV また女性人気という意味では、『イナズマイレブン』シリーズの吹雪士郎役や『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズの一ノ瀬トキヤ役なども重要な作品だろう。

 宮野の特徴としては、さわやかなイケメンボイスでありながら、卓越した表現力によってさまざまなキャラクターを演じ分けられるのが強み。コミカルな人物からちょっと不穏で怪しい人物、カリスマ性のある人物まで、個性的な役の数々を演じてきた。

 たんにアイドル的な人気ではないことは最近の活躍ぶりが証明しており、令和版『うる星やつら』で面堂終太郎の新声優に抜擢されたり、『キン肉マン 完璧超人始祖編』で主人公・キン肉マンの新声優に抜擢されたりと、“国民的人気声優”という風格を示している。現在公開中の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』で、童磨役として堂々たる演技を披露していることも印象的だ。

 他方で宮野は、歌手活動を盛んに行っていることでも有名。9枚目のシングル『カノン』ではオリコン週間チャート3位を獲得し、2013年には男性声優ソロとしては初となる日本武道館公演を成功させた。さらに俳優としても、2020年の日曜劇場『半沢直樹』(TBS系)や2023年のNHK連続テレビ小説『らんまん』に出演するなど、活躍の幅をさらに拡大している。近年の人気声優は表舞台に出てマルチな仕事をこなすことが多いが、宮野はその走りとなった人物の1人と言えるだろう。

 今や声優界でもトップクラスの人気と知名度を誇る津田と宮野。そのキャリアを振り返ると、やはり『果てしなきスカーレット』での“チョイ役”起用はあまりにも贅沢だと思わされる。2人がどんな演技をしているのか、実際にスクリーンで確かめてみてほしい。(文=キットゥン希美)